盲目
「……」
彼は前を見た。
アーサーが約束した豪奢な部屋が目の前に広がっていた。魔法がかかった水晶のランプから発せられる柔らかな光が磨かれた木製の家具に反射し、それ以外は静かな部屋を照らしていた。
有沢はゆっくりと自分の喉に触れた。
「あっ……あっ……!」
止める前に悲鳴が漏れた。
膝から崩れ落ち、涙と鼻水が顔を伝った。
——なんで俺は……
——こんなにも影響を受けているんだ?
その目はいつもより虚ろだった。
「……」
——俺は死んだ。
——何度も死んだ。
——なのに今、それで崩れ落ちているのか?
——俺は……
——自分がどこにいるのかさえわからない。
——今が何時かも。
——神様……
頭を抱えた。
——俺は解離している……
——でも、気づいているなら、どうして?
——見えない。
——盲目だ。
——なぜ?
一拍。
——いや。
——目は見えている。
——でも盲目のように感じる。
——感情的に。
——致命的に。
——心理的に。
——肉体的に。
——存在のすべてが盲目のように感じる。
——俺の意識は……
——消えていくのか?
彼は前を見つめた。
それから部屋がぼやけた。
壁が伸びた。
光が歪んだ。
そして突然——
彼はダシルの運搬車の中にいた。
——……
——ここにはいたくない。
「王女は大丈夫ですか?」
クリスは静かな懸念に満ちた穏やかな表情で振り返りながら尋ねた。
「ええ……クリス、大丈夫です。あなたのご家族が助けてくださって、特に停戦の件で、感謝しています。」
「え……?」
有沢はその見覚えのある言葉を思い出した……
「何……?」
ダリアは有沢を見て、顔がすぐに心配へと変わった。
「有沢! 大丈夫? 気分が……悪そう?」
「わ、私たちはもう……この展開を経験したんじゃ……何が……何が起きてるんですか?」
——俺は自分で喉を切った……今、ここに戻ってきた?
「も、もうすぐ着くから、心配しないで……」
サラデルはわずかに立ち上がり、有沢を見た。
「かなり動揺しているようね……さっきまで普通だったのに、今は不安定。数分でいったい何があったの?」
首を傾げた。外には何の表情も出ていなかった。
「俺は……自殺して、それで、今ここにいる?」
ダリアとサラデルの目が驚きで見開かれた。
「自殺……!?」
「え、何?」
「有沢、何を言っているの?」
ダリアは眉を高く上げてパニックで言った。
「生きているのにどうやって死んだの?」
「ガ、ガトリルはどこ……彼女は俺の——……」
自分の手を見た。
「指を……」
サラデルは有沢を見つめた。
「冗談は面白くないわよ。やめて、ダリアを心配させている。」
「俺は本気です、死んで戻ってくることができる。ずっとそうなんです、それが俺の人生で……」
胸を握りしめた。
——ああ、ようやく……ようやく言えた。
ダリアは見つめた。
「……し、し——死?!」
汗をかき始めた。
「ち、違う……あなたは……え、何?」
サラデルは……本物の驚きを見せた。
「あなたの死は有限ではないということ?」
「そうです……その通り。」
有沢は言った。
サラデルは考えた。
「ふむ……解剖しなければならないわ。物理的に。リジー、中に入って、どの臓器を切るかはあなたに任せる。これは必要なことよ、重要な瞬間だから。不死を解明できるかもしれない。」
ダリアは動揺していて、サラデルの言ったことにも反応できなかった。
「ま、待って……いや、リジーじゃなくて……待って……臓器を切る?!」
首を振った。
「お願いです、サラデル……やめてください。」
サラデルは首を傾げた。
「死んで戻ってこられると言ったよね? 今私が殺しても何が問題なの……痛みは何千もの人を救える。」
