五時間
有沢はクリスを見た……目が見開かれた。
「いや、いや、お願いだ……!」
立ち上がり、逃げようとしながら言った。
クリスは粒子を使わず、ただ魔法で彼を止めた。
「本当に……? 本当に?」
クリスは笑った。
大きくではなく。
誇らしげにでもなく。
その音は不均等な断片として彼の口から漏れた。まるで彼自身の喉が、笑いたいのか泣きたいのか決めかねているように。
「これが俺が聞き続けてきた偉大な有沢なのか?」
首を傾げた。
顔の微笑みがわずかにさらに広がった。
「お前は本当に弱い。」
指が震えた。
「馬鹿者。」
また震えた。
「何一つ理解しないまま俺の計画に踏み込み続ける、生意気な小者。」
声が低くなった。
「国を守ることがどれほど難しいかわかるか?」
その問いが漂った。
答えを期待していたからではなく。
それに答えられる者がいるのかと、純粋に疑問に思っていたから。
「誰もが正義を口にする。」
また笑った。
「正義。」
その言葉は苦く聞こえた。
「誰もが優しさを口にする。」
その表情が歪んだ。
「慈悲。」
一拍。
「平和。」
ほんの一瞬だけ微笑みが消えた。
「しかし誰もそれらの言葉にかかるコストを理解していない。」
目が細まった。
「獣を追い詰めれば人は残酷と呼ぶ。」
「獣を野放しにすれば人は無能と呼ぶ。」
「犯罪者を処刑すれば殺人者と呼ぶ。」
「犯罪者を赦せば臆病者と呼ぶ。」
「では教えてくれ、有沢……」
声がより静かになった。
「正しい答えとは正確に何なのだ?」
「ない。」
手を胸に押し当てた。
「最初からなかった。」
「俺がファジュラを追い詰めたとき、お前が来た。」
「サイラスがその役目を果たしたとき、すべてが崩れた。」
「俺が勝利に近づいたとき、ある馬鹿が現れて、自分の感情が現実より重要だと決めた。」
首を振った。
「違う。」
「違う、違う、違う。」
「お前はわかっていない。」
呼吸が重くなった。
「俺はここで悪役ではない。」
その言葉は暗記したもののように聞こえた。
繰り返されたもの。
鏡の前と空の部屋で何度も口にされたもの。
「俺はアモールを守っている。」
「守っている。」
「守っている。」
「守っている。」
十分な回数言えば絶対の真実に変わるかのように、その言葉を何度も繰り返した。
「セイジュラが機会を得たら何をするかわかるか?」
「俺たちの国境の向こうに何が待っているかわかるか?」
「文明がどれほど速く崩壊するかわかるか?」
「人間がどれほど本当に脆いかわかるか?」
目があちこちを泳いだ。
偏執的に。
探しながら。
「誰もが国家は不滅だと思っている。」
「そうではない。」
「国家は物語だ。」
「人々が信じることに合意する物語。」
「王国は、十分な人々が毎朝目を覚まして存在するふりをし続けるから存在している。」
「法律は、十分な人々がそれを無視した結果を恐れるから存在している。」
「王冠は、十分な人々が誰かがそれを被るべきだと受け入れるから存在している。」
笑みが戻った。
「おかしなことだろう?」
「存在する中で最も強いものは、しばしば想像上のものだ。」
「名誉。」
「義務。」
「信頼。」
「権威。」
声がひびわれた。
「それらのどれも本物ではない。」
「なのに石や鋼よりもはるかに深く世界を形作っている。」
また笑った。
「だから弱い人間は俺を嫌悪させる。」
「なぜなら彼らは安楽を崇拝するから。」
「犠牲なしの安全を求める。」
「暴力なしの秩序を。」
「流血なしの平和を。」
「死体なしの英雄を。」
表情が暗くなった。
「それが現実の仕組みではない。」
「ものを壊さなければならない。」
「ものを破壊しなければならない。」
「手を汚さなければならない。」
「さもなければ何も生き残らない。」
一歩前に出た。
「お前はサイラスとの俺の計画を台無しにした。」
「それがわかるか?」
「いや。」
「もちろんわからない。」
「なぜなら英雄はその瞬間しか見ないから。」
「その背後にある年月を決して見ない。」
「準備を。」
「妥協を。」
「眠れない夜を。」
「計算を。」
「罪悪感を。」
手が胸に強く押しつけられた。
「俺がそのどれかを楽しんだと思うか?」
