表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第2部:七王国会議編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/113

第32話 神に選ばれし者

 神権国家エルダリア。


 空に最も近い国、と呼ばれている。


 山脈の頂に築かれた大聖堂は、雲を突き抜ける白塔のようだった。


 鐘が鳴る。


 深く、静かに。


 *


 大巫女リュネは祭壇の前に立っていた。


 白銀の長衣、閉じた瞳。


「王を人が選ぶ……」


 その声は囁きのように柔らかい。


「神意を、どう扱うのか」


 周囲の巫女たちが沈黙する。


 エルダリアでは、王は“戴冠”されるのではない。


 “啓示”によって指名される。


 人の多数決ではない。


 神の声。


 *


「七王国会議への招請」


 側近が差し出す。


 リュネは書簡を受け取る。


「王位選出制を国際承認へ」


 静かな空気が揺れる。


「人が王を選ぶなら」


 彼女は目を開く。


「神の役割は、どこに置くのか」


 問いは鋭い。


 制度は信仰を排除できない。


 信仰もまた、国家の根だ。


 *


 エルダリアの市井。


「王を民が決めるらしい」


「神を否定するのか」


「異端だ」


 ざわめきが広がる。


 だが若者の一部は違った。


「自分で選ぶなら責任も自分だ」


 信仰と自立。


 揺れが生まれている。


 *


 王城、アウレリア。


「エルダリアは出席確定」


 アルヴェルトが告げる。


「大巫女自ら来る」


「当然です」


 イリスは頷く。


「制度は信仰と向き合わねばならない」


 王位は制度になった。


 だが王は象徴でもある。


 象徴は信仰と切り離せない。


 *


 リリアは資料を読む。


 エルダリアの歴史。


 神授王権論。


「……正面から否定はできない」


「ええ」


 フィオナが答える。


「信仰を敵に回せば、国内も揺れる」


 王位選出制は、無神論ではない。


 だが人が選ぶ。


 その境界線は、極めて繊細。


 *


 夜。


 リュネは祈る。


「神よ」


「人の選ぶ王を、どう見ますか」


 風が塔を撫でる。


 沈黙は答えにならない。


 だから彼女は決める。


「会議で問います」


 制度は神を否定するのか。


 それとも包み込むのか。


 *


 王城、深夜。


 イリスは窓辺に立つ。


 軍が試し、


 市場が揺らし、


 今度は信仰が問う。


 制度は万能ではない。


 だが万能である必要もない。


「王は神ではない」


 静かに呟く。


「だが責任は神に委ねない」


 それが王位解体の本質。


 七王国会議は近い。


 力。


 利益。


 信仰。


 民意。


 資源。


 理念。


 そして均衡。


 全てがぶつかる。


 制度は、祈りに耐えられるのか。


 試練は、まだ続く。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