Enemy or Sister(3)
~MISORA Side~
京四郎に強引に振り解かれ少しだけ赤くなった手を胸の前に持ってくる。
「……京四郎のバカ」
前からわかっていたことだった。
私は情報としてあらかじめ京四郎とシルシィの関係は知っていたけど、本人から言われるのとでは全然重さが違った。
なんでわからないの?
あいつは、シルシィは犯罪者なのに……。
私は大声で叫び後方の部隊の追撃に出る。
奴らが中央低速で右翼左翼に行くに従い速度が速くなっている。これもまた包囲陣形の一つのよう。
敵の人数までは正確に把握することはできない。
でも次第に目が暗闇に慣れてきたおかげで射線と音だけに頼らなくても索敵することができる。
シルバーの『Cz75』の2丁拳銃で先制攻撃をしかける。
――――――バンバンバン!!
二連射×二丁で速度の速い左右の両端から狙って射撃する。
音と気配で場所は特定が可能。
命中音は鈍い音で狙いは悪くなかったが防弾チョッキに命中したと思われる。
武器を破壊できれば良かったがそううまくは行かない。
私の銃撃が開戦の狼煙となり、一斉に射線を浴びる。
全体を見回すが射線がまちまちで狙いが定まっていない。まだ場所が完全に特定されたわけではない。
こっちから裸眼で敵の位置が見えないということは向こうも見えてないというのは間違いではないよう。
それに暗視スコープなどの特殊な装備も持っていないようで、これなら同じ条件下での戦闘ができる。
「『 』発動!!」
私は無意識的その言葉で念じる。
心の中を制限する鎖を破壊しリミッター解除する。頭の中の思考能力、身体能力が若干上昇し、拘束から解き放たれる。
主に右斜め前、左斜め前、正面の三方向から飛んで来る無作為性の高い弾丸の直線的に動きを捻じ曲げるかのように銃弾は私の避けるようにして飛んでいき、銃弾同士が私の後方で衝突し合い火花を出しながら不格好な形に変形しながら地へ転がって行く。
さらに今度は正面へ四発、左右へ四発射撃していく。
正面で金属音がし銃本体に命中した可能性が高い。左右は鈍い音で命中したが防弾チョッキのよう。
足音が大きくなり裸眼でようやく正体が見える。
「……あれは」
風紀省の部隊だった。
あの時から私たちのことを包囲していたのは風紀省であり、軍事省の部隊ではなかったのだ。
何かの間違いかと思ったが緑系の制服に黒の防弾チョッキ、何より『G3』を装備しているところを見ると風紀の奴らには違いない。
本当なら喜ぶ所だろう。
こっちも風紀委員会の傘下という肩書を得て任務にあたっているのだから、でも彼らはこちらを敵視している。
さっき包囲したのも相手の間違いではないようだし、一体この戦場はどうなっているのだろう?
現在の勢力図がよくわからないまま、中央の方で待機していた風紀班は味方だった。つまり特別な作戦を受けていない。
それに対して林の中とタワーから私たちを監視している風紀班には別の命令系統から司令が出ていることになる。
つまり極秘ミッションのこと。
そんなことを行えるのは風紀省の中でも一つの部署だけ、風紀省と並列に並び同じ権限を持っている組織がある。
それは『風紀省特別治安維持科』通称『SPK(Special Peace Keeping :エスピーケー)』と呼ばれている。
風紀省を表とすれば『SPK』は裏の存在、秘密裏に治安維持のために様々なことを行っている。
大日本帝国時代で言えば特別高等警察のようなものだと思ってもらっていい。
現在の日本で言えば公安警察、公安調査庁をもっと過激にしたものだ。
そんな奴らが私たちをターゲットとしている。
何が目的なのかまではわからないけど、シルシィ・レイステラが関係していることだけは明白だわ。
でもそれだけにしては随分と強引な気もする。
情報収集だけなら風紀省に呼び出せばいいだけのこと、私も風紀省の専属でミッションを行う仮的な組織員の一人なのだから。
しかしながら現状では敵扱いされているところを見るとそれ以外にも様々な事情が複雑に絡んでいるように思える。
向こうからも私を捕捉したようで、
「中央にターゲットワンを発見」
と無線で報告するのが聞こえる。
風紀省の部隊は前進を止めて手榴弾を投擲してきた。
「いきなり物騒なものを出すのね」
こっちの戦闘力を知っている以上手加減何てものはないようね。
ならば、
「……こっちも手加減する必要はないわね」
手榴弾は避けずとも私を躱すようにそれる。手榴弾の投擲軌道もその爆風もすべてが私を避け命中はしない。
さっきの投擲によりより正確な位置が把握できた。
後はその方向へ銃弾を撃ち込むだけ
両手の『Cz75』が次々に薬莢を排出し、全面の二人を撃沈させた。
「今のうちに包囲しろ」
その間にも相手の御得意の包囲陣形を取り囲んで接近戦に持ち込もうとしている。
でもそれは間違いだということを教えてあげる。
なぜなら、
「私も接近戦は大得意なのよね!!」
「――――おら!!」
刃の長さが短いナイフで仕掛けてくるなんて、ここの組織はバカばっかりのようね。
大振りで振ったナイフは私の横の地面に突き刺さり顔を蹴り飛ばしやる。
「まだよ」
追撃してもう一撃食らわせて木に叩きつける。
あえて後ろを取らせることで相手は私の予測通りに油断しさっき同じ方法で攻撃を仕掛けてくるのだ。
そんな攻撃が通用するわけもなく、頭を蹴り飛ばした。
「――――やれ!!」
一度残りの二人は私の左右に一人ずつに分かれ後退し、さらに後ろの方に隠れていた4人が『G3』で一斉に射撃しテ来る。
流石に全部の弾を処理するのは無理ね。
私が近くの木に隠れやり過ごす。
だがこっちが動けない状況で左右から『G3』で攻撃を仕掛けて来る。




