13.野盗達はお兄様の錆になるそうです。
先日の汚職騒動ですが、やはりお父様も薄々察していたご様子。
元々怪しいなとは思っていたので内偵は進めていて、やり過ぎた辺りで諸共資産没収を目論んでいたのが真相のご様子。
流石にこれだけの商人が関わっていたのは予想外だった様で、これを機に領内の引き締めを図る口実にするとの事。
国境は直ちに閉鎖され、騎士団が本格的に動き出しております。この際だからと兄を副官に当の夜盗団討伐に出陣が決定しました。
ええ要は箔付けの初陣には丁度良いって奴ですね。
経費に関してですが、これだけの商人達を一気に全滅させると流石に領内の経済がガタガタになります。よって処刑は各商会のトップ他重役計十数人。
その代わり今回の遠征費用を彼らに負担させる形で落し処と相成ります。
この辺の締め上げと輜重準備が今回の私の担当となりますね。
所詮裏方とか手柄を取られたと嗤う方々はお生憎様、素早い行軍には後方支援は殊の外重要ですし、何より現地調達は負担が重くなりがちで匙加減がとても難しいものとなります。さて、丁度良く現場で共犯者達を捕えた者が居ますね?
盗賊退治の失敗は彼らに構っていられなくなりそうですよね?利害一致してますよね?ええ、彼らから目を離さずやり過ぎない。とても重要なんですよ?
下手に他の人員と入れ替えると隙が出来ますしね。
とは言え現地の人間だけに任せるのは逆効果。それに商人側が知らない内通者が居たとしても不思議じゃありません。
他所からも人手を集めて彼らの監視と、農園に回す筈だった人手は全てこちらで再監修の上、手配し直しになります。やる事は沢山、休んでられません。
到着したお父様ことグロリエル伯が率いて来たのはざっと五百程度。
それも三百は騎兵という追討に主眼を置いた速度重視の編成ですね。夜盗規模は推定二桁なので、隊を分けても勝てる本腰が伺える陣容です。
町に入城したグロリエル伯を出迎えつつ、今晩は騎士房にて休息を取って頂くという流れです。今日は報告と方針を決めて、本格的な討伐は明日ですね。
食事を終えて会議室に集合し、伯は報告を聞いて随分と感心したご様子。
「見事なものだ。まさか既に賊の拠点を突き止め見張りが張り付いているとはな。
明日持っていく分はこの倉庫に全部まとめてあるのだな?」
「はい、強行軍ならば今日にでも。
ただ野盗の拠点に動きは無いようですので、今日は休んで明日早々に出陣という形で問題無いかと。」
「出陣のタイミングは何時を想定している?」
「日の出前が適切かと。
朝の出陣ではこちらの到着を知った賊がいよいよ逃亡に回る恐れがあります。
可能性自体は今晩もありますが、今迄逃げなかった相手です。
今慌てて準備や相談を始めている頃合いかと。」
「逃走を図れば直ぐに一報は届くか。それで行こう。
エルドラ、明日直ぐに出られるよう打ち合わせておけ。皆もそれで良いな!」
「「「ははっ!」」」
早々に軍議が終わり、エルドラ兄様と久々の再会です。
農園事業で私が近隣を回っている所為ですが、まあ一月と過ぎた訳では御座いませんよ?ただ最近はお兄様と会う機会が増えていたので。
「やあアザリア、元気そうで何よりだ。
今回は大手柄の様だけど、大丈夫だったかい?」
「そうですね。お兄様ですから愚痴を溢させて頂きますが、正直変態過ぎて流石に気持ちが悪かったです……。」
「あ、うん。え?具体的にはどんな?」
どうやら兄様的には視察先で早速成果を上げた様に見えていた様ですが、私としては本来の用事が滞った上に、猫撫で声で甘える大人というのは中々に、こう。
ぞわっと、ね?一応初対面でしたし。
「そ、それは災難だったね。ま、まぁもう終わった事だから忘れなさい。」
うぅ。愚痴を聞いて貰える家族って本当に有難いですね。人に甘えるのが苦手な自覚はありますが、話を聞いて貰えるだけでも楽になる事はあるものです……。
でも。あれ?背中というか肩に手を回して、これって……。
(私今、頭を撫でられてるんですよね?え?いや、妹だし、おかしくは無い?)
