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白銀の静寂  作者: 才練人
6/6

第6話 ユレイラパーティー

 十五時半になり、

 学校が終わる鐘が鳴る。

 多くの生徒は、部活に参加するか、

 生徒会の仕事に参加するかだ。


 当然、両方に参加しない生徒もいる。


「サイレンさん、帰るの?」


 ネフティが話しかけた。


「ああ……

 ネフティもか?

 ホーオーの世話か?」

「うん。

 他にもみんなの料理も作ってあげないと」

「……凄いな」

「さ、サイレンさんほどじゃないよ……!」

「二人とも、きちんと門限守ってよね」

「……フウは委員会か」

「そうなのよ。

 委員会はギルドの縮小版だし、

 手抜きできないのよ」

「……大変そうだな」

「自分で決めたんだもの。

 投げ出したくないわ。

 それでネフティはわかるけど、

 サイレンさんはどうするの?」

「……私は訓練場に行く」

「また、冒険者になるための特訓?」

「ああ……」

「サイレンさんこそすごいよ。

 普通はそこまで練習しないわよ」

「……魔法は面白いし、

 冒険者になりたいからな」

「サイレンさんってどうして冒険者になりたいの?

 サイレンさんなら冒険者じゃなくても色んな道あるのに」

「……そうだな。

 ……魔法が私を冒険者の道を照らしてくれた」

「「魔法が?」」

「……そろそろ行く。

 また来週な」


 私は手を振った。

 今日は金曜日。

 練習時間は明日と明後日がある。


「あっ、サイレンさん」

「……ん?」

「あの、えっと……」

「今月十二月じゃない。

 それでもし良かったら」


 フウの発言でネフティが何を言いたいのか、

 大体察した。

 そういえば、あの時期が近いな。


「……そういうことか。

 ……わかった。

 場所は決めてあるのか?」

「え?

 まだだけど……

 相談中ってことで」

「……そうか。

 ……人数は?」

「クラス全員じゃないよ。

 私達でパーティーしようって」

「……わかった。

 ……断る理由はない」

「ありがとう!」

「……今度こそ行く」

「またね」


 そして、私は約束してから学校を出た。


 学校を出た私は中央区の北にある訓練場へ目指した。

 北区には訓練場の他にも、

 鍛冶屋、アクセサリー店、服屋などがあり、

 軽い飲食店もある。


 冒険者達が依頼を休む時にこの周辺を歩き回ることが多い。

 中には男冒険者と女冒険者が二人で行くこともある。


 冒険者が使うことも多いから、

 宿などもここには多い。


 私は訓練場へ向かう。


 私は他の子のように流行に敏感ではない。

 何が流行っているのか聞かれても困る。

 ただ、服に完全に興味ないのかと聞かれたら、

 そうでもない。


「……あ」


 目に入ったのは最新の魔術師のローブ。

 色合いは白と青が基調だった。


「……はぁ」


 そのローブの綺麗さに白い息を吐いた。

 流行りの服は知らない。

 それでも私は根っからの魔術師だ。

 そして、冒険者になった暁には、

 どのようなローブを着るのか決めている。


 ローブの色の殆どは黒や薄暗い赤など、

 どこか暗い色が多い。

 それでも私の目の前にある色のローブはなくはない。


 目の前にローブを見て、

 私は将来、自分がどのような魔術師になるかをイメージした。


 そして、私は小遣いを貯めている。

 ローブはもちろん、自分だけの杖のための資金だ。

 もし、冒険者になれる年齢になったら迷わずに買おう。


「……将来の自分に少しでも近づくために」


 私をローブを見て決意を新たに訓練場へ向かった。


「あ、サイレンだ!

 ヤッホー!」

「……【ユレイラ】」


 訓練場前で私に手を振ってきたのは、

 【ユレイラ・カナン】。

 女性冒険者で年齢は十六歳。

 若い女性冒険者で素早い攻撃が自慢らしい。


 ギルドで私によく話しかけてくれる、

 私のお姉さんのような女性だ。

挿絵(By みてみん)


「……今日も訓練か。

 流石、ダイン教官の娘だ」


 静かに私を見つめる青髪の剣士は。

 【ヒューズ・グレファー】。

 私の父の弟子で、ユレイラパーティーの攻撃の要。

 父さんの影響を受けているためか、

 彼もまたクールな剣士である。


挿絵(By みてみん)


「さ、サイレンさん。

 こ、こんにちは」

「……レオ、相変わらずだな」


 彼の名は【レオ・マックリー】。

 私と同じで魔術師で火属性。

 魔術師としての腕なら彼の方が上の筈なのに、

 何故か私相手でも丁寧で、自信なさげだ。

 体型は他の魔術師らしくヒョロヒョロで、

 運動が苦手。

 腕も細い。

 少し走ったら息が荒くなるらしい。


 ユレイラパーティーでは遠距離攻撃担当で、

 魔法の腕も悪くない。

 少なくとも私の数倍は強い。


挿絵(By みてみん)


「サイレンは?

 今日もシャイニング・バーニングの訓練?」

「ああ……

 毎日の訓練の積み重ねが大事だからな」

「感心だな。

 サイレンは魔法の才能はあるが、

 才能に溺れたりしない」

「……凄いですよね、サイレンさん。

 ……僕が子どもの頃は遊んでいたのに……」

「……さん付けはやめてくれ。

 ……実力ではレオの方が上なんだ」

「いや、きっとサイレンは僕なんて軽く超えるよ」

「そうだね!

 サイレン、子どもの中じゃ、一番強いもの」

「……それはわからないな。

 ……全員と戦っていないからわからないさ」


 実際に私が自分がどれだけ強いのかわかっていない。

 もしかすれば、今の私では勝てない子がいるかも知れない。

 だが、私からすればそんなことはどうでも良かった。


「……そういえば、学校で門限が決められた。

 ……何かあったのか?」


 私がそう聞くとユレイラ達は顔を見合わせた。

 その反応から何か問題が起きたのは間違いない。


「うーん。

 あんまり子どもに話すのもどうかと思うけど……

 サイレンは他の子どもと違って冷静だし、

 大丈夫だよね?」

「……ユレイラに任せる」

「僕も……

 ユレイラの言う通り、

 他の子どもなら面白がって肝試しとかしそうだけど……

 サイレンさんはそう言うタイプじゃないし‘

「……何かあったのか」

「ええ。

 実は村でゴブリンの目撃情報が頻発しているのよ」

「……ゴブリン」

「明るい内なら私達も注意して町に、

 ゴブリンがいるかどうか見張っているけど、

 夜だとどうしてもわからないのよ。

 だから、ギルドの人と協力してパトロールもしてるの」

「……確かにここの冒険者ならゴブリンに負けるとは考えづらいな」

「信頼してくれてありがとう。

 でも、問題なのは何故ゴブリンが村に出現し始めたかなのよ。

 普通ゴブリンは森や洞窟に住み着くの。

 村に住み着いたら駆除してくれって言ってるようなものだしね」

「……ゴブリンが村近辺に住み着くようになった理由があると」

「そう言うこと。

 サイレンも訓練をするのなら気をつけてね。

 あなたはまだ子どもなんだから」

「……わかった。

 ……気をつける」

「約束ね。

 ……私は本気であなたに期待してるんだから」


 ユレイラは優しく私に微笑みかけた。

 まるで、歳の近い姉のように。


「……そうか。

 ……そろそろ入る」

「訓練頑張ってね」

「ああ……」


 私は手を振って訓練場の中へ入って行った。

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