Enemy or Sister(4)
残るは四人だが、こちらの特性に気づいたのか、『G3』から肩にかけていた『RPG-7』を構えてくる。
弾数では勝てないと判断したのか力押しに作戦を変更したようだ。
でも私にはその程度の攻撃は効かない。
時間差で前方の二人が発射するがそもそも私命中することはなく、少し後ろや前の地面に当たり爆発するが、爆風は私を避けるように周りを吹き飛ばす。
ノーダメージな上に接近速度を緩めることすらできない。
学習しない奴らね。
もう正面の敵は目の前、再び向けるのは『G3』、私はそれを蹴り飛ばし、もう一回転し首に一撃加えて腕を取ったそいつの後ろで締め上げて押し倒した。
「……動くなよ」
腕をひねり脅迫する。
残りの三人は攻撃を仕掛けるもなく、拘束したこいつを置いて撤退するようね。
頭に拳銃を突きつける。
「……どうせ撃てないくせに、調子に乗るなよ、くそがきが」
――――――バン!!!
頭の横をすり抜けるように銃弾が通る。
「どこの所属かしら?」
「……」
掴んだ手をさらに捻り上げる。
「ふ、風紀省だ」
「そんなことが聞きたいんじゃないのよね、あなたならわかるわよね?」
さらに腕を捻る。
「と、特別治安維持科だ!!」
私は腕を捻りを弱くする。
「あなた、どこの派閥の回し者なのかしら?」
「い、いえない、それだけは言えない」
「じゃあこうね」
腕をねじ上げ銃口を頭に擦りつける。
今の私は悪魔のような表情を浮かべていることだろう。
「痛い痛い痛い離してくれ」
「うるさいわね」
ジタバタと抜け出そうとするコイツに肘撃ちを食らわせる。
「グハッ」
「で、どこの派閥なの?」
「……だ」
その声は小さく他でドンパチしているような場所では聞き取ることはできない
「はっきり言いなさい!!」
「さ、さわむら派だ」
「そう、それじゃあ、さようなら」
私は首の裏に衝撃を与え気絶させた。
これで一件敵は全て片づいたように見えるかもしれない。
だがそうではないのだ。
あのホテルのタワーの屋上から高みの見物をしている奴らが部下では倒せないことを知って降りてくるのだ。
いや、本当は勝てないことを知っていながらわざと戦わせていたのかもしれない。
なぜなら、彼らはすぐ目の前まで来ているのだから!!
「あなたの能力、見させてもらったわ」
私の目の前に堂々と姿を現す女、服装は黒の制服、つまりは風紀省でも特別階級の者だけが着ることができる制服だ。
風紀省特別治安維持科の中でもエリート中のエリートにだけ与えられている物で、階級は一佐以上でかつLV7オーバーの能力を所持している者が対象となり、その中でも現在の風紀省特別治安維持科総督である『沢村 (さわむら )』の直下にのみ与えられる。
通称『黒服』と呼ばれて一般人からも怯えられるような存在だ。
ちなみに『沢村 (さわむら)』とは上記の通りだが、軍事省への対抗意識がかなり強く風紀省内部では沢村派と呼ばれる強硬派として名高く、裏で何をたくらんでいるかわからない危ない派閥であることは間違いない。
そんな奴の手下しかも、『黒服』となればただの強いの域を超えている可能性は高い。
能力持ちしかもLV7以上ということになる。
『黒服』は長い草むらの中からひっそりと姿を現した。
黒髪の短髪で金色の装飾がついた『SPK』のつば付の帽子をかぶっており顔はよく見えない。
体格は一般的くらいしかわからない。
腰には『H&K HK45T』とロングソードを装備している。
「お前が『姫神 美空』ね。あそこからじっくりと観察させてもらったわ」
男口調でタワーを指さした。
私を見る目は獲物を狙う鷹の如く鋭く遠くの街灯明かりが反射しギラリと光る。
「風紀省が私に何のようかしら?」
「決まってんだろ、お前には今スパイ容疑が掛かってんだよ。だから大人しく連行されてくんないかな?」
「それにしては随分荒っぽかったけど、あれで大人しく何てのは無理だわ。大人しくしてたら死んじゃうわ」
「とはいえこれでデータは取れたわけだ」
「あれだけの人数犠牲にしておきながらよく言えたわね。あんたは高みの見物してただけじゃない」
呆れたように言うとフンッと鼻を鳴らし、
「あいつらはあれが仕事なのだ」
「随分人使いが荒いようね、風紀省の特科は」
「荒いも何もあんなのしたっぱよ。使い捨ててなんぼの物でしょ? どこの組織でも同じことやってることだ」
下種な連中だとは思っていたけどここまでとは思わなかったわ。
本当に屑の集まりだ。
「許せないわ。あんたような奴、私がここで倒すわ」
「望む所だ」
私とあいつは同時に拳銃を構える。
――――――バン!!!
あいつの一発の銃声から戦闘は開始された。




