<第十五足>勉強会
翌日。煌星家に到着。
愛姉は夜海と仁愛を迎えに、冰山駅へ向かったと、
舞姫姉から聞いていた。
「お姉ちゃん達もう少しで着くって……」
「お泊まり会…初めてや…」
「うん。何故か勉強会もすることになったよねぇ」
「せや…私、後で分からんとこあるねん」
「おっけー。お茶淹れて、お姉ちゃん達待とうか」
舞姫姉のお気に入りの紅茶を淹れるため、台所へ向かう。
「希望君が作ってくれたブラウニーも冷やして…夢玖ちゃん。紙コップ並べてくれない?」
「分かった……ふふ。紅茶のええ匂い…」
茶葉に湯を入れ、三分ほど蒸らす。
愛姉のよく飲む紅茶とは、また違う香りだった。
「舞姫ー、帰ってるー?」
「あ、お姉ちゃんっ!今紅茶淹れるね」
紅茶を蒸らしてる時、愛姉と夜海、仁愛が煌星家に来た。
二人は舞姫姉全体を見渡している。
「この子が私の妹…舞姫よ」
「舞姫さん…」
「初めまして。お姉ちゃんからはお話聞いてるよ。仁愛ちゃんと夜海ちゃん、よろしくね」
以前から思っていたが、
舞姫姉と愛姉は容姿が凄く似ている。
でも性格は、正反対だ。
「可愛い…」
「愛ちゃんとは違う美人…」
「ありがとう。立ち話もアレだし…皆でお茶飲もう」
すぐに二人と舞姫姉は打ち解け、皆でお茶を飲んだ。
――――――――――
夜海と仁愛も、少しだがお菓子を買ってきたらしい。
「へぇ…夜海ちゃんは実は私の一つ下なんだあ…」
「はい。その…実は廉命君と同級生なんです」
「廉命君…?」
夜海と舞姫姉が、ある人物について話す。
私は気になり、聞いてみた。
「この前、バイト先のスポーツ用具店で、オッドアイで靴がボロボロな子見たとか言ってました…」
「へぇ…って、え?」
「「「「?」」」」
だけど、あまりの衝撃的な話だった。
大阪から福島に移り住んでから、今までとは違う環境に変わり、希望さんと出会う前のことを忘れていた。
「……夢玖ちゃん…?」
でも、夜海の発言で思い出した。
あの時、店の前で私に声を掛けてくれた彼を─。
「その…廉命さん?が店前で…声掛けてくれてん…」
「「えぇ〜っ!」」
「声が大きいわよ。確か、希望君の後輩でもあるのよね…顔は見たことないけど…」
愛姉が間に入り、流れで勉強することになった。
――――――――――
まずは舞姫姉が進んで簿記の課題を進める。
「夜海ちゃんは商業の資格の一級、沢山あるね」
「はい…でも今は休学経験ありますけど…」
「それでも、あなたは成績優秀者なのは確かなのよ」
電卓を叩きながらシャーペンを走らせる。
「私…まだ検定受けてへん…」
「大丈夫。仁愛達がサポートするよ」
「こんなに助けられてええんやろうか…?」
聖陵情報高校に転学してから、何一つ検定を受けてなかった。
「簿記の課題終わったら休憩して、情報処理と総合実践やるね。私もお姉ちゃんもITパスポートも持ってるから、どんどん聞いてね」
「二人とも凄い…」
「検定は決められた日に出来ないのが殆どだから、少しずつ取り返していこうね。夢玖ちゃん」
だから、商業系の資格は何一つ持っていなかった。
それでも舞姫姉達は私を見捨てない。
「うん…っ!」
「商業英語やTOEICは私に任せて」
「うん…夢玖ちゃんはもう私達の友達なんだから、助け合うのは当たり前だよ」
「皆……」
友達だから。
大阪で一度も言われたことがなかった理由だった。
「私達は味方よ。遠慮することはないのよ」
「うん……」
「よし、課題進めて皆でご飯作るよ〜!」
「「「「はーいっ!」」」」
何もなかった私が、誰かの友達であることが嬉しかった。
ノートの端には、猫の落書きがあった。
……To be continued
第十五足(第十五話)をお読みいただきありがとうございます。
私事ですが、転職先も決まりました!
今回から夢玖達のお泊まり会を書きました。
それではまた次回、お会いしましょう!
続きは次回書きます。




