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白銀の静寂  作者: 才練人
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第5話 魔法の授業

 私達はグランドに来た。

 グランドには大きなかがり火用の台が置かれている。


「これより、魔法の授業を始める。

 今日の授業は魔法の命中の練習だ。

 この台に《ファイア》を使って、

 火を灯すことだ」


 私達の年齢は十歳。

 魔法が苦手でなければ、

 原初魔法も基本魔法も使える年齢。

 この授業は魔法の命中力を測るものだ。

 どのような凄い攻撃魔法も、

 命中できなければ意味がない。


「では、最初はサイレン・マジャン。

 みんなにお手本を見せて上げなさい」

「……わかりました」


 私は線の上に立った。

 原初魔法だけで、

 魔法に慣れていない者では、

 苦戦するだろう。


「……《ファイア》」


 だが、四歳から魔法使えて、

 今でも練習を続けている私からすれば、

 この程度、目を瞑っていても、

 命中させることはできる。

 的当ての練習も毎日のようにやっている。


「……流石だな。

 淀みすらない」

「……《プッシュ》」


 私は水も風も使うことはなく、 

 プッシュだけで火を消した。

 水属性の原初魔法では、

 乾かすのに時間がかかり、

 他の生徒に迷惑がかかる。

 風属性の原初魔法では、

 火の勢いが強くなるだけ。


 火を消すのなら、

 今の私ならプッシュが一番いい。


「……原初魔法のみならず、

 基本魔法の精度も高いとは……」


 先生が関心を混じった声を漏らす。

 十歳で基本魔法が一つ二つ扱えれば、

 見込みありと見られるらしい。


 そして私は既に、

 全ての基本魔法を扱うことができる。


「……先生、この後は?」

「向こうでゆっくりしていて構わない」

「……わかりました」


 私は木の影に向かう。


「チェ、偉そうにしやがって」

「魔法ができて、先生に気に入られているからと言って」

「……絶対調子に乗ってるよね」


 そんな陰口が聞こえる。

 いつも私が涼しい顔して、

 学校生活を送っているのが気に入らないようだ。


「ちょ、ちょっとあなた達!」


 聞こえたフウが注意しようとするが、

 他の生徒は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


「全く……」

「……構わない。

 ……フウ、魔法の授業大丈夫か?」

「平気よ。

 原初魔法くらいならアタシだってできるんだから!

 それよりもサイレン、何か困ったことがあったら、

 いつでも相談してね」

「ああ……

 何か困ったことがあったら相談することにする。

 ……ネフティも大丈夫そうだな」

「そうね。

 問題はスティック……」

「いけ〜!

 火炎斬!

 ……あれ?」

「だから、スティック、魔法使うんだ。

 それと、今のお前にそのような技はまだ出ない」

「魔法の授業なのに、あのバカは……」

「……彼は典型的な戦士系だからな。

 原初魔法も面白いが、興味ないのだろうな」

「……スティックとは合わないってこと?」

「そう言うことじゃない……

 私が魔法が面白いと思うように、

 彼は自分を鍛えることに夢中なだけだ」

「サイレンさんって、本当に大人っぽいね」

「……そろそろだろ?

 ……私は向こうでゆっくりする」

「わかったわ」


 だが、このままでは不要な言葉を聞くことになる。

 今、訓練用の杖もあることだし。


「……《サイレント》」


 サイレントは生活魔法の一つで、

 生活魔法は魔法陣を主に使う。

挿絵(By みてみん)


 魔法はいくつも種類に分類することができる。


 一つ目は魔法の大前提で、

 これが使えなければ拡張できないほど重要な魔法。

 世界最初の魔法“原初魔法”。


 “原初魔法”には種類が六つある。

 火属性の《ファイア》。

 水属性の《ウォーター》。

 風属性の《ウィンド》。

 地属性の《ストーン》。

 闇属性の《ダーク》。

 光属性の《シャイン》」


 これらのどれかが使えなければ、

 属性は決定されない。

 だから、戦士だろうが回復士だろうが、

 誰も全員最初に使うことになる魔法になる。

 “原初魔法”のどれかを最初に使った魔法が、

 各個人の属性になる。

 もちろん、属性が決定されても、

 他の原初魔法を使うことはできる。

 そして、他の原初魔法も便利である。


 次に原初魔法より難易度がある“基本魔法”。

 “基本魔法”は四種類だ。

 浮かせる魔法フロート

 落とす魔法フォール

 引き寄せる魔法ドロー

 引き離す、あるいは単に押す魔法プッシュ


 基本魔法は動作を模倣した魔法であり、

 “見えない自分の魔力の腕”で物体を操作していると、

 イメージした方が簡単に使える。


 見えない腕だからこそ、応用性はあり、

 好んで使う魔術師は多い。


 先ほども書いたように、

 私ぐらいの年齢で一つや二つ使えば、

 魔術師でも見込みありとして見られる。

 だが、原理さえわかれば、

 訓練用の杖でも全部使うことができる。


 最後に私が使える魔法“生活魔法”。

 とは言っても、一部分しか使えない。

 生活魔法の種類はかなり多く、

 生活魔法専用の魔導書があるくらいだ。

 生活魔法は杖から生成された魔法陣を主に使う。

挿絵(By みてみん)

 二重丸の真ん中に逆三角、角には扇が三つ、

 真ん中に小さい丸。

 これが魔法陣の基本的な形だ。

 そして、二重丸の間に文字を、

 四つ配置するようにイメージする。


 サイレントを使いたいのなら『Silent』、

 ライトを使いたいのなら『Write』など。


 その後は使用者のイメージに反映される。

 ライトは多くの者はライトの魔法陣からペンが生成され、

 そのペンで書くことができる。


 当然、この魔法はきちんと勉強しなければ、

 使いこなすのは難しい。


 私もサイレントを使いこなすのに、

 多くの試行錯誤をしたものだ。


 このサイレントの効果は、魔法陣の中に入れば、

 出す音、つまり声や足音などを聞こえなくさせることができる。

 私の意思次第では、陰口のような声などを消すこともできる。

 そして、私の持っている杖を軸としているから、

 持っている杖が動けばサイレントの魔法陣も動く。

 熟練者はさらに大きいサイレントを出せるし、

 自由自在に魔法陣を動かせるだろうが、

 今の私では私一人分で、杖を軸にするのが精一杯。

 十歳で使えるのは私ぐらいなものだが。


 そして、他にも魔法があり、

 回復士しか使えない魔法『回復魔法』『補助魔法』などもある。


 私達、魔術師が使える魔法。

 『属性攻撃魔法』。

 これは原初魔法が使えなければ扉が開かず、

 訓練用の杖ではなく、

 きちんとした杖でなければ使うことすらできない。

 一つの例外はあるが、机上の空論扱いになっている。


「……ん?」


 すると、杖を持って伸び伸びとして返す生徒が出てきた。

 鐘の音も聞こえる。

 魔法の授業が終わったようだ。


「……解除」


 魔法陣を消して、私も杖を返却する。


「……次の授業は体育か」


 冒険者にとっては魔法も大事だが、

 体力も大事になってくる。

 私としても簡単な魔法の練習をする魔法の授業ではなく、

 体育など別の授業の方が嬉しいのだ。


「サイレンちゃん、一緒に走ろ?」

「……ああ、いいぞ、ネフティ」


 そして、私とネフティは一緒に走り始めた。



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