はじめてのダンジョン!
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ありがとうございます!
これが今年最後の投稿になります。
みなさん、良いお年をお迎えください!
また来年も笑顔でお会いしましょう! では、また!
みんなで体を拭いて髪も洗いすっきりした所で、早速、みんなであれこれ言いながら、ルーちゃんが着る服を選んでいく。
「違うって! こっちの色のワンピースの方がルーの髪の色に絶対、合ってるって!」
「え~っ! 絶対、こっちのワンピースの方がいいよ~!」
そして、代わる代わる着せて脱がしてを繰り返して、ルーちゃんが紺色のワンピースを着た姿を見た瞬間、みんなが今まで以上に声をあげる。
「かわいい~! 一番いいかも」「その色で決定だね!」「うんうん!」「なんか、お貴族様みたい!」
「えっ! 本当かな~?」
「ホント、ホント! ルーちゃんの金色の髪の色と合ってるし! お上品でお貴族様みたい! でも、最終的にはルーちゃんが決めていいよ! どの色がいい?」
「え~っ! ……じゃあ、みんながいいって言ってくれた、これで……」
「おっけ~! じゃあ、そのワンピースはルーちゃんにあげるから大事に着てね」
「えっ! でも、タオルと下着も貰ったし……」
「いいから、いいから! さっきも言ったけど、私たちはいつでも貰えるから! ねっ! みんな!」
「そうそう! 気にしなくていいよ!」「平気、平気!」「うんうん、大丈夫、大丈夫!」
「……ありがとうございます! 大事にしますね。……でも、こんな良いものをすぐにくれるリーダーさんって、本当に凄いんですね!」
「あっ! ルーも気づいちゃった? 本当にケイは凄いんだから! 私たちが住む場所も食べるものもない時に助けてくれて――」
「――ああ、もう! ジュリア! それ三回目! ルーちゃんも聞き飽きたって!」
「何よ! ルーナ! それだけ感謝してるって事じゃない!」
「感謝することは良いことなんだけど、何回も何回も言うと感動が薄れちゃうって、村長さんも言ってたじゃない……」
「あ~っ! もう! うるさい! その話はもういいから何かして遊ぼ!」
そのやり取りを見ていたルーちゃんが、少し不安そうにしていたので慌てて誤解を解こうと話しかける。
「ルーちゃん! 大丈夫だよ! あの二人、本当に喧嘩しているわけじゃないからね!」
「えっ! そうなの?」
「あっ! ルーちゃん、心配させてごめんね! ジュリアがいつも、変なことするから注意してるだけなの! だから喧嘩はしてないから安心してね!」
「あ~っ! ルーナ、ひど~い! いつもってことはないでしょ。時々だよ、時々」
「あっ! 変なことをしてるのは認めるんだ!」
「…………」
ジュリアちゃんがしばらく、反論できずに黙り込んだ後、部屋はみんなの笑いで包まれた。
♦ ♦ ♦ ♦
「ケイさま! お忙しいところ、申し訳ありません! ダンジョン入り口の扉分の鋼鉄がご用意出来たのですが、他に手伝いや何か必要な物はございませんか?」
「えっ! 早っ! ありがとう! 他に必要な物か~……引き続き鋼鉄も欲しいけど、一番に欲しいのはさっき話していたスライムかな~」
「それなら、ここのダンジョンの一階層はスライムが出るようなので集めてまいりますね」
「あっ! それならオレも行きたい! 一緒にいっていい?」
「もちろん、問題ございません! しかし、そういう事であれば、ケイさまには必要ないと思いますが、護衛も数名ご用意させいただきますね」
「あっ、うん! お願いね」
う~ん……ミドリンには散々、お友達として仲良くしていこうって言ってるんだけど、どうしても部下みたいな感じになっちゃうんだよね……。まあ、こればっかりは無理強いするのも違う気がするし、仕方ないかと何も言わすにミドリンとともにダンジョンへと向かう。そして、ダンジョンに辿り着くと、すでに数名の武装したゴブリンが整列して待っていて、鋼鉄のインゴットも大量に積み上げられていた。
「え~と、みんなが同行してくれるのかな? よろしくね!」
「……はっ! この命に代えましてもケイさまをお守りいたします」
「いやいや、一緒に無事に帰ってこようね」
そう言って、集まっていた四人のゴブリンと握手を交わしていく。オレは大分みんなの事が分かってきているので、その笑顔の意味が照れていたり喜んでいるのだと分かるのだが、普通の人がみたら、その笑顔が余りにも邪悪なので恐怖をおぼえている事だろう。