えっと。頭を撫でられるのは大分慣れませんが、悪いものでは無いと思います。
……でも。これってどうすれば良いんでしょう?
(えっと。姫であった頃は頭に許可無く触られる筈も無いですし。
あれ?じゃあアザレアは?え、もしかして私、頭を撫でて貰ったの初めて?
いや、お兄様はお兄様な訳で、いやアリなの?家族だし?)
ふと気付けば、お兄様の撫で方も大分ぎこちないのだと分かります。
……そか。そうですよね。
お兄様も妹を甘やかす経験なんて、これが初めてな訳で。
…………別に悪いことでは、無いですよね?
(うぐっ!待て待てマテ落ち着け私の心臓の鼓動!相手は妹、相手は妹だ!)
咄嗟に肩を抱いてしまったエルドラは、軽い気持ちで労わろうと頭に手を伸ばした自分に全力で後悔し、何より甘える様に頭を傾けた妹への罪悪感で一杯だった。
思った以上に顔が近い。とても良い匂いが鼻腔を擽り、普段は見えない襟元に肩の曲線に、異性としての色気を感じずにはいられない。
首筋に透き通る艶やかな肌、柔らかそうな唇、そして丁度良く頭が傾いた所為でとても覗き込み易い位置に、豊満な谷間の入り口が覗き見える。
それと同時に、珍しくはにかむ様な優しい表情を浮かべる妹の愛らしさも。
この血の繋がった妹が、自分の知る限り最も美しく愛らしい異性だという事実を思い知らされる。そして恐らくは、人に甘える事の苦手さも。
(しっかりしろエルドラ!お前は兄、兄なのだぞ!
初めて甘えたかも知れない肉親が信頼を裏切るなどあって良いものか!
信頼に応えろ!労われ!慈しめ!)
(うわぁ大惨事ですね。そう言えばエルドラ様の初恋って多分……。)
傍から見ているマルガリータからは、チラチラと視線が傾く度に顔を真っ赤にして背けるエルドラと、抵抗出来ずされるがままの主アザリアの姿があった。
お互いに相手を拒めない絶妙な気恥ずかしさが漂い、揃って身動き出来ずにいる様子がありありと伺える。
(……そういえばお嬢様にとって、前世含めて唯一の甘えられる肉親でしたね。
どっちも嫌がってないなら、堪能させてあげるべきかしら?)
尚、報告の侍女が来るまで約十分続いた。
◆◇◆◇◆◇◆
野盗達は鎧袖一触に打ち倒されたと聞き、一先ずは一安心。
どうやら連中は食糧が尽きかけていた様で、近隣に警戒の伝令が伝わって初めて内通者達の一斉検挙に気付いたそうです。
逃走の為には先立つものが必要で、しかし警戒の穴を突かずに襲撃するには人数が些か心許無い。あれよあれよと揉めている間に全てが終わってしまったご様子。
エルドラ兄様も順当に初陣を飾ったそうです。
事が落ち着いたので、私は農園開拓事業を改めて再開します。
如何に辺境伯領と言えど町の数は百超えて無いので、遅くとも夏には全て終わらせて次の準備に進みたいですね。
二人もこれを機に街道を巡回して、地方で滞っている賊退治や魔物討伐等を推し進めるとの事でした。帰還前に何処かの町で再会するかも知れません。
因みに私の部隊も若干増員され、百人前後の大所帯。大部分が戦闘員です。
次の町を目指して小高い丘を上りながら、緩やかに街道を行軍中。
馬上の私に隣のマルガリータが道先を訊ねて来ます。本来であれば彼女は私共々馬車の中にいるのが普通ですが、私は動き易さと顔見せを優先して馬上の人。
馬車も積荷等の都合で不要物にはならず、侍女頭であるマルガリータは給仕の役を優先するため態々御者台に給仕用具を用意して控える術を選んだのです。
「お嬢様、今回の街道は当初の予定より国境に近い道を進むとお聞きしましたが。
宜しければ理由をお聞かせ頂いても?」
「ん?ああ、そう言えば急な変更で説明してなかったわね。
なら少し前知識も含めて確認しましょうか。先ず我が領が接している国の数と、その国境を任されている領主、把握しているかしら?」
「はい。我が領だけであれば隣接国は西のガンドール一国のみ。
国境を接しているのはジェメシス家、現ランバード辺境子爵であったかと。」
ガンドール王国。規模で言えば中堅国家であり、領土面積は大国であるリカルド王国と比べれば精々三分の一もありません。
しかも国土の大部分は山中にあり高低差も多く、農耕にも畜産にも適さない悲惨な土地柄。最も豊富な産業は鉱山から産出する製鉄業。
ああ、一応放牧は行われているのでしたっけ?身内分限定で。
当然安定している筈も無く、気軽に他国へと売り出せる程余裕もありません。
となれば彼の国が望む最適解は何か、お判りですね?
