ランクA VS 元ランクA
ゾンビ物をすると決めたときに絶対やりたいとおもっていた回です
鍵がある職員室は二階にある。今屋上で下は三階なのであと1つ下に下りる必要がある。
慎重に周りを見渡しながら進む一行だがあることに気がつく。
「ゾンビが居ないでござる…逆にそれも不気味でござるよ…」
「うるせーぞござる。いいから黙ってろ」
「今拙者のことをござるって呼んだでござるか!?失礼でござるよ!」
「二人とも静かに!やつらがどこに潜んでいるかわからない」
山下と前谷の言い合いをマナトが制止させる。
だが山下の言う通り不気味だ。ゾンビが本当に見当たらない。もしかしたらなにか外の音に反応してどこかに行ってしまったのかもしれない。
しかし、それはあくまで予想にすぎない。決して警戒は緩めずに進まなければならない。
そんな警戒が無駄になったのは良い事なのか何事もなく職員室にたどり着く。
「一番奥の壁に鍵がかけてある。鍵には遠征バス用の名札がついているからすぐにわかるはずだ」
梁瀬の説明が終わると全員はさらに気を引き締めゆっくりと職員室の扉を開ける。
「いないでござるか…?ふぅ…拍子抜けだったでござるね…ハハ」
「だからうるせーんだよござる。だいたい手が振るえてんじゃねーか。なにが『拍子抜けでござるね』だよ。馬鹿じゃねーの?」
「さっきから失礼でござるよ!手が震えるのはしょうがないでござろう!」
少しだけ声が大きくなる。すると職員室の隅のほうに影が動く気配を感じた。
驚いてその方を見ると一体のゾンビが居た。
マナトはそのゾンビを見ると目を見開く。
「は、萩谷なのか?」
萩谷はこの学校の名物のような人だった。
異能力はランクAの”重力使い” ただそれだけなら何も名物ではないが彼はことあるごとにマナトに異能力で勝負をしかけていた。
いつどんなときにでもマナトに会うたび勝負をしかけ毎回マナトに力負けしていた。
いつしかそれは生徒の間でもまたやってるよと名物になっていた。
マナトも嫌がっているわけではなく、楽しんでいるような雰囲気さえだしていてこの学校では仲の良い友達だった。
「クソッ。萩谷まで…」
「マナト…」
「わかってる。今は鍵が優先だ。悲しいけど彼に構っている暇はない」
鍵を取ろうと進むとマナトは変な感覚を覚えた。
よく感じたことのある感覚のような気がするが、どこか違う。
記憶を探ってこの感覚を思い出そうとする。
何の感覚かを思い出したとき、その事の重大さに慌てて大声を出す。
「五十嵐さん!今すぐ窓の下に大きなマットを創って!」
「えっ?」
そう言うとマナトは窓ガラスを睨みつける。すると窓ガラスが一斉に割れる。
そして僕たち全員の体が宙に浮き、窓の外に投げ出される。
「マナトッ!何をするんだ!」
外に投げ出された僕は職員室に残っているマナトに叫ぶ。
次の瞬間、職員室が潰れ全壊した。
久美は宙に放り出されながらも地面に巨大なクッションを創造してくれたおかげで、怪我なく地面に降りることができた。
僕はすぐに職員室に戻ろうとするが、綾香に引き止められる。
「離せ綾香!マナトが中に居る!」
「ダメよ!今戻るのは危険すぎるわ!戻って!」
異能力を使った綾香に力で絶対に敵わない。
「クソォォォ!マナトォォォォ!」
僕の叫びは今も崩れている瓦礫の音でかき消されてしまった。




