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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第77話 均衡の代償

 空気が、重かった。


 誰も動かない。


 誰も声を出さない。


 ただ――互いを見ている。


 *


「……全員疑う、か」


 カミラが呟く。


 その声には、怒りと、そしてわずかな恐れが混ざっていた。


 *


 均衡評議会室。


 円卓。


 いつもと同じ配置。


 だが、まるで別の場所のようだった。


 *


 リリアは立っている。


 座らない。


 *


「そうよ」


 短く言う。


 *


「ここにいる全員が対象」


 *


 沈黙。


 *


 レオナが腕を組む。


「……合理的だな」


 だが、その目は鋭い。


 *


 エルミナが笑う。


「面白いわね」


 *


「疑われる側になるのは、初めてかしら」


 *


 サディークは無言。


 ただ、机に置かれた資料を見ている。


 *


 リュネは目を閉じる。


「……信仰は試されますね」


 *


 そして。


 カイエル。


 *


 彼は、静かに立っていた。


 表情は変わらない。


 だが。


 ほんのわずかに。


 目が揺れている。


 *


「方法は?」


 イリスが問う。


 *


 リリアは即答する。


「簡単よ」


 *


「全部、開く」


 *


 カミラが顔を上げる。


「……何を」


 *


「記録」


「資金」


「指示」


 *


「全部」


 *


 沈黙。


 *


 エルミナが眉をひそめる。


「市場が死ぬわよ」


 *


 サディーク。


「資源も止まる」


 *


 リュネ。


「信仰も崩れます」


 *


 リリアは頷く。


「ええ」


 *


「だから代償よ」


 *


 その言葉。


 *


 カミラが立ち上がる。


「そんなの――」


 言いかけて、止まる。


 *


 理解しているからだ。


 *


 今のままでも、崩れる。


 *


 なら。


 どちらを選ぶか。


 *


 レオナが言う。


「俺は賛成だ」


 *


 全員が見る。


 *


「どうせ隠しても終わる」


 *


「なら、開けて戦う」


 *


 その言葉は、あまりにも軍的だった。


 だが。


 今は、それが正しい。


 *


 イリスが言う。


「決を取ります」


 *


 沈黙。


 *


 カミラ。


 *


 エルミナ。


 *


 サディーク。


 *


 リュネ。


 *


 そして。


 カイエル。


 *


 一人ずつ。


 頷く。


 *


「……決定です」


 *


 イリスが言う。


「全公開」


 *


 その瞬間。


 均衡機構は、自らの鎧を脱いだ。


 *


 ルクサリア。


 広場。


 *


 掲示が出される。


 *


 記録。


 資金。


 操作履歴。


 *


 すべて。


 *


 人々が見る。


 *


 沈黙。


 *


 ざわめき。


 *


「……本当に出したのか」


 *


「隠してない」


 *


「全部……?」


 *


 驚き。


 混乱。


 そして。


 *


 わずかな。


 信頼。


 *


 エリアナが言う。


「これが……」


 *


 リリアは頷く。


「そう」


 *


「これが代償」


 *


 その時。


 人混みの中。


 *


 一人の男が、掲示を見ている。


 *


 顔が強張る。


 *


「……ある」


 小さく呟く。


 *


 指が震える。


 *


 そこに。


 見覚えのある記録。


 *


 自分が書いたもの。


 *


 だが。


 それは。


 *


 改ざんされている。


 *


「……違う」


 *


 顔を上げる。


 *


「これは俺じゃない!」


 *


 叫ぶ。


 *


 周囲がざわめく。


 *


「証明できるか?」


 誰かが言う。


 *


 男は詰まる。


 *


 だが。


 *


「……できる」


 低い声。


 *


 リリアが前に出る。


 *


「証明しなさい」


 *


 その一言。


 *


 男は頷く。


 *


 逃げない。


 *


 隠さない。


 *


 それが。


 変化だった。


 *


 レギオン。


 カイエルはその光景を見ていた。


 *


 静かに。


 *


「……なるほど」


 *


 小さく呟く。


 *


 その目は、もう揺れていない。


 *


 何かを決めた目。


 *


 地下。


 オルディスは、沈黙していた。


 *


 初めて。


 笑っていない。


 *


「……面倒だな」


 *


 小さく言う。


 *


「だが」


 *


「まだ終わらない」


 *


 その目が細くなる。


 *


「次だ」


 *


 均衡は、傷ついた。


 だが。


 まだ折れていない。


 *


 そして。


 その代償は――


 これから、現れる。

読んでいただきありがとうございます!


ついに均衡機構は「すべてを開示する」という最大の賭けに出ました。

これは勝つための一手であり、同時に自分を傷つける選択でもあります。


ここからは「証明」のフェーズへ。

誰が嘘で、誰が本物なのかが明らかになっていきます。


次話では、ついに“黒幕の一部”が表に出ます。


面白いと感じていただけたら、

ぜひ【ブックマーク】【評価】で応援いただけると嬉しいです!


次話もお楽しみに。

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