そう。肥沃な森と農産物が豊富な土地の確保。
則ち我らが祖国リカルド王国ひいては直接の隣接領であるグロリエル辺境伯領の割譲、強奪、支配侵略。それら諸々なのです。
そうなると自国産業である鉄鉱は当然他国に回す筈もありませんね。
彼らは我々と交易など考える余地もありません。寧ろ人を養うために侵略と略奪を繰り返し、負ければ食事を取る口が減り、糊口を凌ぐ数が減ります。
勝てば当然、国力増強。奪った分だけ家族を食わせてやれる。侵略最高、万々歳というのがあの国の基本方針。
全く堪ったものではありませんね。しかも彼らは長年戦を続けている分、近隣の中堅国と比べてもトップクラスの強兵揃い。
加えて人が増えても不作になっても死兵となって向かって来るんですから、直接領地を接している我が領の負担はかなりのもの。
その重さたるや、他領は王国に税を納めているにも関わらず、我が領だけは臣従の対価として逆に支援金を毎年受け取っている程です。
この辺も我が伯爵領が中央で辺境の蛮族扱いされる理由の一つなんですよ。我々は王都に献金しながら地位を保っているのにお前達は金食い虫でしかない、と。
勿論これは我々がガンドールの尖兵となって、一番困る方々の台詞です。
元々辺境伯って元王族が守っていた要所の守護者っていう意味合いがあったんですけどね。代を重ねる内に権力争いに敗れた王族が送られる流刑地扱いですよ。
当然ながら我が領の兵士は他領と比べて結束も高く、毎回援軍を送らず金だけで済ませる王家への帰属意識も段々下がって来ております。
だって国力だけならばリカルド王国の方が上なんですよ?全力を出せば十倍近い兵が出せます。なのに彼らは蛮族は蛮族で争わせておけって態度で他人事。
あなたは黙って飢えて殺し合いながら俺の靴を舐め続けろって言う主人に、忠誠心が抱けますか?ねぇ?
とまあ。実は父が現王家を傀儡にするか簒奪してとっととガンドール王国を滅ぼして仕舞おうと考えるのも一応理解は出来るんです。
単独でガンドールを滅ぼして仕舞えって?我が辺境伯はリカルド王国の一部ですから、他国に侵略したら当然リカルド全体の問題です。
負けたら私達だけの問題で済みません。下手したら我が領が奪われて橋頭保に早変わりしたり、その上で侵略の賠償金を請求されるかも知れません。
だから王都は基本、他国への侵略は認めてません。
序でに言うと、我が辺境伯家で労役と言えば半分は兵役です。
実は単独でガンドールに勝てないかって言うと微妙な線だったりします。本音を言えば昔と違って国力が増した今なら割と勝算があり。
さて。そこで実際に馬鹿にされている当の田舎貴族の態度がこちら。
あぁん、辺境の蛮族?我ら王家の遠戚ぞ?王家の血一つ混じって無い木っ端貴族風情が対等の心算か?我、建国以来の名門ぞ?百年かそこら前に併呑された侯爵家よりよっぽど由緒正しいって理解しているか?
ああ!昔過ぎて判らんか、お前ら歴史浅いもんなぁ!
じゃあ財力で我らと同格の伯爵家って何処よ?領地面積はどうよ?
あ、悪い!うちと比較するなら公爵家クラスだったわ!お前ら木っ端貴族が掲げてる正当性って全部我が家以下だったわ!侯爵家以上なら対等に付き合ったる!
……こんな顔で王都で幅を利かせているのが我が父、グロリエル辺境伯様で御座いますとも。ええ、反論を黙らせる武力持ちw
ココに鉱山与えたい貴族が居ると思います?
