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婚約破棄された地味令嬢は、辺境で国を再建する ~無能扱いした王太子が後悔してももう遅い ―捨てられたのでお金の管理をやめたら、王都が崩壊しました  作者: 桜庭ルナ
第3部:均衡の試練編

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第69話 崩れる信頼

 ざわめきは、広がるのが早かった。


 噂は、火よりも速い。


 ――裏切り者がいた。


 ――選挙はまた壊された。


 ――均衡機構も信用できない。


 その言葉は、街を覆っていく。


 *


 ルクサリア、公都ルクス。


 広場に再び人が集まる。


 だが今回は、怒号ですらない。


 もっと冷たいもの。


「……もういい」


 誰かが呟く。


 それが広がる。


 *


「どうせ決まってる」


「何をしても同じ」


 諦め。


 それが最も危険だった。


 *


 エリアナはその空気を感じていた。


 怒りならまだいい。


 ぶつけられる。


 だが――


 諦めは、動かない。


「……」


 言葉が出ない。


 *


 その時。


 人混みの中から声。


「投票なんて意味ない!」


「全部嘘だ!」


 誰かが叫ぶ。


 だが。


 反応は弱い。


 *


「……そうかもな」


 別の誰かが言う。


 それで終わる。


 議論にもならない。


 *


 エリアナは一歩前に出る。


「違います!」


 声を張る。


 だが。


 *


「証明できますか?」


 静かな声。


 振り向くと、一人の老人。


 目は鋭い。


 *


「今回も改ざんされた」


「前回も止まった」


 ゆっくり言う。


「何が違うのですか」


 沈黙。


 *


 エリアナは答えられない。


 事実だからだ。


 *


 その時。


 人の波が割れる。


 リリアが前に出る。


 *


「違いは一つ」


 短く言う。


 全員が見る。


 *


「今回は隠さない」


 沈黙。


 *


「壊れたことも」


「裏切りも」


「全部出す」


 その言葉に、空気が揺れる。


 *


「……出してどうする」


 老人が問う。


 *


「選ばせる」


 リリアは答える。


 *


「壊れたまま選ぶか」


「やり直すか」


 そして。


「決めるのはあなたたち」


 *


 沈黙。


 完全な納得ではない。


 だが。


 完全な拒絶でもない。


 *


「……信じられん」


 誰かが言う。


 リリアは頷く。


「そうね」


 *


「だから」


 一歩前に出る。


「私も賭ける」


 *


「もしまた壊れたら」


 一拍。


「私が責任を取る」


 ざわめき。


 *


「どうやって」


 *


「辞める」


 短い。


 だが重い。


 *


 沈黙。


 その言葉は効いた。


 *


 エリアナが息を呑む。


 そこまで言うのか。


 *


 老人がリリアを見る。


 長く。


 そして。


「……なら」


 一言。


「見届ける」


 *


 その言葉は小さい。


 だが。


 確実に広がる。


 *


 完全な信頼ではない。


 だが。


 完全な拒絶でもない。


 *


 レギオン。


 報告が届く。


「暴動なし」


「だが信頼低下」


 カミラが呟く。


「最悪は避けた」


 *


 エルミナ。


「市場もギリギリ持つ」


 サディーク。


「資源も」


 リュネ。


「信仰も」


 *


 カイエルが言う。


「だが」


 一言。


「脆い」


 *


 イリスは静かに頷く。


「はい」


 *


「だからこそ」


 彼女は言う。


「次が重要です」


 *


 その夜。


 レギオンの別の場所。


 暗い部屋。


 複数の影。


「……効いている」


「信頼は崩れた」


「あと一歩だ」


 *


 一人が言う。


「次は?」


 *


 別の声。


「象徴を壊す」


 沈黙。


 *


「誰を」


 *


「リリア」


 空気が変わる。


 *


 地下。


 オルディスは静かに笑っていた。


「いい」


 低い声。


 *


「信頼を壊すには」


 一言。


「象徴を壊せばいい」


 *


 レギオン。


 リリアは一人で立っていた。


 窓の外を見る。


 静かな街。


 *


「……来るわね」


 小さく呟く。


 *


 その時。


 背後で音。


 振り向く。


 *


 誰もいない。


 だが。


 気配だけが残る。


 *


 均衡は、限界に近づいている。


 そして。


 次に壊れるのは――


 “人”だった。

読んでいただきありがとうございます!


ついに「信頼の崩壊」が広がり始めました。

そして次に狙われるのは――リリアという“象徴”。


ここから物語はさらに緊張感の高いフェーズに入ります。

守るべきものが「制度」から「人」へと変わっていきます。


次話ではついに“直接的な攻撃”が描かれます。


少しでも面白いと感じていただけたら、

ぜひ【ブックマーク】【評価】で応援いただけると嬉しいです!


次話もお楽しみに。

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