クリスが会話を遮った。
「着きました……」
サラデルはクリスを止めた。
「いいえ、これがどうなるか見届けなければ。」
リジーが彼女の髪から飛び出し、霊的に有沢の胸から中へと入っていった……
「……あっ……」
腹を抱えた。
しかし……物理的な断裂が腹から生じた……
リジーが詰まった……サラデルの要求に応えようと霊的から物理的に変わり、今出ようとしている……
「あ、神様……ち、違う……」
口から血が溢れた。
「……」
それから……ドスッという音と共に、リジーが腹を引き裂いて……出てきた。
ダリアは恐怖に目を見開いた。
暗闇。
……
有沢だけがいた。
……
有沢は自分の手を見下ろした。
「……」
「ここはどこだ……?」
それからもう一人の有沢が目の前に現れた。
完璧なコピー。
自分を完璧に映した鏡。
「だからなんだ……」
クローンが言った。
「だから俺たちは嘘をつく。」
「だから俺たちは隠れて守る。」
その表情は穏やかなままだった。
「お前は臆病者だ。」
一拍。
「俺と同じように。」
「俺たちは自分の死について話さない。」
「俺たちは自分の能力について話さない。」
「なぜなら話した瞬間、俺たちは特異な変数になるから。」
その目が細まった。
「実験。」
「現象。」
「答えを待つ問い。」
有沢は首を振った。
「ち、違う……クローン沢、そんなわけない。」
「俺は夏雄だ。」
クローンはすぐに答えた。
「……」
有沢は目を逸らした。
クローンは続けた。
「お前は話した。」
「真実を。」
「そして何が起きた?」
有沢は固まった。
サラデルの顔がすぐに頭に浮かんだ。
解剖。
研究。
不死。
理解。
クローンは彼を指差した。
「一瞬、お前は有沢ではなくなった。」
「解決すべき何かになった。」
有沢の胸に何かが締め付けた。
死への恐怖ではない。
物体になることへの恐怖。
役に立つ存在になることへの恐怖。
人間以下になることへの恐怖。
「これはすべてお前の心の中にあった。」
夏雄は一歩引いた。
「目を覚ませ。」
「目を覚ませ。」
「ただ目を覚ませ。」
——————
有沢は部屋の天井を見つめていた。
天井は見知らぬものだった。
白い石に銀色のマナの線が交差し、ひび割れのあいだでかすかに光っていた。高価な建築。高貴な建築。
アーサーの部屋。
少なくとも……そう思った。
ダリアが近くに立ち、その目は心配で満たされていた。サラデルはすでにクリップボードを手に隣に立っていた。
「これで二度目の気絶ね……何の理由で?」
有沢は数秒天井を見続けてから、ようやくサラデルに視線を移した。
——すべてが……
——いや。
——運搬車の話に戻れ。
——一つのことに集中しろ。
——あれは偽物だったのか?
——心が俺を騙しているのか?
首を振った。
——わからない。
手がゆっくりと腹に向かった。
何もない。
傷もない。
血もない。
傷跡もない。
なのにまだその感覚を覚えていた。
圧力。
痛み。
引き裂かれる感覚。
指がすぐに引き離された。
——止まれ。
——考えるな。
——考えると現実になる。
——でも考えなかったら……
——それは果たして現実だったのか?
胸が締め付けられた。
——何を信じればいい?
——記憶?
——視覚?
——論理?
——死ぬたびに何かが変わる。
——あるいは何も変わらないのかも。
——変わっているのは俺自身なのかも。
目が細まった。
——すでに何人の俺が存在したんだ?
——俺が持っている記憶のうち、本来俺のものではないものはいくつあるんだ?
——起きていないことを覚えているとしたら……
——それはまだ記憶と言えるのか?
