包容
「恋愛ってなんなんだろうね。今ぼくには、恋が一方的に思えるんだよ。じゃあ愛はどうなんだろう。愛を恋の上位みたいに扱う人もいるけど、だったら恋人と愛人はどうなんだと聞きたいよね。堂さんもそう思わないかい。愛について考えてみようよ」
眠り続ける彼女に話しかける。静かに、言葉を発することのない彼女のことを考えてみる。このままにしておけば、彼女はずっとこのままなのだろうか。ぼくは傍に居られるのだろうか。
このまま腐っていく彼女を、ぼくは見ていることができるのだろうか。
できるとは、言いたい。けれどどこまでいっても上っ面だけなんだ。実際にはどうなのか、そうなってみないとわからない。変わっていくもの、変わらないもの、人の身も心もそうだろう。それを許す許さないというのも、横柄な言い分なのか。そうあるべくしてあるだけ。諦めでも認めるでもない。それを包容するべきなのだ。
彼女は朽ちていく、ぼくは老いていく。彼女はなくなり、ぼくは置いていかれる。
頭ではわかること、でも知識でしかない。経験ではない。これを納得できるのか、できたときこそがきっと。
ぼくは堂美春を見る。あなたはきっとぼくを許せない。あなたのささやかな願いを、叶えることを遅らせたぼくを。ぼくだけの都合で。だってぼくはてんあなたにとって単なる隣人でしかないのだから。
ぼくもきっとあなたを許せない。あなたが生きていればこんな感情にはなっていない。ほんのわずかに、ぼくを巻き込んだ。回りくどい巻き込み方をした。あなただけの都合で。あなたは、ぼくにとって単なる隣人でしかなかったのに。
それでも
ありがとう




