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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第70話 均衡崩壊前夜

 刃は、音もなく迫っていた。


 リリアは振り向かなかった。


 気づいていたからだ。


 背後にある“意図”に。


 *


 夜のレギオン。


 廊下は静かだった。


 だが、その静けさの中に――確かな殺気があった。


 *


「遅いわね」


 リリアが呟く。


 その瞬間。


 影が動く。


 *


 刃が振り下ろされる。


 だが。


 金属音。


 弾かれる。


 *


 レオナがそこにいた。


「予想通りだ」


 低い声。


 *


 襲撃者は一瞬止まる。


 だがすぐに距離を取る。


 無駄がない動き。


 訓練された者。


 *


「誰の差し金?」


 リリアが問う。


 答えはない。


 *


 次の瞬間。


 襲撃者は煙玉を投げる。


 視界が白くなる。


 *


「逃がすな!」


 レオナが叫ぶ。


 兵が動く。


 だが。


 影は消えていた。


 *


 沈黙。


 煙が晴れる。


 残されたのは――


 また、あの印。


 歪んだ均衡の紋章。


 *


「……来たわね」


 リリアが小さく言う。


 *


 レギオン、均衡評議会。


 緊急招集。


「暗殺未遂」


 報告が落ちる。


 空気が変わる。


 *


 カミラが立ち上がる。


「もう限界よ」


 怒り。


「制度でどうにかなる段階じゃない」


 *


 レオナが言う。


「護衛を増やす」


 即断。


「対象はリリア」


 *


 エルミナ。


「市場も反応する」


 サディーク。


「資源も」


 リュネ。


「信仰も揺れる」


 *


 すべてが連動する。


 これが象徴の重さ。


 *


 イリスは静かに言う。


「予定通り進めます」


 沈黙。


 *


「再選挙を」


 短い。


 だが揺るがない。


 *


 カミラが叫ぶ。


「今!?」


「狙われてるのよ!」


 *


 イリスは答える。


「だからです」


 一言。


 *


「ここで止めれば」


「それが答えになる」


 沈黙。


 誰も否定できない。


 *


 リリアが笑う。


 わずかに。


「いいわ」


 *


「受ける」


 その一言。


 空気が変わる。


 *


 レオナが言う。


「危険だ」


 リリアは答える。


「分かってる」


 そして。


「でもここで逃げたら終わり」


 *


 その目は強い。


 迷いはない。


 *


 ルクサリア。


 再び広場に人が集まる。


 だが今回は違う。


 *


 ざわめき。


 視線。


 緊張。


 *


「またやるのか」


「今度はどうなる」


 期待と不信が混ざる。


 *


 エリアナが立つ。


 その隣にリリア。


 *


 人々がざわめく。


 *


「始めます」


 エリアナが言う。


 声は震えていない。


 *


 その瞬間。


 どこかで火が上がる。


 *


 悲鳴。


 人が走る。


 混乱。


 *


「……またか」


 誰かが呟く。


 だが。


 *


 リリアが叫ぶ。


「止まるな!」


 その声は鋭い。


 *


「これが狙いよ!」


「混乱させて止める!」


 *


 沈黙。


 一瞬。


 *


 そして。


 一人が歩き出す。


 投票箱へ。


 *


 また一人。


 また一人。


 *


 流れが変わる。


 *


 火はまだ燃えている。


 だが。


 人は止まらない。


 *


 レギオン。


 その映像を見て、カミラが呟く。


「……止まらない」


 *


 イリスが言う。


「はい」


 *


「それが」


 一言。


「制度です」


 *


 地下。


 オルディスは静かに笑っていた。


「いい」


 低い声。


 *


「だが」


 目が細くなる。


「まだ足りない」


 *


 彼はゆっくりと手を上げる。


 その先にいる影。


 *


「次は」


 一言。


「崩す」


 *


 レギオンの空は、まだ静かだった。


 だが。


 その下で。


 均衡は、限界まで引き伸ばされている。


 そして。


 次に切れるのは――


 どこか。

読んでいただきありがとうございます!


ついに“直接攻撃”が始まりました。

そしてそれでも止まらない選挙――ここが均衡の真価です。


ただし、まだ敵は本気を出していません。

次に来るのは「崩壊の一手」です。


ここで第3部はクライマックスへ突入します。


続きが気になったら、

ぜひ【ブックマーク】【評価】で応援いただけると嬉しいです!


次話もお楽しみに。

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