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たんば2000分の1―― 人助けをしたはずが、痴女として語り継がれています  作者: 夏乃緒玻璃


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第2話 転生したらカタツムリになってしまう件

「カタツムリって、何年かは生きるんですよね」


 緊急避難したカタちゃんの中で、私は死神に聞いてみた。


 裸形(らぎょう)の霊体からしてみれば、殻に守られているこの「器」は安心感がある。


 ボディもなんだか弾力性があって、安定している。

 地に足が着いている感じ?


 まあ、私もカタちゃんも足は無いんだけど。


 それに、亀とかもそうだけれど、ゆっくり生きる生物は、寿命も長めな気はするんですよね。


 ならばもう冒険しないで、いっそこのまま、ここに居た方が安全かも。


 気がつくと死神のお兄さんが冷たい目でこちらを見ている。


 もしかして軽蔑してます?――だった何かチート能力の一つでも下さいよ。

 いや、せめて服よこせ。


「カタツムリの寿命は二、三年」


 死神さんは冷たく言った。


「ただし、鳥や鼠や他の虫に食われなければな。日本にはマイマイカブリみたいにカタツムリ食に特化した虫もいるから、気をつけろよ」


「――はあ?」


 聞いた事はありますが、ナニソレ。


 カタちゃんが、たぶんナメクジみたいな――想像だけどね?――ナメナメみたいな先祖から頑張って進化して、殻を獲得したのが無意味じゃないの!


 カタツムリ食に特化って、ひどくないですか?

 殻に頭突っ込んで食べちゃうなんて、残酷すぎます。


 頑張って頑張って、やっと意中の人に振り向いてもらったら、横から来た化粧の上手い恋敵に奪われるようなモノじゃないですか!


 カタツムリの数億年を返せ。

 私の29年を返してよ!


「おい霊魂。殻の中に閉じこもってたいのはわからんでもないが、カタツムリの中で死んだら、来世もカタツムリだぞ――あと因みにカタツムリはナメクジから進化したワケじゃ無いからな」


 心を読むなっ


 て、いいますか、なんですかそのルール。

 カタツムリの中で死んだら次もカタツムリ?


 じゃあタンポポの中で死んだら、次もタンポポですか?――空き缶に入っている間に潰されたら、次はどうなるんですか――自販機に並べられ、買われて飲まれる過程はすっ飛ばして、いきなり空き缶転生ですか?


「むちゃくちゃです。ルールの説明を要求します!」


 あ、すごーく面倒くさそうな顔をしましたね?


 でもそれ、あなたの仕事ですよね。

 ちゃんと説明してください。


「さっきも言ったが、魂の無いモノにしか入れない。虫に入っている時に死んだら虫の神の管轄、モノに入った場合は――そのモノが本来持っている機能が果たせなくなったら破壊とみなして消滅」


「え、それじゃ――空き缶は」


「まだ液体が入る形を維持してりゃ、セーフな」


 潰されたら、おわりぃ?ひいい。


 じゃ、ガラスは割れたら終わりで――おお、ならボーリングの玉みたいに、丈夫なモノに入ればいいのか。


「ボーリング場まで頑張って辿り着くんだな――あ、あと重要な事を言い忘れてた。元々のお前の体重以上のモノには入れないからな。42キロが限界だ」


「いちいち体重言わないで!」


 ――ああでも、こんな事ならっ。もっと体重増やしとけば良かったよ。自動車くらい重かったら移動、超ラクだったよね。


「――で、結局お前は、どこに移動したいというんだ?」

 

 あ――。


 そうだ――。

 私の身体……身体の回復を待つんだった。

 

「私の身体はどこ?」

「中央病院の13号室で、昏睡してるぞ」


「なら、そんなに遠くない。猫ちゃんか何かに憑依して――」

「猫は魂があるから無理だな。猫の死骸ならあるいは――」

「気持ち悪い事いわないでっ」


「ふん、まあだから、鳥も無理だし――羽虫みたいなのならokだから頑張ってみろ。まあ病室に羽虫がいたら駆除されるかもしれんが」

「生きて病院に辿り着ける気すらしません!」


 魂のない、現実的な移動手段は虫しかないのか――一寸の虫にも五分の魂って嘘だったのね。


 さて、どうしよう。


 ゆっくり考えている時間もない。

 カタちゃんの中だっていつまでも安全とは限らない――いっそ、空き缶か何かに避難しておく?


  周囲を見回す。

  ――ゴミ一つ落ちていない。

  うーん、日本のオフィス街、清潔デスネ――。

  

  泣けてくる。


「じゃ、俺、いくから。何かあったら呼べ。手が空いたら、来れる時は、来てやるかもしれない」


 絶対来たくない的な――そのうち連絡するね、と言って逃げて行く妻子持ちの男みたいな態度。


 腹が立つ。


 私はカタちゃんの中で、不安と孤独でさめざめと泣いたのだった。


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