「俺がこれのどれかを望んだと思うか?」
微笑みが消えた。
ほんの一秒間。
疲労のかすかな垣間見えた。
「かつて人間は善いものだと信じていた。」
その言葉が静かに漏れた。
「本当にそう信じていた。」
「優しさが勝つと信じていた。」
「誠実さが勝ると信じていた。」
「人々は自然と正しいものを選ぶと信じていた。」
目を逸らした。
「そして毎年、俺を間違いだと証明した。」
「また。」
「また。」
「また。」
視線が戻った。
より硬く。
より冷たく。
「だから俺は適応した。」
「なぜなら理想は贅沢品だから。」
「他の者たちに守られている人間が身につける装飾品だ。」
「城壁の上の男に理想はない。」
「決断を下す王に理想はない。」
「国を守る者に理想はない。」
「彼らには結果がある。」
微笑みがゆっくりと戻った。
「俺の権能者がそれを教えてくれた。」
「俺に見せてくれた。」
「すべてを見せてくれた。」
「偽善を。」
「利己主義を。」
「嘘を。」
「幻想を剥ぎ取ってくれた。」
声が大きくなった。
「かつて腐敗は病気だと思っていた。」
「今は単純に誠実さだと理解している。」
「人間は利己的だ。」
「欲望を持つ。」
「恐れる。」
「憎む。」
「羨む。」
「消費する。」
「破壊する。」
「そしてその後、美しい言葉を発明してそれを正当化する。」
目が見開かれた。
「権能者は決して嘘をつかない。」
「人間はつく。」
「人間は常につく。」
呼吸が加速した。
「権能者は俺に光を見せてくれた。」
手が胸に食い込んだ。
「光を。」
瞳が揺れた。
「光を!!!」
首に血管が浮き上がった。
「俺を腐敗させたと思うか?」
「いや。」
「いや。」
「いや。」
「解放してくれたのだ。」
「誰もがすでにそうであったものを見せてくれた。」
「俺がすでにそうであったものを見せてくれた。」
微笑みがほとんど苦痛に見えるほど広がった。
「存在の中で最も残酷な認識が何かわかるか、有沢?」
声がひそひそ声に落ちた。
「怪物が存在すると発見することではない。」
「怪物と人間がほとんど何も隔てていないと発見することだ。」
一拍。
「一つの最悪な日。」
「一つの恐怖。」
「一つの執着。」
「一つの必死な決断。」
「それだけで十分だ。」
笑った。
「なのに誰もがそうではないふりをする。」
「怪物を指して『俺はあんなものにはならない』と言う。」
目が見開かれた。
「なるだろう。」
「絶対になるだろう。」
「ただまだ試されていないだけだ。」
指が激しく震えた。
「権能者はそれを理解している。」
「俺を理解している。」
「みんなを理解している。」
「皮膚の下の腐敗を見ている。」
「美徳の下の飢えを。」
「優しさの下の利己主義を。」
「勇気の下の恐怖を。」
「英雄主義の下の虚栄心を。」
視線が有沢に固定された。
「そしてお前。」
微笑みが鋭くなった。
「お前も同じだ。」
「そうでないふりをしている。」
「道化者を演じている。」
「英雄を演じている。」
「ジェスターを演じている。」
「しかしいつかお前は何かを選ばなければならなくなる。」
「誰かを。」
「命を。」
「死を。」
「犠牲を。」
「そしてその日が来たとき……」
声が柔らかくなった。
「お前はわかるだろう。」
「なぜならすべての人間はいつか、道徳が理論でなくなる点に辿り着くから。」
「正しい答えのない場所に。」
「結果しかない。」
「喪失しかない。」
「後悔しかない。」
肩が震えた。
「俺は自分が何者かわかっている。」
その言葉はほとんど悲しそうに聞こえた。
「俺は自分が正確に何者かわかっている。」
「権能者が毎日俺に思い出させる。」
「俺の中の間違ったすべてのものの生きた化身として。」
「俺の恐怖。」
「俺の罪悪感。」
「俺の利己主義。」
「俺の残酷さ。」
「俺の失敗。」
目が下がった。
「かつてそれが憎かった。」
「戦った。」
「否定しようとした。」
「しかしついに理解した。」
「自分の影を打ち負かすことはできない。」
「ただそれと並んで歩くだけだ。」
ねじれた微笑みが現れた。
「だから受け入れた。」
「そして受け入れることで……」
