第33話 民意の先駆者
共和国ノヴァ。
石造りの王城はない。
代わりにあるのは、円形の議事堂。
中央に立つのは王ではなく、議長。
カミラ・ヴェルディア。
若くして議長に選ばれた、論戦の名手。
*
「アウレリアが王位を選出制へ?」
議場がざわめく。
「遅い」
カミラは淡々と言う。
「だが評価する」
王制そのものを廃した共和国から見れば、
それは半歩だ。
それでも前進。
*
「七王国会議に出席します」
即断だった。
「議論は公開を要求」
「密室は認めない」
側近が頷く。
「王が制度に入るなら、民意も制度に入る」
それが共和国の論理。
*
王都アウレリア。
「共和国議長、公開討論を要求」
フィオナが報告する。
「当然でしょう」
イリスは頷く。
「隠すことはありません」
制度は透明性で立つ。
だが公開は、危険も伴う。
言葉の失敗は、そのまま大陸へ流れる。
*
リリアは討論原稿を破る。
「言葉を整えすぎると、嘘になる」
商人は数字で語る。
だが王候補は理念で語らねばならない。
「民意か……」
彼女は呟く。
共和国は民意至上。
だが民意は揺れる。
揺れをどう扱うか。
*
ヴァルド軍事王国。
レオナは報告を受ける。
「共和国も出席」
「民意で戦を止められるなら苦労しない」
彼女は剣を磨く。
「だが聞く価値はある」
力は思想を軽視しない。
強い思想は、強い国家を生む。
*
エルダリア。
リュネは静かに言う。
「民意は神意と対立しない」
「だが混同もできない」
信仰と民主。
制度はどこまで受け入れるのか。
*
王城。
アーネストが訪れる。
「共和国は王制を否定するでしょう」
「ええ」
「それでも会議を?」
「当然です」
イリスは答える。
「否定を恐れれば、制度は完成しません」
王は批判に立つ。
それが制度。
*
共和国ノヴァ。
カミラは窓辺に立つ。
「王が退位を宣言?」
興味深い。
「理念はある」
「だが完成していない」
彼女は静かに微笑む。
「会議で問う」
「王制は、民意に耐えられるのか」
*
王都。
掲示板に新たな噂。
七王国会議、公開形式で開催か。
民衆は期待し、同時に不安を抱く。
王候補は二人。
王族。
商人。
まだ決まらない。
だが時間は迫る。
七王国が集う。
軍事国家。
市場国家。
神権国家。
共和国。
資源国家。
理念国家。
そして制度国家。
民意の先駆者は言う。
「王は選ばれるだけでなく、問われ続ける」
制度は完成へ近づく。
だが同時に、
逃げ場も消えていく。
七王国会議まで、あとわずか。
王は、大陸の前に立つ準備を始めていた。
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