我が領負ける時点で王都の勝算も大分危うくなりますので、辺境伯家抜きで隣国を制圧出来るなら多分王都もアリだと思うでしょう。
でも現実は違うので、辺境伯に手柄を立てさせずガンドール攻略とか絶対に無理です。そもそも黙って見ている程グロリエルの発言力は低くないです。
ね?むしろ金をやるから適度に兵力磨り潰されてて?というのが王家の本音だと言えば、簒奪したくなる気持ち分かっちゃうでしょ?
実は現状は言うほど王家に従う益、無いんですよねぇ……。
「少々脱線しましたが、我が領の置かれている関係はこんな所です。
つまりジェメシス辺境子爵家は定期的に我が国へ侵略して来ないと生きていく事すら難しい土地だというのに、殴り返す許可は降りていないんですよね。
侵略は非道だと正義を説く教会と王家の関係は良好ですが、当然ながら我が領と教会の関係はぶっちゃけ結構悪かった訳です。
今迄は、ですが。」
話が一区切りついた私達は、揃って深々と溜め息を吐きます。
何だこの険悪な国内情勢、一触即発じゃないですか。
「……改めて聞くとホント酷い状況ですね。
因みにお嬢様ならどうすべきだと思います?」
「王家視点ですか?私達視点ですか?」
「え?それどう違うんですか?」
「ふむ。では先ず私が王家の人間だったらグロリエル家が今以上に力を付ける前に総力でガンドール国を滅ぼして仕舞うべきだと思います。
何せ、我々が単独でガンドールに勝ってしまえばもう止められませんから。」
「「「え?でも王家は私達に力を付けて欲しくないんですよね?」」」
はい、アウト。首を傾げてるマルガリータ以外は聞き耳を立てない様に。
何の事かと言われれば、ちょっとそこで護衛達が耳を欹てていましたので。
まあ御者が居る脇で話す私達が言えた義理ではありませんが、これ実は皆さんがどれだけ聞かなかった振りが出来るかのテストだったりします。
ここで聞いた話を他所で漏らそうとする者は信用出来ませんからね。ですが全員が反応してしまったので、止む無く溜息と共に馬車の中に一旦避難します。
まあ流石に半眼で睨まれたら慌てて警戒に戻りましたとも。
(((う、上目遣いの抗議、凄く可愛い…………。)))
「どうしました?マルガリータ。」
「いえお嬢様、非難の意思はもっとはっきりお示し下さい。」
「?いえ、流石に叱責する程では無いので。
まあ話を戻しますね?」
平たく言うと、我がグロリエル家の弱体化を期待するのは現実的では無いので。
そもそも只の防衛戦を複数の貴族に任せた場合、足並み揃わず各個撃破されるのがオチです。そうなれば失地という最悪の結果になるでしょう。
まあグロリエルが敗北後に勝てば良いと思っているのかも知れませんね。
仮想敵がガンドール一国であれば、損害を考慮しなければ最終的には勝てるとは思いますよ?隣接国全てと良好な関係を築けているなら、ですが。
「逆に言えば、今なら王家主導でガンドールを滅ぼせるって事です。
手柄は必然的に分散しますし、先陣をグロリエルに切らせる事も可能です。」
つまり今ならグロリエルに身銭を切らせた状態で恩を売って勝てる。
国境守りという栄光も過去の物に出来るし、論功行賞も王家が差配出来ます。
自分達がグロリエルだという点を無視すれば良い手でしょう。
「クロワッサン男爵領は知っていますか?
男爵領とは名ばかりの小さな三日月状の湾岸領地で、砂浜が浅くて大船が接舷出来ないガンドール南方に位置する唯一の港町だそうです。
私なら此処に小舟で大軍を一斉に上陸させて、グロリエルに国境に敵を引き付けさせている間に王都へ攻め込んでしまいます。」
「ええ?!それってアリなんですか?!」
「勿論、当然の軍略ですよ。制圧後はグロリエルに褒美として鉱山の幾つかを与える代わりに平原側の領地を削りましょうか?
