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ミュータントオブザデッド  作者: ガガリオン
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校長の役目

 「もしもし、はい、大丈夫ですか?では山田先生を保健室へ、素早い対応ありがとうございました」


 校長は山田先生からの電話でとりあえずは不審者の校内への侵入を防いだ知らせをきき一息つく。


 「校長先生、山田先生達は…」

 「大丈夫ですよ。うまくやってくれたみたいです。次は私たちの番ですね。」

 「はい!」


 校長は体育館を見渡す。

 今ここにいるのは放課後に部活動などで残っていたたちだ。

 いまだにでている黒煙やかすかに聞こえる悲鳴、それに携帯のニュースでみた情報などで何かが起きていることはわかっているみたいだ。

 生徒たちが心配している姿がよくわかる。

 校長はマイクを持ち現状の説明と今後どうするかを話そうとする。


 「みなさん、こんにちは。今回急に集まってもらった理由、なんとなくわかっている人もいるかもしれません。いまこの学校の近くで集団暴行事件が起きています。とりあえずの対抗策として今校門を閉じて学校を閉鎖状態にしています。そうすれば一般人にはこの学校に侵入することは不可能なはずです」


 校長が校門を閉じたといったときに生徒の間に安堵の吐息をもらす。

 この学校は異能力者が異能力を使うため、どんな衝撃でも耐えられるように強固な壁で覆われている。

 なので唯一の出入り口の校門を閉じたのならもう安心なのだ。

 校長は続けて言う。


 「そして、現状は安全と思われる校内ですがもし不審者が校内に侵入し、みなさんに何かをしたとき今回に限っては国から許可をもらいました。一般人に対して異能力を使うことを許可します」


 これには教師も生徒も動揺の反応が見えた。

 まず生徒が慌てた理由、通常異能力は凶器扱いで一般人に使うことは法律で禁止されている。

 よく聞くボクサーの拳は凶器という話と似たようなものだ。

 22年前から一般人に異能力を使うことが許可されたことなど一度もないはずだ。

 それが許可されたということは殺人も許されるということではないか。

 低ランクの異能力者でも人を殺すことができる人もいる。

 そんなことが簡単に想像できる為に生徒は動揺した。

 教師が慌てた理由は、この事件が起きてから生徒をこの体育館に集めるまでの間に国に許可をとり、それを承諾してもらう時間があったのだろうか。

 いや、そんな時間はなかっただろう。恐らく校長は独断で言っているに違いない。

 校長は自分がこの判断でどうなるかわかっている。それでも校長は生徒を守るために今回の決断をしたのだ。


 「皆さんの動揺する気持ちもわかります。皆さん異能力者が一般人に向けて異能力を使うともしかしたら今後に大きな障害を残してしまうことになるのかもしれません。それでも、そこまでしても皆さんを守らなければならないと判断しました。ただ気をつけてください。皆さんの……」


 バン!バン!バン!


 途中いきなり体育館の入り口が激しく叩かれる。

 体育館にいる人物全員が音のなるほうを見る。

 体育館の入り口の窓から見える姿はただの人間の姿だった。だが闇雲に窓にこぶしを叩きつける姿は生徒たちに恐怖を与えたし、叩き付けすぎて窓に血がつき始めると生徒たちはパニックになる一歩手前だった。

 

 「みなさん慌てないでください。この体育館が防音なので普通は外に聞こえませんが、ここで全員が騒げばさすがに音は漏れます。その音でこれ以上に人が集まるのは避けたいです。ここを脱出しましょう。裏口から安全に脱出できます。みなさん慌てないでください」


 パニック寸前の生徒たちは校長の声を信じて落ち着きを取り戻す。

 落ち着きを取り戻した生徒たちは速やかに裏口から脱出しようとする。 

 狭い出口だったが落ち着いている生徒たちは順調に進んでいく。

 相変わらず扉を叩く音は消えないが校長の言った通りに騒ぐ生徒はいなかった。

 だが、その静かさを守ることは叶わなくなる。

 

 ドガァン!


 今までとは明らかに違う巨大な音。

 反射的に音のなったほうを見る。

 体育館の扉がわずかだがひしゃげていた。

 生徒から悲鳴があがる。

 何度も何度も今までより大きい扉を叩く音が鳴り響く。


 「大丈夫です。この扉はそう簡単に壊すことができません。皆さんが脱出する時間は十分にあります。だから落ち着いてください」


 校長が生徒に言葉をかける。

 ざわつきは減ったが少しずつ壊れていく扉に、先頭にいた生徒がついにパニックをおこしてしまった。

 すると全員の緊張の糸がきれたのか、それにつられた生徒は我先に逃げようと走り出す。

 狭い出口に皆が一斉に詰め掛けた結果、入り口付近の生徒はうまく出ることができずに後ろからくる波に倒れてしまった生徒もいる。

 倒れようと進もうとする流れは止まらない。 

 後ろからくる生徒の波に見るも無残な姿になっていた。

 

 「今はそんなことをしている場合じゃない!落ち着きなさい!あなた達はここで死んでいい人材じゃない。将来を期待されている若者なんだ!」


 校長は今まで聴いたことないほど大きな声を出した後、疲れなのか片ひざをついた。

 不思議なことに校長が声をかけると生徒に落ち着きが戻ってくる。

 

 「先生の皆さんは生徒の誘導をお願いします。策があるのでここは私1人に任せてください。」

 「はいわかりました。校長先生」


 校長の言葉を信じる先生は誘導に専念し、体育館には彼ただ1人になった。


 「よかった。とりあえずの危機は去った…生徒をこれ以上な減らしてはいけない。さぁ」


 校長は壊れる寸前の扉を見る。


 「校長の役目をはたしましょう」


 

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