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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第65話 黒幕の輪郭

 火は、小さくなっていた。


 だが――消えてはいない。


 ルクサリア各地で起きた放火。


 暴動未遂。


 そして、残された歪んだ紋章。


 それらは繋がり始めていた。


 *


 レギオン、均衡評議会。


 机の上に並ぶ報告書。


 同じ印。


 同じ手口。


 同じ流れ。


「……偶然じゃない」


 カミラが言う。


 誰も否定しない。


 *


 サディークが資料を叩く。


「資金はここだ」


 全員が見る。


 交易ルート。


 複数の小商会。


 そして。


「匿名の資金移動」


 エルミナが笑う。


「やっと見えたわね」


 その目は鋭い。


 *


「表に出ない資金」


「複数の口座」


「同時期の移動」


 一つずつ繋がる。


 点が線になる。


 *


 カイエルが言う。


「これは」


 一言。


「国家ではない」


 沈黙。


 *


「個人でもない」


 リュネが小さく言う。


「……組織」


 その言葉で、空気が変わる。


 *


 イリスは静かに言う。


「名前は」


 短く。


 *


 誰も答えない。


 だが。


 レオナが低く言う。


「オルディス」


 沈黙。


 それが、初めて明確に出た名前。


 *


 その頃。


 ルクサリア。


 リリアは同じ資料を見ていた。


「……繋がってる」


 エリアナが言う。


「全部」


 リリアは頷く。


 *


「暴動」


「放火」


「不信」


「全部、誘導されてる」


 冷静に分析する。


 *


「でも」


 エリアナが言う。


「どうして?」


 その問いは核心だった。


 *


 リリアは少しだけ考える。


 そして。


「簡単よ」


 短く言う。


「均衡を壊すため」


 *


 沈黙。


 それ以上でも、それ以下でもない。


 *


「でもそれだけじゃない」


 リリアは続ける。


「壊した後がある」


 エリアナが息を呑む。


 *


「空白を作る」


「その後に」


 一言。


「入る」


 *


 それは、国家の乗っ取りと同じだった。


 *


 その時。


 兵が駆け込んでくる。


「報告!」


「密会を発見!」


 空気が変わる。


 *


「どこ?」


「港の倉庫です!」


 リリアは即座に動く。


「行くわ」


 *


 夜。


 港。


 倉庫の影。


 静かに近づく兵たち。


 中から声がする。


 *


「……次は首都だ」


「選挙を止める」


「資金は回した」


 低い声。


 複数。


 *


 リリアが手を上げる。


 合図。


 一斉に突入。


 *


「動くな!」


 剣が抜かれる。


 逃げる影。


 だが。


 一人が捕まる。


 *


「……誰の指示だ」


 リリアが問う。


 男は笑う。


「遅い」


 一言。


 *


「もう動いてる」


 その目は狂気ではない。


 確信。


 *


「どこで」


 男は答える。


「王都」


 沈黙。


 *


 レギオン。


 報告が届く。


「組織確認」


「オルディス関連」


 カイエルが言う。


「確定です」


 *


 イリスは静かに言う。


「場所は」


 *


「……レギオン」


 空気が凍る。


 *


 レオナが立ち上がる。


「内部か」


 カミラ。


「あり得る」


 エルミナ。


「むしろ当然」


 *


 リュネが呟く。


「信仰も」


 サディーク。


「市場も」


 カイエル。


「制度も」


 *


 イリスが言う。


「すべて」


 一言。


「侵食されています」


 *


 地下。


 暗い部屋。


 オルディスは笑っていた。


「いい」


 低い声。


「見えたか」


 そして。


「だが遅い」


 *


 彼の背後には、複数の影。


 軍服。


 商人。


 神官。


 そして。


 均衡機構の徽章をつけた者。


 *


「均衡は」


 ゆっくり言う。


「内側から壊れる」


 *


 レギオンの夜は静かだった。


 だが。


 その内側では。


 すでに崩壊が始まっていた。

読んでいただきありがとうございます!


ついに黒幕――オルディスの「輪郭」が見えてきました。

しかも敵は外ではなく、内側に潜んでいる。


ここから一気に物語は加速します。

「誰が味方で、誰が敵なのか」その境界が崩れ始めます。


次話はついに――“内部の裏切り”が明確になります。


続きが気になったら、

ぜひ【ブックマーク】【評価】で応援いただけると嬉しいです!


次話もお楽しみに。

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