避難地 2
忙しいので毎日少しずつ書いています
とりあえず、安全な場所にいることに安堵して綾香は自分を助けてくれたこの三人の男と事故のとき何が起きたかを確認することにした。
「改めて、助けてくれてありがとう。私の名前は井上 綾香」
「僕の名前は如月 一雄。まったく驚いたよ!大きな音がしたと思って見に行ってみたら、女の子が倒れているんだから」
最初に綾香と話した男とお互いに自己紹介をした後、如月と名乗った男はチラリと半透明の人物、西ヶ野 楓を見る。
それを見て綾香は慌てて言う。
「あ、大丈夫!この人はうちの学校の先輩でちょっと事情があって幽霊みたいになっているだけなの!」
「そう!だから言ったでしょ?怪しくないって」
「いや、そういわれても…。半透明で浮いていたら怪しいと思って当然だと思うけど」
どうやら彼女は自分の状態を何度も説明していたようだが、私の証言があるまで本当に信用することはできなかったようだ。
「さっき私が気絶していたって言っていたでしょ?出てきたところからわかると思うけど、私たち異能力者なのよ。その影響で西ヶ野さんは今幽霊みたいになっているだけなの」
「ああ、そういうことだったんだ。っていうことは井上さんも異能力者なの?」
「……ええ。私も異能力を使うことができるわ」
「ちなみに何ができるの?」
やっぱり聞いてきたか。綾香はそう考え、どう答えるか迷う。
今あったばかりのこの男たちに正直に異能力を教えていいのかを。まだ信用できない彼らに奥の手である異能力のことを話すのは得策ではないと判断した。
「………ええと、私一応異能力を使えるんだけどまだ弱い力しか使えなくて…そんなことより、奥にいる二人も紹介してもらえない?」
うまく話しをそらそうと、別の話題を振る。
「ああ、あいつらは僕の親友で背の高いほうが高橋で、少し太っているほうが松本さ。二人とも悪いやつじゃないから仲良くしてほしいな」
「えーっと、よろしくね。高橋君と松本君」
よろしくといって相手が握手を求めてきたのはいいものの、あまりやりたいとは思えない。
高橋は背の高さの割りにあまりに細くて薄気味が悪いし、松本も少しというには太りすぎた身体に脂汗で着ているシャツが湿っている。
しかし諍いになると面倒だし、なにより命を助けてもらった身だ。無理笑いをして二人と握手をする。
高橋は普通に終わったが、松本の握手の時間が長い。本人はニヤニヤしているし半ば無理やり手を離す。
最後に幽霊の西ヶ野が自己紹介をした。
彼らに怪しいやつだと誤解されていてまともに名前も話すことができなかったようだ。
「とりあえず自己紹介はおわったし、一体何が起こったのか教えてくれないかしら?」
そういった綾香に如月はぽつぽつと語りだした。




