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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第80話 不完全な勝利

 勝利は、静かだった。


 歓声はない。


 凱歌もない。


 ただ――


 列が、最後まで途切れなかった。


 それだけだった。


 *


 夕暮れ。


 ルクサリアの空が、赤く染まる。


 投票箱が閉じられる。


 その音が、小さく響く。


 *


 リリアは、その音を聞いていた。


 何も言わずに。


 *


「……終わりましたね」


 エリアナが言う。


 *


 その声には、安堵と、そして少しの戸惑いが混ざっている。


 *


「ええ」


 リリアは頷く。


 *


「終わったわ」


 *


 だが。


 その顔に、喜びはない。


 *


「……勝ったんですよね」


 エリアナが問う。


 *


 リリアは少し考える。


 そして。


「勝ったわ」


 *


 一拍。


 *


「でも」


 *


 空を見上げる。


 *


「全部じゃない」


 *


 その言葉が、この勝利のすべてだった。


 *


 レギオン。


 均衡評議会。


 *


 結果が報告される。


 *


「投票成立」


 *


「有効票、確保」


 *


「再選挙、完了」


 *


 沈黙。


 *


 誰も歓声を上げない。


 *


 カミラが、ゆっくりと息を吐く。


「……本当にやったのね」


 *


 エルミナが肩をすくめる。


「市場はまだ揺れてるけどね」


 *


 サディーク。


「資源も完全ではない」


 *


 リュネ。


「信仰も戻りきってはいません」


 *


 レオナ。


「軍は警戒を続ける」


 *


 すべてが、不完全。


 *


 イリスが言う。


「それで十分です」


 *


 全員が見る。


 *


「均衡は」


 一言。


「完成しません」


 *


 沈黙。


 *


「だから」


 *


「続けるのです」


 *


 その言葉は、静かに落ちる。


 *


 誰も否定しない。


 *


 リリアが立つ。


 *


「これで終わりじゃない」


 *


 全員が見る。


 *


「始まりよ」


 *


 短く。


 *


 だが確かな言葉。


 *


 その時。


 カイエルが静かに言う。


「……一つだけ」


 *


 視線が集まる。


 *


「追えませんでした」


 *


 沈黙。


 *


「何を」


 カミラが問う。


 *


「資金の一部」


 *


 エルミナが眉をひそめる。


「消えた?」


 *


 カイエルは頷く。


「はい」


 *


「痕跡ごと」


 *


 沈黙。


 *


 それは。


 終わっていない証。


 *


 リリアが小さく笑う。


「いいじゃない」


 *


 全員が見る。


 *


「全部終わったら」


 一言。


「つまらないでしょ」


 *


 その言葉に。


 わずかに空気が緩む。


 *


 地下。


 暗い部屋。


 *


 オルディスは、静かに座っていた。


 *


 灯りは一つ。


 *


 その顔は、はっきりとは見えない。


 *


「……負けたか」


 小さく言う。


 *


 だが。


 その声に悔しさはない。


 *


「いや」


 *


「違うな」


 *


 ゆっくりと立ち上がる。


 *


「続いている」


 *


 その目が光る。


 *


「均衡は」


 一言。


「壊れる」


 *


「必ず」


 *


 そして。


 静かに笑う。


 *


「だからこそ」


 *


「面白い」


 *


 ルクサリア。


 夜。


 *


 広場には、もう人はいない。


 *


 ただ。


 投票箱だけが残っている。


 *


 リリアは、それを見ていた。


 *


「……終わったわね」


 小さく言う。


 *


 そして。


 振り返る。


 *


 その目は、もう迷っていない。


 *


 均衡は、守られた。


 *


 不完全なまま。


 *


 それでいい。


 *


 それが。


 この世界の、形だった。

 勝利は、静かだった。


 歓声はない。


 凱歌もない。


 ただ――


 列が、最後まで途切れなかった。


 それだけだった。


 *


 夕暮れ。


 ルクサリアの空が、赤く染まる。


 投票箱が閉じられる。


 その音が、小さく響く。


 *


 リリアは、その音を聞いていた。


 何も言わずに。


 *


「……終わりましたね」


 エリアナが言う。


 *


 その声には、安堵と、そして少しの戸惑いが混ざっている。


 *


「ええ」


 リリアは頷く。


 *


「終わったわ」


 *


 だが。


 その顔に、喜びはない。


 *


「……勝ったんですよね」


 エリアナが問う。


 *


 リリアは少し考える。


 そして。


「勝ったわ」


 *


 一拍。


 *


「でも」


 *


 空を見上げる。


 *


「全部じゃない」


 *


 その言葉が、この勝利のすべてだった。


 *


 レギオン。


 均衡評議会。


 *


 結果が報告される。


 *


「投票成立」


 *


「有効票、確保」


 *


「再選挙、完了」


 *


 沈黙。


 *


 誰も歓声を上げない。


 *


 カミラが、ゆっくりと息を吐く。


「……本当にやったのね」


 *


 エルミナが肩をすくめる。


「市場はまだ揺れてるけどね」


 *


 サディーク。


「資源も完全ではない」


 *


 リュネ。


「信仰も戻りきってはいません」


 *


 レオナ。


「軍は警戒を続ける」


 *


 すべてが、不完全。


 *


 イリスが言う。


「それで十分です」


 *


 全員が見る。


 *


「均衡は」


 一言。


「完成しません」


 *


 沈黙。


 *


「だから」


 *


「続けるのです」


 *


 その言葉は、静かに落ちる。


 *


 誰も否定しない。


 *


 リリアが立つ。


 *


「これで終わりじゃない」


 *


 全員が見る。


 *


「始まりよ」


 *


 短く。


 *


 だが確かな言葉。


 *


 その時。


 カイエルが静かに言う。


「……一つだけ」


 *


 視線が集まる。


 *


「追えませんでした」


 *


 沈黙。


 *


「何を」


 カミラが問う。


 *


「資金の一部」


 *


 エルミナが眉をひそめる。


「消えた?」


 *


 カイエルは頷く。


「はい」


 *


「痕跡ごと」


 *


 沈黙。


 *


 それは。


 終わっていない証。


 *


 リリアが小さく笑う。


「いいじゃない」


 *


 全員が見る。


 *


「全部終わったら」


 一言。


「つまらないでしょ」


 *


 その言葉に。


 わずかに空気が緩む。


 *


 地下。


 暗い部屋。


 *


 オルディスは、静かに座っていた。


 *


 灯りは一つ。


 *


 その顔は、はっきりとは見えない。


 *


「……負けたか」


 小さく言う。


 *


 だが。


 その声に悔しさはない。


 *


「いや」


 *


「違うな」


 *


 ゆっくりと立ち上がる。


 *


「続いている」


 *


 その目が光る。


 *


「均衡は」


 一言。


「壊れる」


 *


「必ず」


 *


 そして。


 静かに笑う。


 *


「だからこそ」


 *


「面白い」


 *


 ルクサリア。


 夜。


 *


 広場には、もう人はいない。


 *


 ただ。


 投票箱だけが残っている。


 *


 リリアは、それを見ていた。


 *


「……終わったわね」


 小さく言う。


 *


 そして。


 振り返る。


 *


 その目は、もう迷っていない。


 *


 均衡は、守られた。


 *


 不完全なまま。


 *


 それでいい。


 *


 それが。


 この世界の、形だった。

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