序でに家で手柄を立てた陪臣家を正式な爵位を与えて独立させれば完璧です。
ホラ、辺境伯領の弱体化と褒賞による名誉、どっちも叶っているでしょう?」
「うわ、えげつなさ過ぎませんか?それ我々が黙って無いでしょう?」
「これに文句を付けるなら堂々と不遜と断じ、グロリエルを攻める訳です。
表向きは既に顔は立てて、鉱山を譲るために土地を調節しただけですから。家臣を奪ったのだって建前はグロリエルの身内を評価しただけですから。
まあ昔の故郷では良くあった手ですよ。」
領地面積を増やすと言って移転させて、田舎の荒野が大分含まれてたりね。
まあ相手もそれを理由に別の戦での参陣を断ったりしてたと聞きますが。
「ひぇぇえ……。じゃ、じゃあ我が領としてはどうすべきなんですか?」
「まあ理想は単独でガンドールを制圧出来る力を蓄える事ですね。
全土と言わずとも、長期的にジェメシス辺境子爵領を保持出来る戦力があるならそれは叶うでしょう。後は社交で王国貴族に侵攻を追従させればいい。」
ぶっちゃけジェメシスさえ切り取れれば五分が六対四、七対三になる訳で。
調略でジェメシス辺境子爵家内に不和もたらし内乱を助長するという手も使えなくは無いですが、正直準備不足です。
真面目な話、王国視点では幾らでも前向きな手段は打てるのに足を引っ張るしか考えない王家は、簒奪されても自業自得とは思います。
馬鹿にしているよね?邪魔しているよね?磨り潰す気しかないのに味方面?
はっきり言えばグロリエルにとって王国は害です。勝てるか勝てないかが問題なだけで、排除出来るならした方が良いくらい。
この辺に考えが回らないくらい、今の王家はお花畑なのでしょう。
(とは言え。ここに魔族と魔王復活って言う要素が加わるんですよねぇ~~。)
人に紛れて活動出来る怨霊?何それインチキじゃない?
しかもこっちは同じ手使えない上に、相手は産まれ付いての超人?
いや、ホント酷いですね!もう昔のトラウマが蘇りますよ!昔のアレ程じゃないと聞いてはいますけど、魔王とかある意味でアレ以上なんですって?
(……気が進まなくても王家を味方につけないと、ですよねぇ……。)
「あれ?それがどうして、国境寄りの街道を通るっていう……。」
段々声が強張ってくるマルガリータのお陰で現実に引き戻されます。
そうそう、あくまで今の話は前提条件。
問題は今目先で起こっている問題でしたね。
「段々察してきましたね?
実は先日の不正を行った領地とこれから行く領地は割と商業的に近い町でして。
あの町は丁度、目的地の下流に位置しているんです。」
「え?でも船での往来はありませんよね?」
「ええ。途中に川幅の狭い場所があるので商業利用には向きません。
けれど先日上流にある目的地から不審な川船を発見し、検問しようとしたら強行突破されたから注意されたしという連絡が例の町に届いたの。
つまり密入国者の可能性がある一団ね。」
それだけなら別に問題ありません。ですがこの話、私は初めて知りました。
「ん?でも領都には連絡が届いてる筈ですよね?」
マルガリータが首を傾げるのに対し、私の首は横に振られます。
「いいえ。しかも何故か今の通達は、彼の手で握り潰されてました。
変でしょ?何故不審船が目撃された情報を、賄賂で握り潰してるんですか?」
単に警戒だけすれば良いし、通達して間違えていても見間違いで済みますよね?
握り潰す必要がある側、つまり盗賊達は上流の不審船と関係者な訳で。
「っ!じゃあこの国境付近を選んだ理由って!」
思わず腰を浮かすマルガリータに頷き返し。
「いざという時は直ぐに動きます。緊急時以外は指示を出しに来ますから、あなたは中で待機している様に。」
「っ!!お待ち下さいお嬢様!」
「私は直接指揮を執ります。
って、ああ顔を出して仕舞いましたね。ならこの空気を覚えておきなさい。」
隣に並行していた私用の馬に乗り、溜め息を吐きながら空を仰ぎました。
微かに漂う空気の違和感。全く以って嫌になる。
こんな空気、覚えていたくは無かったのですが。
「どうやら悪い予感は、現実になってしまったようですので。」
※舞台背景の説明回。ええ、乙女ゲーの裏設定ですw
王宮側の情報が無いのでどうしても向こうが悪役になります。というか賢王が完璧に治めている国に魔王は復活しないですw暗躍出来ないので。
後乙女ゲーに戦国史思考を組み込むと思った以上にヤバいですねw
具体的には毛〇さんとか武〇さんとか島〇さんとか、家〇さんに限らず秀〇さんも結構えげつない事してるよねw