視線が再び上がった。
「ついに俺は役に立てるようになった。」
微笑みが広がった。
「もし俺が死んでも……」
笑った。
「俺が死んでも……」
笑いが大きくなった。
「俺の権能者は求め続ける。」
「求め続ける。」
「求め続ける。」
「求め続ける。」
「この世界のあらゆる隅を這い回る。」
「あらゆる王国を探し続ける。」
「あらゆる森を。」
「あらゆる砂漠を。」
「あらゆる都市を。」
「お前たち全員を見つけるだろう。」
「ダリアを除いて。」
「なぜなら今でも……」
初めて、本物の悲しみが顔を横切った。
「俺は彼女を憎む気になれない。」
悲しみが消えた。
狂信的な熱狂に取って代わられた。
「俺の権能者は俺を必要としている。」
「俺を選んだ。」
「俺を理解している。」
「俺を愛している。」
両腕が外へと広げられた。
ほとんど祈りのように。
ほとんど崇拝のように。
「そして世界全体が俺を腐敗していると呼んでも……」
笑った。
「世界全体が俺を怪物と呼んでも……」
微笑みが不可能なほど広がった。
「ならおそらく世界はただ真実を恐れているだけだ。」
「あらゆる王国が俺のような人間の上に築かれているという真実を。」
「あらゆる平和が誰か別の罪によって購われているという真実を。」
「あらゆる英雄には悪役が必要だという真実を。」
「あらゆる光は影を作り出すという真実を。」
「そして俺は……」
その目が恐ろしい確信で輝いた。
「自ら進んでその影になった。」
「だから憎め。」
「恐れろ。」
「裁け。」
「悪と呼べ。」
その声が響き渡った。
「何も変わらない。」
「なぜなら歴史が書かれるとき……」
震える手を心臓の上に当てた。
「人々が覚えているのは王国が生き残ったかどうかだけだから。」
それから微笑んだ。
もはや幸福に似ていない、壊れた微笑みを。
「それが俺の魂をどれほど費やしたかではなく。」
「さあ……ただ……」
「さあ……ただ……」
「死ね。死ね。死ね。死ね。」
「死ねえええ——!」
大鎌が現れた。
素早くではなかった。
ゆっくりと。
見られることを望むように。
これほど密度が高くなるとほとんど色がなくなった氷——ただ白が白に押し付けられ、水だったことを忘れるほど圧縮されて。水晶がその中に枝分かれする脈として貫通し、光を捉えて保持していた。保持の仕方が間違っていて、壁に散らばる光を粉砕した歯の内側のような何か薄く色のないものへと屈折させていた。
美しかった。
それが有沢の最初の考えだった。
そうであることが嫌だった。
——美しい。
二つ目の考えは考えではなかった。
切り傷だった。
手の甲を横切る。
深くはなかった。
意図的に深くなかった。
「——っ——」
膝が落ちた。
決断したからではなく。
ただそうなったから。
手が本能的に傷を押さえようと上がった——
クリスが手首を踏んだ。
軽く。
ちょうど固定するだけ。
「やめろ。」
心地よく。
「まだ始まったばかりだ。」
有沢は切り傷を見た。
縁がすでに変わり始めていた。
クリスが残した水晶の残留物——淡く、ほとんど半透明な——が傷の中に座って広がった。霜のようにではなく。氷のようにではなく。
肉を認識する何かのように。
それを待っていた何かのように。
切り傷の周囲の肌は打ち身のような、深い色に変わっていた。おかしい。おかしい。そして傷の内側から来る冷たさは温度の冷たさではなかった——異物がゆっくりと内側に向かって動く冷たさだった。意図的に組織を通り抜けながら。
「——これは——」
文章を完成できなかった。
冷たさが前腕に達し、指が意志とは無関係に痙攣した。
全部が。
一度に。
自分の手を見つめた。
「お前は何を——」
「じきに通り過ぎる。」クリスは言った。
医師のように聞こえた。
「やがて。」
「これは何——」
「水晶の残留物だ。」
首を傾げた。
「神経経路をかなり効率的に見つける。水が水路を通るように。」
手の中で大鎌を一度回した。
「濃度を洗練するのに何年もかかった。」
二撃目は有沢がもう一つの考えを形成できる前に来た。
前腕を横切って。
今度は長く。
有沢が出した音は言葉ではなかった。
叫びでもなかった。