——いや、起きていない、起きるはずがなかった……ただ心が作り上げたシナリオだったんだ。
その考えが不快感を生んだ。
不合理なほどの不快感を。
答えられないから。
そして有沢は答えられない問いが嫌いだった。
「また考えてるのね。」
サラデルはクリップボードを調整した。
「自称セラピストとして、何を考えているか話して。」
ページを一枚めくった。
「全部話して。」
有沢はただ起き上がった。
部屋が明るすぎる気がした。
アモールの内庭を見下ろす高い水晶の窓から陽光が差し込んでいた。白いカーテンが風にそっとなびいていた。すべてが平和に見えた。
普通に。
普通の部屋。
普通の朝。
なのに自分がそれから完全に切り離されているように感じた。
誰か別の人の人生に放り込まれたような感覚。
彼はサラデルを肩からそっとどかしてから立ち上がった。
「いや……何も考えていなかったです、サラ。」
「サラと呼ばないで。」
サラデルの返答は即座だった。
「ダリアが言っていたように、あなたは名前を尊重する人よ。私の名前も尊重して。」
その表情は完全に無表情のままだった。
「だ、大丈夫ですか、有沢?」
ダリアがわずかに前に出た。
「なんか……変ですよ。」
変。
ほとんど笑いそうになった。
代わりに首の後ろを掻いた。
「会うたびに、あなたはいつも遠くにいる。」
自分の声が奇妙に聞こえた。
自分自身にも。
「ファフラを迎えに行かないと。ちょうど外交の仕事が終わったんでしょう?」
ダリアは一瞬躊躇した。
「……どれくらい意識を失っていましたか?」
サラデルがすぐに答えた。
「正確に六時間。」
クリップボードを叩いた。
「夜の時間を除いて。基本的な計算を使えば、スティアからクレストまでおよそ十九時間が経過しています。」
「スティアからクレスト?」
「時間のことよ。」
サラデルはため息をついた。
「地元の時間体系さえ知らないのね。」
有沢は自分を指差した。
「弁解すれば、ここに来てまだ一週間くらいですから。」
「スティアとクレストはマナの周期で測られます。」
サラデルは腕を組んだ。
「ブルームが中間点。環境のマナ密度が最高濃度に達する点よ。」
教科書から直接読み上げているかのように話した。
「マナの変動が時間の経過を示しているの。」
有沢は見つめた。
「……」
「……」
「その説明を理解するには疲れすぎています。」
目を覚ましてから初めて、サラデルはわずかに失望したように見えた。
「予想通りね。」
有沢はため息をついた。
「ともかく……」
指を鳴らした。
その動作には勢いがなかった。
火花もない。
自信もない。
ただの習慣だった。
「出発しよう。クリスを呼んで、それからファフラを迎えに行く。」
「アーサーは停戦を受け入れましたか?」
「俺は……」
ダリアは目を逸らした。
こめかみの近くに汗の粒が浮かんだ。
「わからない。」
代わりにサラデルが答えた。
「誰もわからないわ。」
扉のほうを見た。
「彼女は何時間もあの中にいる。」
一拍。
「ファフラは今ちょうど交渉を終えようとしているところ。」
有沢は頷いた。
「サラデル……ここにいてくれ、いいか? 俺とダリアでファフ——」
言葉が詰まった。
頭の中で顔が閃いた。
灰色の髪。
灰色の瞳。
刃。
微笑みではない微笑み。
胃がよじれた。
——ガトリル。
——いや。
——止まれ。
——彼女のことは考えるな。
すぐに自分を正した。
「ち、違う。」
声が意図より速く出た。
「一緒に来てくれ。」
目がサラデルに向いた。
「あなたも大事だから。」
サラデルは一度瞬きをした。
「……興味深い。」
「何が?」
「ほぼ本音に聞こえた。」
「本音だったから。」
「さらに興味深い。」
有沢はうめいた。
ダリアはわずかに微笑んだ。
そして一瞬だけ——
ほんの一瞬だけ——
胸の緊張感が和らいだ。
三人はゆっくりと扉に向かって歩き始めた。
「有沢……本当に大丈夫ですか?」
ダリアは柔らかく静かな声で尋ねた。
「そ、そうです……もちろん。」
無理に小さな笑みを作った。
「ただここから出たい。」
三人は城の廊下を抜け、アーサーの外交の間へと向かった。
玉座の間とは異なり、その間は権威よりも議論のために作られていた。長い磨かれたテーブルが部屋の中央に伸び、アモールとサフラ全域の領土を示す地図、書類、小さな水晶の目印で覆われていた。高い窓が床に午後の淡い光を注ぎ、王家の紋章が入った旗が壁から動かずに垂れていた。
「……」
ファフラの顔は明らかに苛立っていた。
「あなたは幸運よ、私には何もできないから。」
その声に激しい強さが宿っていた。
「あなたは守られているし、私は魔法の戦争を起こせない。」
アーサーはただ肩をすくめた。
「停戦は受け入れない。それが最終決定だ。」
わずかに後ろにもたれた。
