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森の妖精の恩返し  作者: 林 秀明
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まさかの出来事

三郎はふと目が覚めた。目を開けると周りに木々が並び、自分が高い位置から地面を見下ろしている。動こうにも身体が地に張り付いたようで全く動けない。両手両足、そして頭でさえも固定されているようだった。何だこれは……まさか……と思った。なんと自分は「木」になっていたのだ。

なぜだと頭で何度も考えても答えは見つからなかった。身体に血の感覚がなく、冷たいという感覚もない。生きている感じがしない、自分の身体がここになく、死んでいる感じだ。考えに思い悩んでいると下の方で奥から人がやって来るのが見えた。

 よく目を凝らして見ると自分の兄弟だった。一ケ月前に行方不明になった兄達が、樹海を彷徨っていたのだ。声で呼びかけようとしたが、口がないので声を出せない。自分と兄達との距離は近かったが、心は天と地のように遠かった。



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