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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第72話 選択

 灰が、まだ舞っていた。


 燃えた紙の残骸。


 踏み荒らされた投票所。


 誰もいない広場。


 *


 リリアは、その中心に立っていた。


 動かない。


 何も言わない。


 *


 敗北。


 その言葉が、はっきりと形になっていた。


 *


「……終わり、ですね」


 エリアナが言う。


 声は小さい。


 折れている。


 *


 リリアは答えない。


 ただ、目の前を見る。


 *


 何も残っていない。


 制度も。


 流れも。


 信頼も。


 *


「……違う」


 小さく呟く。


 *


 エリアナが顔を上げる。


「え?」


 *


 リリアはゆっくりと振り返る。


 その目は、まだ死んでいない。


「終わってない」


 *


 その一言で、空気が変わる。


 *


「全部壊れた」


 頷く。


「だから」


 一歩前へ。


「やり直す」


 *


「でも……どうやって」


 エリアナの声は震えている。


 当然だ。


 何も残っていない。


 *


 リリアは答える。


「簡単よ」


 *


「一つずつ」


 沈黙。


 *


「一人ずつ」


 *


 その言葉は、あまりにも原始的だった。


 制度でもない。


 仕組みでもない。


 *


「……そんなの」


 エリアナが言う。


「遅すぎます」


 *


 リリアは頷く。


「ええ」


 *


「でも」


 一言。


「確実よ」


 *


 その目は揺れていない。


 *


 レギオン。


 均衡評議会。


 沈黙が続いていた。


 *


 誰も口を開かない。


 何を言っても、無意味に思える。


 *


 その中で。


 カミラが言う。


「……もう無理よ」


 *


「制度は失敗した」


 その言葉は重い。


 *


 エルミナが言う。


「市場も崩れる」


 サディーク。


「資源も」


 レオナ。


「軍しかない」


 *


 結論は出ていた。


 ように見える。


 *


 その時。


 イリスが言う。


「選択します」


 *


 全員が顔を上げる。


 *


「制度を続けるか」


「力に移るか」


 *


 沈黙。


 これは、すべての分岐点。


 *


 カミラが言う。


「力」


 即答。


 *


 レオナ。


「同意」


 *


 サディーク。


「現実的だ」


 *


 エルミナ。


「市場もそれを望む」


 *


 リュネは目を閉じる。


「……祈りでは止まりません」


 そして。


「力です」


 *


 全員が、同じ方向を向く。


 *


 最後に。


 イリス。


 *


 彼女は、ゆっくりと目を閉じる。


 *


 そして。


「いいえ」


 *


 空気が止まる。


 *


「制度を続けます」


 その一言。


 *


 カミラが叫ぶ。


「無理よ!」


 *


 イリスは言う。


「無理でもやります」


 *


「ここでやめたら」


「それが答えになる」


 *


 沈黙。


 誰も言い返せない。


 *


 その時。


 扉が開く。


 *


 リリアが入ってくる。


 *


 全員が振り向く。


 *


 その姿は、煤で汚れている。


 だが。


 目は変わっていない。


 *


「……どうだった」


 レオナが問う。


 *


 リリアは答える。


「負けた」


 *


 沈黙。


 *


「完全に」


 *


 誰も言葉を出せない。


 *


 そして。


 リリアは続ける。


「だから」


 一歩前へ。


「やり直す」


 *


 イリスがわずかに笑う。


 *


「同意します」


 *


 カミラが呟く。


「……本気?」


 *


 リリアは言う。


「今度は」


 一言。


「見える形でやる」


 *


「隠さない」


「誤魔化さない」


「全部出す」


 *


 エルミナが眉をひそめる。


「市場が崩れる」


 *


「一度ね」


 リリアは答える。


 *


「でも」


 一歩前へ。


「その後は戻る」


 *


 その言葉には、根拠がない。


 だが。


 確信がある。


 *


 沈黙。


 *


 そして。


 レオナが笑う。


「……面白い」


 *


「乗る」


 *


 カミラが頭を抱える。


「狂ってる……」


 だが。


 その口元は、わずかに笑っていた。


 *


 イリスが言う。


「決定です」


 *


「制度を続ける」


 *


 その瞬間。


 均衡は、もう一度動き出す。


 *


 地下。


 オルディスは静かに目を細める。


「……まだか」


 *


 予想外。


 *


「壊れたのに」


 *


 彼は小さく笑う。


「いい」


 *


「なら」


 一言。


「もっと壊す」


 *


 そして。


 影が動く。


 *


 レギオンの夜。


 静かだった。


 だが。


 確実に、何かが変わった。


 *


 均衡は、一度崩れた。


 そして今。


 もう一度、選ばれた。


 *


 それが正しいのか。


 それとも。


 ただの延命か。


 *


 答えは、まだ誰も知らない。

読んでいただきありがとうございます!


ついに「選択」の回でした。

完全に崩壊した中で、それでも制度を選ぶ――

ここがこの物語の核心です。


ここからは逆転編に入ります。

ただし、簡単には勝てません。


次話では「どうやって取り戻すのか」、

具体的な一手が描かれます。


続きが気になったら、

ぜひ【ブックマーク】【評価】で応援いただけると嬉しいです!


次話もお楽しみに。

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