二つのあいだに住む何か——体が彼に相談せずに生産したもの、持っているとは知らなかった領域から引き出されたもの。
「ああああ——ああ——やめろ——やめろ——」
横向きに床に叩きつけられた。
肩が石に当たった。
しばらくのあいだそこに横たわった——ただ呼吸していた。
ただ呼吸していた。
切り傷の縁はすでに黒ずんでいた。
水晶が這っていた。
「立て。」
「……」
「立て、有沢。」
手のひらを床に平らに押しつけた。
指はまだ痙攣していた。
あるべき時間より長くかかった。
「言われなくても——」
「立て。」
立ち上がった。
一時間。
傷は、ほかに行くつもりも行く意志もない誰かの忍耐を持って増えていった。
クリスは急がなかった。
それが最悪の部分だった。
それぞれを検討した。大鎌を回して角度を選んだ。投資している作品の周りを人が動き回るように有沢の周りを移動した。
肩。ふくらはぎ。冷たさをより長く保持できるほど筋肉が密な太ももの外側。
何かを脅かすほど深くは決して入れなかった。
それ以外のすべてのためにちょうど十分深く入れた。
有沢の体は裏切り続けた。
意志とは無関係な声が漏れた。
身をすくめた。
水晶の残留物が新しい傷から広がって古い傷の縁に出会うとき足が震えた——組織の中の何らかの反応、何らかの冷たい認識が体全体を三秒、四秒、五秒間固定させた。
「——やめろ——お願いだ——」
「いや。」
「やめろ——」
「いや。」
クリスは両方同じように言った。
残酷にではなく。
ただ事実として。
天気についての質問に答えるように。
有沢はまた床にいた。
いつそうなったかわからなかった。
両手を平らに押しつけた。
見た。
過去一時間で手の傷から——ゆっくりと——指のあいだの水かきに水晶の残留物が広がっていた。そこの肌は青白く、暗い脈が走っていた。まだ痛くはなかった。
それがどういうわけかより悪かった。
——まだ痛くない。
——なぜまだ痛くない。
「お前の手。」
クリスが前で屈んだ。
彼も見ていた。
「残留物は神経密度の高い部位に集中する。」
手を伸ばした。
有沢の人差し指と中指のあいだの水かきに二本の指で——ほとんど臨床的な関心に似た何かで、優しく——押した。
水晶が光った。
有沢の頭が後ろに跳ねた。
出た音は言語ではなかった。
言語ではなかった。
言語ではなかった。
「——ああ——ああ——やめろ——やめろ——」
「興味深い。」
クリスは指を外した。
見ていた。
有沢は前に丸まり、両手を胸に押しつけ、断片的に呼吸していた。
「そこの神経の集まりの密度は本当に印象的だ。」
「殺してやる。」
息のあいだから出た。
ひびわれた。
しかし存在した。
「いや。」
「俺は——」
「しない。」
一拍。
「しかし一貫性は認める。」
涙は二時間目に始まった。
有沢は最初気づかなかった。
自分の頭の中にいた——目録を作り、リストを作り、自分であると感じられるものを動かし続けようとしていた。
それから顔に触れた。
濡れていた。
「……」
自分の手を見つめた。
打ち身のような、暗い脈が走る手。
濡れていた。
「お前は泣いている。」
「泣いていない。」
クリスは特に興味なさそうに言った。
「泣いている。」
「泣いていない——」
もう一つの切り傷。
左肩を斜めに横切って。
大鎌はそれほど正確に動いた。
「——ああ——!」
頭が床に当たった。
体全体が、相談なしに傷の周りに折り畳まれた。
水晶はすぐに広がった——感じることができた。肩の組織を外へと広がる放射する冷たさで、まるで彼のものでない鼓動のように、ゆっくりとしたパルスで。
「お願いだ——」
「いや。」
「お願いだ——」
「いや。」
「俺には——できない——お願いだ——」
「できる。」
クリスが横に屈んだ。
ほぼ目の高さで。
「お前の痛みへの耐性は実際かなり高い。」
褒め言葉のように言った。
「ほとんどの人は四十分頃に一貫した要求をしなくなる。」
首を傾げた。
「お前はまだ言い争っている。それは印象的だ。」
有沢は彼を見た。
涙が流れていた。
過去二十分のどこかでそれを恥じることをやめていた。
ただそこにあった。
ただ落ちていた。
