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言葉を忘れた詩人の帽子は此処にあり  作者: エティリュシア・クイーン
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言葉を忘れた詩人の『哀しみ』

妻が倒れた

脳の病気らしい


後遺症

人の顔を憶えられないという


私は喉から内臓がぶち撒けられるような

そんな焼けただれた感情を抱いた


桃を扱うように接していたエリーゼのことも

忘れたらしい


言葉を忘れるよりよくない


叫んだ

子どものエリーゼの方が言葉をよく知っている


私は何を感じて

どんな言葉を発するべきか


無力だ

とてつもなく無力だ


私はエリーゼの声に震えて

涙を流すしかなかった


父である私は感情の言葉を

妻は人の顔を

忘れてしまったのだから


この時の感情は……知りたくないな


エリーゼは絵を描いていた


帽子を被った詩人の私と

手をつなぐ子どもの姿

そして真っ黒に塗りつぶされたもう一人


「あんなのママじゃない」


壊れた家族に『喜び』は来ない


私は今の心境に近い詩を

引き出しから探した



『哀しい君』


葬式帰りの君

亡くなった友から貼られた

花柄の絆創膏に込められた祈り


たとえ深く『哀しい』夜に怯えていても

傷口は塞がるものなのさ


友は永遠に心のなかにある

明日を信じて生きよう


ほら、泣き顔に太陽の光が散らばった



過去の詩を見て

『哀しみ』を思い出した


今までの詩のなかに

言葉を浮かべるヒントがある


待っていてくれ

妻よ、エリーゼよ


2人の顔を穏やかなものに戻したい

そのためにやるべきことがあるのだ


詩人だ

私は詩人でしかない


言葉を思い出さねば

何の役にもなれんのだ


待っていてくれ

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