「じゃあ、扉だけ付けちゃうね! みんなちょっと危ないから離れててもらえる?」
ゴブリンたちが離れたのを確認して、鋼鉄のインゴットを使い【ものづくり】で大きな扉を作り、入口に取り付ける。そして、お約束通り、見ていたゴブリンたちから歓声が上がり、それにドヤ顔で右手をあげて応える。
「流石、けいさまです。素晴らしい意匠で勉強になります! この意匠にもやはり意味があるのでしょうか?」
「え~とね! この意匠はこの土地を所有している領主の紋章で、このダンジョンはレンドール男爵の所有だって主張する為に付けただけだから、特に隠され意味とかはないよ」
「なるほど……」
まあ、ここがレンドール男爵の土地だって分かるものをいくつも作っておけば、隣の領主が実効支配しようとしてきた時に、ここがレンドール男爵の土地だとは気づかなかったって言わせないってのも目的にあるんだけどね……。
「じゃあ、早速、行ってみようか!」
「「「「「はっ!」」」」」
みんなを引き連れ、見送りのゴブリンたちにも手を振り、初めてダンジョンへと足を踏み込んでいく。
「まあ、当たり前だけど暗いな!」
「ケイさま、ヒカリゴケはどういたしましょう?」
「えっ? 何それ? まあ、光る苔なんだろうけど……すぐに光るの?」
ミドリンの説明によるとそれはヒカリゴケを刻んだもので、撒くことで繁殖し洞窟内に広がっていき、最終的には松明を付けなくても見えるぐらいにはなるらしい。でも、それだけ光るには少し時間が掛かるそうだ。それでも、後々の事を考えれば松明を持たないで戦えるようになるし、初心者の事故も減るかと思いお願いすることにする。
「じゃあ、今回はオレが明かりを出すね」
そう言って光の玉を浮遊させて少し先を照らすと、その玉のすぐ後ろを追いかけるように先頭に二人のゴブリンが槍を構えて進み、その後ろにオレとミドリン、そして後ろに弓と杖を持った遠距離要員? のゴブリンが続く。時折、後ろのゴブリンが袋から何か撒いているがアレがヒカリゴケなのだろう。
ダンジョン内の通路は、大体だが幅と高さ共に三メートルぐらいはあるだろうか? 一見、広そうにも思えるが全員が武器をもって振り回す事を考えると、決して広いとは言えないかもしれない。
「あっ! そうだ! みんなに防御魔法かけるの忘れてた。ちょっと待って!」
みんなを集め、お馴染みの祈り、加護、プロテクションの順でかけていく。
「おお、力がみなぎってくる」
「これでちょっとした攻撃なら平気になると思うけど、くれぐれも気を付けてね」
みんなからの過剰なお礼を軽く受け流して先へと歩みを進め、さらに忘れていた探索魔法を使う。
「あっ! この先の曲がり角の壁と天井に、細長い生き物二匹の反応がある! 気を付けて」
「「「「「はっ!」」」」」
「んっ! 何か毛見たいのがいっぱい動いて…………もしかしてあれ全部、足か? うげっ、虫系かも」
あの足の数は百足かゲジゲジ辺りか? クソデカいんだが……。太さは大人の男性の腕ぐらいはありそう。とにかく相当デカいのは確かだと思う。
「ケイさま、もしかしたら、それはセンチピードかもしれません! 外皮が硬く毒持ちで嚙みつきが主な攻撃になります。お気を付けください」
「あ、ありがとう! 気を付けるよ!」
というか先手必勝で気づかれる前にやるのが一番なんだろうけど、どのぐらいオレの魔法が通じるかが問題なんだよな……。そう考えている間に「カサカサ」「シャカシャカ」という音が近づいてくる。
「みんな、最初の攻撃は遠距離からでいこう」
それを聞いたゴブリンたちが頷き、弓と杖持ちのゴブリンが構える。
「こっちに向かて来てる! あっ! 二匹とも地面に降りた! 来る!」
「ウォーターカッター」
「ファイアーランス」
オレの魔法に続き、ゴブリンたちの魔法と弓が放たれデカい虫を貫く。一匹はオレの魔法で首が切り飛ばされ、もう一匹は頭に矢が刺さり地面に縫い留められ、さらに炎の槍で貫かれて燃えあがり、しばらくもがいた後、動かなくなった。
「やったかな?」
「お見事です! どうやら、センチピードの幼体だったようです」
あっけないと思ったけど、簡単に倒せた理由は幼体で、比較的、外皮が柔らかかったからだったようだ。それでも頭を切り落としても、しばらく動いてたしその辺は注意が必要かもしれない。
「魔石を取り除くとすぐさま死体がダンジョンに吸収されてしまいますが、魔石以外はいかがいたしましょう?」
「あっ! そっか。う~ん……魔石以外は何かに使えそう?」
そういえば死体はダンジョンに吸収されるって、ニャンニャンかシンクが言ってたっけ。
