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透ける約束は片結び  作者: 檻 依舞 (おりーぶ)
【第二章】青い春と片結び

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<第十三足>新しい約束


高校生活が始まって、一週間。


気が付けば私は、仁愛と夜海と一緒にいる時間が当たり前になっていた。


「ねぇねぇ、今度みんなで放課後遊びに行かない?」


「行きたい!」


「そういえば夢玖ちゃん、まだLINE交換してないよね。お昼休みに交換しよ!」


「……うん!」


移動教室へ向かう廊下を歩きながら、自然と笑顔がこぼれる。


今日は選択科目である簿記の授業。


商業実習室のある別校舎へ向かっていた。


「夢玖ちゃん、簿記は初めて?」


仁愛が尋ねる。


「学校では初めてやけど……舞姫姉が教えてくれてん」


「舞姫さんが?」


夜海ちゃんが少し驚いたように聞き返す。


「うん。毎日付き合ってくれてな」


そんな話をしながら歩いていると、商業科職員室前の掲示板が目に入った。


そこには数え切れないほどの賞状が飾られている。


「わぁ……」


思わず立ち止まる。


その中の一枚に見覚えのある名前があった。


『煌星 舞姫』


「日商簿記一級……!」


夜海が目を丸くする。


「一級って、合格率一割前後って聞いたことあるよ……」


「すご……」


私は少し照れながら笑った。


「教え方も、めっちゃ分かりやすかったで」


週末のことを思い出す。


****


「仕訳は丸暗記じゃなくて、意味を考えるの」


舞姫姉はノートを指差しながら優しく説明する。


「会社のお金が増えたのか、減ったのか。それを考えれば答えは見えてくるよ」


「なるほど……!」


分からないところは何度聞いても、嫌な顔ひとつせず教えてくれた。


「(えぇ匂い…美人さん…それに…たわわ…胸…)」


気付けば夜遅くまで勉強していた。


でも正直、仕訳より舞姫姉の豊かな胸を見ている時間が微妙に長かったのは、言うまでもない─。


****


「そのおかげで、日商二級レベルの問題も少し解けるようになってん」


「一週間で!?」


仁愛ちゃんが驚く。


「舞姫さん、すごすぎる……」


夜海ちゃんも感心したように頷いた。


「でも今週末は珠算と情報処理も教えてくれるらしいねん」


「えぇ!?」


二人は顔を見合わせて苦笑する。


「夢玖ちゃん、GW終わる頃には無敵になってそう」


その言葉に、みんなで笑った。


****


昼休み。


いつものように四人で机を囲み、お弁当を広げる。


夜海ちゃんがふと思い出したように聞く。


「夢玖ちゃんって大阪出身なんだよね?」


「うん。生まれも育ちも大阪やで」


「大阪の人って、お好み焼きでご飯食べるって本当?」


「ほんまやで」


私は笑いながら頷く。


「お好み焼き定食もあるし、たこ焼き定食もあるねん」


「えぇぇ!?」


仁愛ちゃんが驚いて目を丸くする。


「炭水化物と炭水化物じゃん!」


「関西では普通なんよ」


「すごい文化だ……」


夜海ちゃんも苦笑した。


その後も、


エスカレーターでは右側に立つこと。


丸いお餅を食べる地域が多いこと。


「マクド」と呼ぶこと。


関西ならではの話をすると、二人は何度も驚いていた。


「やっぱり地域によって全然違うんだね」


「まだ東北は慣れへんけどな」


私が苦笑すると、


愛先生が優しく微笑んだ。


「焦らなくて大丈夫。夢玖ちゃんのペースで、少しずつ慣れていけばいいの」


その一言だけで、不思議と肩の力が抜けた。


「そうだ!」


仁愛ちゃんが手を叩く。


「GW、お泊まり会しようよ!」


「いいね!」


夜海ちゃんも笑顔で頷く。


愛先生は少し考えてから微笑んだ。


「実は煌星家でお泊まり会をしようと思ってたの。二人も来る?」


「行きたい!」


「私も!」


私も思わず笑う。


「舞姫姉のご飯、ほんまに美味しいで」


「ますます楽しみ!」


窓の外では、桜が少しずつ若葉へ姿を変えていた。


もうすぐゴールデンウィーク。


高校生活で初めて迎える、大切な思い出が始まろうとしていた。


―To be continued.

第十三足(第十三話)をお読み頂きありがとうございます。


次回は、夢玖達が遊びに回ります。

久しぶりに希望登場します。


それでは次回またお会いしましょう。

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