状況がそれを必要としていたから。
「お前はこれを楽しんでいる。」
「そうだ。」
躊躇なく。
「お前は——」
「もうそうだと言った。」
「——なぜ——」
「お前が戦い続けるから。」
クリスは微笑んだ。
見たかったものを見ている者の微笑みで。
「ほとんどの人はすぐに非常に静かになる。非常に小さく。非常に……不在になる。」
別の人であれば賞賛と呼べたかもしれない何かで有沢を見た。
「お前は話し続ける。文章を作り続ける。何かに手を伸ばし続ける。」
声が柔らかくなった。
「それが俺にとって世界で最も面白いことだ。」
「お前は狂っている。」
「おそらく。」
立った。
大鎌を一度回した。
「お前は完全に狂っている。」
「それは言ったな。」
「言い続ける。」
「いい。」
三時間目。
傷はもはや個別のものではなくなっていた。
ただ存在していた。
有沢の体の永続的な状態として。
仰向けになっていた。
いつ立ち上がり、いつ立ち上がることをやめたかを追うのをやめていた。
手は正常に反応しなくなっていた。
水晶の残留物は今や両方に広がっていた——青白い暗い脈の皮膚が指を曲げると動くが、意図と体のあいだにあるものがわずかに遅延していた。
足はより悪かった。
太ももの外側の切り傷が今まで最も深いものだった。そこから内側に動いた冷たさが今は骨の近くのどこかに座っていた。
感じることができた。
痛みではなく。
存在として。
彼のものであるべき空間の中に座る何か冷たく間違ったものの存在として。
「俺から離れろ。」
「……」
「俺から離れろ。」
「いや。」
クリスはゆっくりと円を描いた。
有沢は追った。
頭を向けた。
目を合わせ続けた。
今も。
床からでも。
「まだ俺を見ている。」
「当然だ。」
「なぜ?」
「お前が脅威だから。」
クリスは止まった。
何かが顔を横切った。
静かに。
「そうだ。」
単純に言った。
「俺がそうだ。」
また屈んだ——今度は近く。
片膝を有沢の横の床についた。
肩の傷を調べた。
水晶の残留物が切り傷から星状に周囲の皮膚に広がっていた——青白く、脈打ち、脈のあいだの肉が打ち身のような腫れた暗い色をしていた。傷自体は出血が止まっていた。残留物がそれを塞いでいた。
癒したのではなく。
封印した。
何か冷たいものを内側に閉じ込めて。
「正常には閉じないだろう。」クリスは言った。
ほとんど会話調で。
「残留物が活性化しているあいだは。」
指がその上に浮いた——触れずに、冷たさが伝わるほど近くに。
有沢の肩が痙攣した。
「——触れるな——」
押した。
「——ああ——やめろ——やめろ——」
その声が引き裂かれて出続けた。
止まるべき点を過ぎても続いた。
クリスは保持した。
保持した。
放した。
有沢は震えていた。
全身で。
顎が、歯が痛むほどきつく食いしばられていた。
涙が両こめかみから髪に流れ込んでいた。
「お前が憎い。」
声はひびわれていた。
かつてあったもののほんの一部だった。
「わかっている。」
「お前が憎い。」
「そうだ。」
「お前が憎い——お前が憎い——俺は——」
言葉が溶けた。
悲しみと怒りと疲労が喉の中で崩れ落ち、形のない何か、名前もカテゴリもない何かへと一緒に崩壊した。
床に横たわって震えた。
クリスは聞いていた。
忍耐強く。
注意深く。
愛するものを聞く人間のように。
四時間目は静かだった。
有沢は言葉を使い果たしていた。
喉はほとんど何もなくなるまで磨り減っていた。
まだ意識があった。
それが彼を驚かせた。
——まだ意識がある。
——それは奇妙だ。
——気を失っているはずだ。
——なぜ気を失っていないんだ。
——これは残留物のせいか。
——それが俺を——
内なる独白が遅くなっていた。
文章が短くなっていた。
あいだに長い間隔があった。
何かが絞られていた。
クリスは数歩先に立ち、大鎌を調べていた。
道具を調べる職人のように。
摩耗を探して。
何も見つからなかった。
「ずいぶん静かになったな。」
「……」
「まだ俺と一緒にいるか?」
「……ああ。」
「いい。」
歩いてきた。
見下ろした。
有沢は見上げた。
水晶の残留物はさらに広がっていた。
