表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第2部:七王国会議編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/115

第41話 理念の試験

 会議場は、静まり返っていた。


 通貨急落。

 国境衝突。

 資源停止。


 三つの危機が同時に発生している。


 だが七王国の代表は、誰一人として席を立たなかった。


 それが、この会議の重さだった。


 そして。


 静かに椅子を引く音がした。


 セレスタ公国。


 カイエル・アルセリオン。


 柔らかな笑みを浮かべた男が、ゆっくり立ち上がる。


「皆さん」


 その声は穏やかだった。


「ようやく、本題に入れそうですね」


 レオナが目を細める。


「危機が起きている」


「それが本題だと言うのか」


 カイエルは頷く。


「ええ」


「制度は平時のためではありません」


「危機のために存在します」


 会議場が静まる。


 *


「今起きている三つの事象」


 彼は指を折る。


「通貨」


「資源」


「軍事」


「これは偶然ではない」


 エルミナがわずかに笑う。


「そう思う?」


「思うのではなく、確信しています」


 カイエルの声は穏やかだが鋭い。


「制度を試す者がいる」


 円卓がわずかに揺れる。


 *


「誰だ」


 レオナが問う。


「それを今言う必要はありません」


 カイエルは首を振る。


「重要なのは別のことです」


 一歩前に出る。


「制度は、試されている」


「そして今、失敗すれば」


 円卓を見渡す。


「この大陸は、旧秩序へ戻る」


 沈黙。


「王は世襲へ」


「軍は独立へ」


「市場は分裂へ」


「信仰は国家へ」


 それは後退。


 歴史の逆行。


 *


 カミラが腕を組む。


「結論は?」


「簡単です」


 カイエルは言う。


「今この場で」


「七王国の相互安定原則を決める」


 空気が動く。


「共同安定基金」


「共同資源備蓄」


「緊急軍事監査」


「信仰自由条項」


 彼はゆっくり言う。


「全てを一つの枠組みにする」


 イリスの目が動く。


 それは彼女の構想に近い。


 だが一段大きい。


 *


「つまり」


 エルミナが言う。


「大陸制度を作ると?」


「ええ」


 カイエルは頷く。


「国家の上に立つ制度ではない」


「国家同士の均衡機構」


 レオナが言う。


「誰が管理する」


 カイエルは微笑む。


「誰も」


「そして全員」


 ざわめき。


「七王国均衡評議会」


「代表七名」


「緊急時のみ発動」


 短い説明。


 だが構造は明確。


 *


 サディークが初めて興味を見せる。


「資源管理は?」


「共同監視」


「備蓄量は公開」


 エルミナ。


「通貨?」


「共同介入」


 レオナ。


「軍?」


「三国監査」


 カミラ。


「民意?」


「公開議論」


 リュネ。


「信仰?」


「自由保障」


 静寂。


 すべてが繋がっている。


 *


 イリスは静かに言う。


「それは」


「大陸秩序です」


 カイエルは頷く。


「ええ」


「そして今、この瞬間」


 窓の外を見る。


「それが必要な瞬間です」


 遠くで鐘が鳴る。


 王都の市場。


 通貨はまだ揺れている。


 国境では兵が対峙している。


 資源は止まっている。


 だがこの円卓で、


 初めて一つの構造が見え始めた。


 大陸秩序。


 七王国均衡機構。


 それは国家の終わりではない。


 国家が共存するための枠組み。


 *


 レオナが小さく笑う。


「面白い」


 エルミナも微笑む。


「利益はありそう」


 カミラは記録を続ける。


「公開する価値はある」


 リュネは静かに頷く。


「神も否定しない」


 サディークは短く言う。


「資源も守れる」


 そして。


 イリスが言う。


「議論を続けましょう」


 七王国会議は、新しい段階へ入った。


 だが同時に。


 この会議を壊そうとする者も、確実に動き始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