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月の輪Memorial!!  作者: Yuki乃
EP07 Enemy or Sister
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Enemy or Sister(2)

 その時だった。

 カランッと金属のような音と共に足で何かを踏みつけてしまい立ち止まる。

 普通ならその程度のことで立ち止まることはないのだが意外と大きい塊であったため止まった。

「どうかしたの?」

 俺は暗い足元でわずかな裏庭の街灯の光の銀色の反射する金属の塊を手に取り、付着した土を掃う。

 ――――これは拳銃だ!!

リボルバー銃、バレルの土を掃うと『Colt M1877 Lighting』と彫られてあるが見える。

それだけじゃない。装飾が施されている。美しい花柄のレリーフが地面に落ちたことで薄汚れているが土が付かなかった部分はわずかな明かりで高貴なピンクゴールドに反射している。

間違いない、

「――――これはシルのだ!!」

 部長にも『Colt M1877 Lighting』を見せる。

「……確かにあの子のものね。こんな派手な装飾のカスタム銃なんてそうそうないわ」

 シルと言う言葉を聞いた途端にさっきまでの表情は一変する。

 怯えるような憎しみが瞳に宿ったような気がした。

「じゃあ、この近くに……いや、あの中にシルがいるはずだ!!」

 そうなれば、あの単独で戦っているのはシルということになる。

 銃が落ちているということはシルが劣勢、または銃を放棄するような状況に陥っていることになる。

 しかしながら、さっき俺はあれを敵の能力者だと言った。

 どちらも間違ってはいないはずだ。

 ではどういうとなんだ?

 その銃を持ったまま、林から出れば、

 街灯の明かりで風紀省の部隊であることが確認できた。撤退したのは軍事省の部隊だろう。

 単独で戦っている方は街灯との関係で影になってよく見えないがそのシルエットはスカートで大きなリボンをしているようだった。

 風紀省の部隊は三人が後衛、二人が前衛となって近接格闘と遠距離射撃を交互に行い逃げる隙を与えない戦法だ。

 前衛はソードを使い、後衛は『H&K G3』で牽制射撃を行い、じりじりと追い詰めて行く。

 対して単独の方は防戦一方という感じだ。

 手に武器は持っておらず、近接攻撃のソードと銃弾を何度も躱しながら後退している。

「俺、シルを援護します」

「待って!!」

 部長に腕を掴まれる。

「私たちの後ろからも来るわ、さっきの奴らよ」

 確かに後ろの奴らが追い付きつつあるのは確かだ。

 さっきまでの包囲陣形ではなく、前衛と後衛が交互に並んでいる無難な陣形で接近している。

 それにやはりホテルのタワーに観測班または狙撃手が数人いる。

 射線を感じたわけではないが、何となく察しがつく。

「このまま、じゃシルがやられます」

 シルという言葉を発するたびに表情が曇る。

「……それでも後ろのを足止めする方が先よ」

 複雑な表情で言う。

 仲が悪いことが関係しているかどうかまではわからない。

「シルを助ける方が先です」

「シルシィ・レイステラは敵として認識されているわ。だから今援護すれば、あんたも敵扱いされるわ」

「それでもシルを援護します」

「ダメよ、絶対ダメ!!」

 部長が掴みかかる。

 どちらも冷静でないことは明らかだが、俺の目に映る前方の風紀省の部隊も後方から接近する部隊も同じ装備であるように見えるのだ。

 確定情報ではないだけに何とも言えないが、後方の部隊も『G3』を装備しているように見えるのだ。

「部長がシルのこと嫌っているのは知ってますでも」

「ち、違うわ!! そういう意味で言ったわけじゃない」

「言ってますよ!! あれがユーや御影先輩でも同じことが言えますか?」

「……」

 部長は黙ってしまう。

「俺はシルを助けに行きます。部長は後方の敵をお願いします」

 俺もかなり強い口調で言ってしまう。

「……あんたは私よりも、あの子を取るのね」

「何のことですか?」

「京四郎、あんたは知らないの? シルシィ・レイステラは『超能力犯罪者(アウトロー)』なのよ。ここで捕まった方が良いのよ」

 いつもの部長とはどこか違う。

 単に意見が合わないということではない。

 何かとてつもない憎悪の感情から来る言葉だ。

「過去に何があったかは知りませんが――――」

「――――だったら!!」

「でも、今は俺の妹です。助けに行きます!!」

 掴んだ手を強引に振り解き林から出て風紀省の部隊へ突っ込む。

 握った『USP』の安全装置を外しアイアンサイトで狙いを定める。

「もう、知らない、京四郎何てもう知らない、シルのことが好きな京四郎何て大っ嫌いなんだから!!」

 後ろから部長が大声で叫ぶ声が聞こえる。

 そして俺とは逆方向つまり後方の部隊の追撃に出たようだ。

 それに構わず俺は直進した。

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