両手はほぼ完全に脈打っていた。
肩の傷は閉じているが閉じていない状態で、かすかに脈打つあの冷たい間違いの中に封印されていた。
顔は濡れていた。
青白かった。
目の下のクマがどういうわけかより際立っていた。
時間が何かを圧縮したように。
「それは何が望んでいるんだ。」
静かに言った。
ほとんど独り言のように。
しかしクリスは聞いた。
「何が何を望んでいる?」
「お前の権能者。」
一拍。
クリスは首を傾げた。
「奇妙な問いだ。」
「それはお前を食っている。」
「……」
「見えている。」
目は直接的だった。
静かだった。
四時間経っても。
床からでも。
クリスの表情に何かが変わった。
ほんのわずかに。
怒りではなく。
怒りの下にずっと長いあいだ生きてきた、怒りより古い何か。
「……」
「わかっているだろう。」
大鎌が上がった。
五時間目のどこかで、有沢の声は完全に出なくなった。
一度にではなく。
段階的に。
まず音量が消えた。
それから明瞭さが。
それからひそひそ声さえ縁で崩れ始めた。
それでも試み続けた。
それがクリスを最も惹きつけているように見えた部分だった。
文章の始まりを作ろうとする——
「やめ——」
完成する前に溶けた。
また試みた。
「お願い——」
また。
「——ただ——」
クリスはそれぞれの試みを見ていた。
再構築できない何かを目撃している者の集中した注意で見ていた。
初めてで最後の一度しか起きない何かを。
「お前の声。」
有沢は答えなかった。
資源がなかった。
「思ったより長く保つな。」
横に屈んだ。
顔を調べた。
涙はまだ落ちていた。
しばらく前から黙って。
目はまだ開いていた。
まだ追っていた。
声がなくても、目は追い続けていた。
「まだそこにいる。」
「……」
クリスは二本の指を肩の傷に押しつけた。
有沢の背が床から弓のように反り上がった。
口が開いた。
音は出なかった。
ただ空気だけ。
ただ息だけ。
声を運ぶものなしに叫ぶ体。
クリスは見ていた。
放した。
落ちるに任せた。
「見事だ。」
膝を有沢の胸に押しつけた。
平らに固定した。
上から見下ろした。
大鎌は片手に、静かにあった。
縁に沿って水晶が光を捉えていた。
有沢は見上げた。
目は赤く。
顔は青白く、完全に濡れていた。
水晶の残留物は両手全体に広がり、前腕を伝い、上腕二頭筋へと枝分かれしていた——最も密な部分でわずかに半透明になった皮膚に刻まれた青白い脈の地図。
顎が震えていた。
冷たさからではなく。
何かをまとめて保つ努力から。
クリスは体の傷の地図を見た。
その表情は読めなかった。
満足でもなく。
不満でもなく。
名前のないその中間の何か。
身をかがめた。
ゆっくりと。
手を有沢の頬に当てた。
彼の冷たさが最初に届いた。
温度ではなく。
温度の下にある何か。
人間であることの何かが特定の、名状しがたい方法で止まってしまった者の冷たさ。
有沢の目が閉じた。
クリスは吸い込んだ。
長く。
ゆっくりと。
ずっと望んできた何かの近くで呼吸する人間のように。
「お前の苦悩……」
一拍。
「お前の血……」
唇がかろうじて動いた。
言葉が丁寧に置かれた。
物体が下ろされるように。
「この拷問……」
わずかに頭を傾けた。
唇が有沢の頬に当たった。
そこの濡れたものに。
涙に。
「それが俺の最高の喜びだ。」
有沢の手が床を引っ掻いた。
何も掴めなかった。
口が動いた。
音は出なかった。
ただ何かの形だけが。
二音節。
おそらく名前。
おそらくやめろ。
おそらく両方。
クリスは頭を上げた。
彼を見た。
本当に見た。
ほんの一瞬——一つだけの瞬間——目の後ろで快楽とは無関係の何かが動いた。
かつて、ずっと昔に、悲しみの形だったかもしれない何かが。
それが何かになる前に消えた。
立ち上がった。
床に横たわる有沢を見下ろした。
脈打つ手を。
封印された傷を。
どういうわけかまだ存在し続けている顔を。
大鎌が上がった。
そしてクリスは微笑んだ。
もはや微笑みが本来あるべき何かに似ていない微笑みを。
ゆっくりと、しかし正確に……彼の首を切り落とした。飛び散る音が辺りに明白に、はっきりと響いた。