「そうですね……身は食べれなくはないですが、筋張っていてとてつもなく苦いです。……外皮も成体でしたら防具に使えますが、幼体の外皮は特に使い道はないかと……」
つまり、ゴミだと……。その後、槍持ちの二人が解体を買って出てくれたので、お願いして見学させてもらうことにする。
「大抵はセンチピードの魔石は頭の下三段目の外皮の下にある事が多いです」
「なるほど~紫ってことは毒の魔石か……」
「そうです。では魔石を取り出します」
「うん、お願い!」
そして、ゴブリンさんが魔石を抜き取った途端に死体は煙のように消え、そこには何故かナイフが落ちていた。
「まあ、出来立てのダンジョンですし、残念ながらケイさまが喜ぶようなものは中々、出ないとは思います」
そして、そのナイフを手渡され、そこでやっとこれがドロップ品だという事に気が付いた。
「……ああ、なるほど……魔石を取り除くとドロップ品が落ちる感じなのか……」
「ど、どろっぷひんというのが何かは分かりませんが、一部の研究者の間では魔物を倒して落ちるアイテムが召喚に使われた触媒だと言われています。ですので弱い魔物からはそれなりの物しか出ないとかそんな感じらしいです」
「は~~なるほどね~! ありがとう! ためになったよ」
「いえいえ、お役に立てたなら幸いです」
そう言って顔を赤らめているミドリンをよそに、もう一匹のムカデの魔石も取り出してもらう。そしてナイフの次にドロップしたのは片足だけのブーツだったようだ。
「片足か……」
まあ、後で何か他の革製品に作り変えればいいか……。そう思い、とりあえず、そのままだとかさばるので【ものづくり】を使い材料の状態にしてバッグに入れておく事にする。
「よし、じゃあ、先に進もうか……」
みんなの良い返事と共にさらにオレたちはダンジョンの奥へと進んで行った。
♦ ♦ ♦ ♦
わたしたちはルーちゃんの髪の毛を結んであげた後は、ニャンニャンちゃんが出してくれたなんとかゲームっていうやつをみんなでやる事になったのだけど、みんなでそれを大笑いしながら楽しんでいた。
「え~と……次はルーちゃんかな」
「は、はい。じゃあ、いきますね! えいっ!」
ルーちゃんが転がした二つのさいころが、なんとかゲームの上を転がる。
「あっ! 凄い! ……ルーちゃん、じゃあ、一緒に数えてみようか」
「はい」
ルーちゃんはまだ十を数えるのも怪しいみたいなので、ニャンニャンちゃんの念話による提案で、さいころの出た目を一緒に数えて、ルーちゃんにも数え方を覚えてもらう作戦だ。
「――六、七! 七です」
「そう! 正解! じゃあ、青色のニャンニャンちゃんがルーちゃんのコマだから七つ進ませて、止まった所に書いてあった事をルーちゃんがやるんだよ!」
「ええっ! 何だろう! え~と、動かしますね! 一、二、三、四――」
この時もみんなで一緒に数えてあげる。
「なんだろう! 意地悪なやつじゃないと良いね」「うんうん」
「七!」
「じゃあ、今度は私が読んであげる。え~と、冒険中に体力がないと感じたので、特訓で腹筋を十回する。もしも、十回、出来なかったら、誰かにお願いして続きをやってもらおうだって……」
今度はジュリアちゃんがルーちゃんの分を読んであげる番。これもニャンニャンちゃんの提案で私たちの文字を読む練習にもなるから、順番で読んであげるようにという事だった。
「えっ! ふっきん?」
「あっ、私たちがやってるやつだ! 見てて、一、二、三、こんな感じでやるの! これをやるとお腹とか色々な所が強くなるんだって!」
「じゃあ、ルーちゃん! わたしが足を持ってあげるね。え~と、膝をまげて……そうそう! じゃあ、いってみよ~」
「は、はい、じゃあ、いきますね……ふっ! ぐぎぎぎっ~! 無理です、ハアハア……」
ルーちゃんは可愛い顔に似合わない凄い声をあげたものの、一回も出来ずに力尽きてしまう。
「あはは、凄い声~」「あはは、お腹痛い!」「マヤ、泣いてるじゃん」「あはは、ルーちゃん! 最高!」
「あはは、無理でした。マヤちゃん! お願いします」
「ええっ! わたし!」
「そうだよ! 出来なかったら続きをやってもらおうって書いてあるじゃん」
「続きっていうか、十回、全部じゃん! あはは! でも、いいよ! ルーちゃんの為だもん! 頑張る!」
「ルー、マヤの足もってあげて」
「はい、マヤちゃん、これでいいかな?」
「うん! 大丈夫! 任せて!」
こうして、私はその後もくすぐり以外のすべてのルーちゃんの罰ゲームの続きをお願いされて、笑顔で引き受けたのでした……。