「戦争は続く。出身地に戻るか、ここにいるかだ。」
かすかな嘲笑が顔に浮かんだ。
「砂の小娘のままでいろ。」
ファフラの目がすぐに鋭くなった。
「今……何と言った?」
手がゆっくりと上がった。
手のひらの上に炎が現れた。
深紅の炎。
大きくはない。
荒々しくもない。
しかし激しかった。
ダリアはすぐにファフラの肩に手を置き、アーサーが完全に気づく前に静かに彼女を止めた。
「い、行きましょう、ファフラ……」
ファフラは舌打ちをした。
「わかった。」
手を下げた。
それからアーサーを真っ直ぐ指差した。
「この戦争中の外交協定の一線を越えることがあれば……」
炎が消えた。
「違法な魔法の戦争よりはるかにひどいことをするわ。」
アーサーの顔は一瞬だけ青ざめ、その後苛立ちが戻った。
「アモールとアジュライト両国の王に脅しをかけるとは?」
ファフラは床に唾を吐いた。
「ええ。」
腕を組んだ。
「やってみせる。」
有沢はアーサーを純粋な衝撃で見た。
自分でさえ汗をかかずにはいられなかった。
——ファフラ……
——いや。
——止まれ。
——もし——
——お願いだ。
「ダリアが言ったように。」
ファフラは背を向けた。
「行きましょう。」
サラデルはその間ずっとメモを書き続けていた。政治的緊張にはまったく興味がない様子だった。
リジーは再びペンの形に変わっていた。
「うん。」
もう一行書き込んだ。
「オーケー。」
部屋を出ると、すぐに静寂がグループを包んだ。
「……」
誰も話さなかった。
アーサーの城の大広間が目の前に伸び、大理石の柱のあいだに設置された魔法の水晶ランタンに照らされていた。その淡い光が磨かれた床に反射し、足音のひとつひとつを実際より大きく響かせていた。
緊張感が漂っていた。
重く。
ぎこちなく。
それぞれが自分の思いを抱えていた。
ダリアは床を見下ろしながら、指を静かに絡ませていた。
ファフラは全員より数歩前を歩き、肩は固く、ペースが普段より少し速かった。
有沢はただ前を見つめていた。
冗談を言いたいという気持ちが一方にあった。
質問をしたいという気持ちも一方にあった。
その代わり、黙っていた。
影響を受けていないように見えたのはサラデルだけだった。
その表情は完全に中立のままで、目が他の者のあいだを行き来していた。
観察している。
研究している。
まるで実験を記録しているかのように。
やがて彼らは有沢の部屋に近い豪奢な客室の一つに入った。
部屋は広く、白い石の壁と高価な木製の調度品で飾られていた。天井から水晶のシャンデリアが吊るされ、本と他の地区から輸入された装飾的なガラス彫刻が並んだ棚を照らしていた。
窓の近くにはクリスが座っていた。
片足をもう一方の上に組んで。
本が手の中にあった。
彼らが入ってくるのを見た瞬間、それを閉じた。
「それで……」
立ち上がった。
「どうだった?」
ファフラは目を逸らした。
答えは明らかだった。
クリスはすぐに理解した。
「そうか。」
その声は穏やかなままだった。
「停戦は撤回されたんだね。」
誰も訂正しなかった。
小さな、理解を示す微笑みが浮かんだ。
「あまり心配しないほうがいい。」
本を近くのテーブルに置いた。
「アーサーは……」
一拍置いた。
「難しい人だから。」
もう一拍。
「未熟というほうが正確かもしれない。」
批判にもかかわらず、その口調は意外なほど穏やかだった。
「いずれこの戦争の出口を見つけるはずだ。」
ファフラはただ背を向けた。
励ましを受け入れたかどうかは判断できなかった。
一言も発せずに部屋を出ていった。
他の者たちも続いた。
クリスはすぐ後からついてきた。
一行はやがて城の入口に戻り、ダシルの運搬車がまだ待っていた。
大きな生き物たちが中庭の近くで穏やかに休んでおり、世話係がマナの結晶を与えるたびに時々耳を動かしていた。
躊躇なく、ファフラは自分のダシルに近づき、その背に乗った。
生き物はすぐに彼女の触れ方に傾いた。
明らかに彼女に慣れていた。
明らかに彼女のそばで落ち着いていた。
クリスはしばらく眺めてから他の者たちのほうを向いた。
「それで……」
手袋を調整した。
「次はどこへ?」
「……」
「……」
また沈黙が答えた。
サラデルがついに指を一本立てた。
「アマランスへ。」
全員が彼女を見た。
「サイラスという男についての詳細が気になる。」
リジーが彼女の髪からわずかに顔を出し、まるで会話を聞いているかのように肩越しに覗いた。
サラデルは続けた。
「少なくとも一つの問題に直接立ち向かいたい。」
腕を組んだ。
「アーサーは外交を拒否した。」
目がファフラに向いた。
「だから些細でも勝利を得ることは有益よ。」
前を指差した。
「アマランスへ。」
「サイラスから始めましょう。」




