<第十一足>聖陵情報高校へ。
希望さんと出会ってから、約二週間が経過した。
この頃には、舞姫さんや愛さん、院長や彼への警戒心は無くなっていて、高校見学や転校の手続きを終えていた。
「………ん」
朝六時前─。
身を起こし、洗面所へ向かう。
「……ふぅ」
顔を洗い、歯磨きを済ませると、愛さんが既に朝の支度を済ませていた。
「おはよう。夢玖ちゃん」
「……おはようございます」
「あらあら。寝起きも可愛いわねぇ…朝ごはんとお弁当、出来てるわよ」
「…お、おおきに」
生活は煌星家ですることになったとはいえ、大阪での生活環境と差があり過ぎる。
電気もガスも、水道も止まってない。
督促状やパチンコのチラシ、空いた酒瓶も何一つ床に転がっていない。
「学校でも家でもずっと一緒なんて私嬉しいわー!大好きっ!」
「ん、ま…お、お姉ちゃん…苦し……」
「可愛い妹が高校デビューするのよ?舞姫の初制服姿を思い出すわぁ…」
これが、世間でいう当たり前なのだろう。
それにしても、この愛さんは私と目が合う度可愛がってくる─。
「……これが…舞姫さんが着とった制服…使ってた教科書にジャージ、電卓……」
「夢玖ちゃーん、支度は出来たかしら?」
朝食を食べ、制服に着替えてみる。
舞姫さんのお下がりとはいえ、彼女の良い匂いがして、安心感が半端なかった。
「出来たで〜」
だが、この後愛さんに酷く可愛がられたことは、
言うまでもない─。
****
「今日から転校生がやってきます」
高校に到着し、新しい生徒手帳や校章、学級章のバッジを受け取る。
「入ってきてちょうだい」
という愛さんの声に、私は震えながらも教室という箱へ
足を運ぶ。
三年六組─。今日から私はここのクラスの一員らしい。
「…き、如月夢玖いいます…。お、大阪から来ました…よろしゅう」
冷や汗もすごく、声まで震えていた。
頭を上げると、クラスメイト達の目は、冷たかった。
「何あれ…?エセ関西弁…?」
「背ちっちゃ…オッドアイなの?キモ」
「友達になりたいやついるの…?」
ヒソヒソと聞こえるそれらの声に、私は泣きそうになった。
「It's time for the transfer student's self-introduction now. No talking, okay?」
愛さんが話すと、教室は一瞬で静かになった。
「夢玖ちゃんの席は……あそこ…松寺さんの隣ね」
「えぇ…愛ちゃん。俺の席と交換してよぉ。背ちっちゃいから見えないと思うし…」
「てか大体前任の先生辞めて、なんで愛ちゃんがこのクラスの担任なの?新米教師の癖に」
その後のことは一切覚えてない。
少なくとも分かったのは、このクラスには私と愛さんを受け入れてくれる生徒はほぼいないことだ。
****
何とか午前の授業が終わり、昼休みに。
周りを見渡すと、お弁当を開く者、コンビニのパンを食べる者、他のクラスに行く者など、それぞれ行動してる生徒が多かった。
「……今日は、愛さんの手作りやったな…」
「ねぇねぇ」
この新しい環境に慣れるまでは、独りでいようとしていたのに、隣の席の─松寺さんが話し掛けてきた。
「夢玖ちゃん……一緒にお弁当食べない?夜海ちゃんと一緒なんだけどさ…」
「夜海…ちゃん…?」
「あ、うち松寺仁愛っていうの…仁愛ね…授業中ずっと夢玖ちゃんのこと可愛いって思って、中々話し掛けられなかったの…」
彼女は松寺仁愛といった。
艶々の黒髪を団子に纏め、顔立ちが整っていた。
「ええん…?私、オッドアイやで…?」
「いいのいいの!愛ちゃんも一緒だから」
この昼休みが、私の不安を取り除くことをまだ
知らなかった。
私の、高校三年生としての学校生活が、今始まった。
……To be continued
第十一足(第十一話)を読んでくださりありがとうございます。
実は最近、本業やプライベートで悲しい出来事があり、
更新が出来ていませんでした…。
次回から、新しいキャラ登場します。
折々キャラのプロフィール追加していきますので、
今後も応援よろしくお願いいたします。
それでは次回また、お会いしましょう。




