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太陽と月の魔力をもって。〜日蝕により崩壊した世界で生きる〜  作者: 紅弥生 
Chapter-1 目覚め

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EP5


『ね。目を覚まして』


「……う……ん……?」


 その声に意識が戻る。

 自分はいつの間に眠ってしまっていたのだろうか。


(確か……ドラゴンを倒したあと……吹き飛ばされて……あぁ……)


 意識が飛んだのか。


(それで……僕は死んだ?それとも身体が乗っ取られた?)

 

『大丈夫。死んでないし、乗っ取られてもいないよ』


 僕の疑問に返答があった。


「僕の心が読める……?」


『だって、私も君だもの』


 そう言って目の前に姿を現す。

 それはレオンハルトの姿をしていた。


「え……?」


「ふふっ。私はレオンハルト・ロー・アバルト。よろしくね」


 元々の身体の持ち主の姿に、目が見開く。


「生きていた……?」


「いや、死んではいるね。ただ、まぁ。簡単に言うと、君と身体を共有することになったということかな?」


「じゃあなんで……」


「ん?あぁなってしまった世界は私より、君のほうが上手くやっていけると思って。ね。実際、私の見立て通り勝ち目のないドラゴンにルークと2人で打ち勝ったじゃないか」


「それはたまたま運が良かっただけで……僕の力じゃない」


「いいや、君の力だよ。君には異世界の知識があって。それを参考にして本番でしっかり実行できる。私には無理だ」


 それも運が良かっただけでしかない。

 たまたま上手くいって。噛み合って。

 ルークもいたから勝てた。


「まぁいいや。それとごめんね。君に私の記憶を共有できてなかった。ルークには記憶喪失って言ってたけど、ルークは鋭いから違うってそれとなく気付いていると思う」


「そう……」


 元よりその場しのぎでしかなかったから、そのうち打ち明けようと思ってはいた。


「大丈夫。そのうえで君のことを信用していると思う。だって彼は信用してないなら、僕だとしても命を預けるなんてしないからね」


「それは良かった……」


 図らずとも信頼関係が築けているのなら良かった。

 安堵しているとレオンハルトの姿が薄くなる。


『おっと。そろそろ時間か。じゃあ私の記憶を共有しておくね』


 そう言って手を握る。

 そこから大量の記憶が流れ込んでくる。

 レオンハルトの思い、直前の悔い。

 そして、ルークやその他の友達との思い出。


「うっ……」


『ごめんね。まぁでも、私の記憶があっても、君は君の思う通りに動いて大丈夫』


 そう言いつつさらに薄くなっていく。


『それじゃ、君のこれからの人生に最大の祝福を。大丈夫。これからも君の中で手助けするから。またね』


 完全に消えたあと、自分も意識がなくなる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ん……んん……」


 薄暗い部屋で目が覚める。

 周囲を見渡すと、何も変わっていない、ルークと2人で作った家のベッドの上にいる。

 ルークは家の中におらず、外にいるようだ。


「レオンハルト……ありがとう」


 そっと感謝をすると、心が温かくなる気がした。

 そして、扉を開けると、ほぼ何も変わっていない焚き火などが目に入る。

 ルークは何処だろうと探すと、ドラゴンは残ってはいないが、戦っていた痕跡が残っているところにいた。

 そこにゆっくり近づくとルークも僕の存在に気付いたようで。


「おはよう……!?」


「うん。おはよう。ごめん心配をかけた」


「それはいいが、ハルト……どうした?その姿……」


「は?」


「……ちょっと川に行こう」


 そう言って2人で川に向かい、水に反射する自分を見る。


「な、なにこれ!!」


 大して見た目は変わってはいないが、おでこのあたりからドラゴンの角の様なものが生えていて、お尻のあたりからドラゴンの様な尻尾が生えている。

 バッ!とステータスを確認する


  ステータス

 名前:レオンハルト・ロー・アバルト

 種族:竜人  Lv:25  HP:400/400

 物理防衛:80/80 魔法耐性:100/100

 SMP:∞/∞  適性:火炎

 LMP:0/∞    適性:聖光

 クラス:闍ア髮?

 スキル:騎乗、剣術、飛行、竜化

 

(種族が人間から竜人になってる……!!もしかして、あの時の感覚はドラゴンに乗っ取られそうになったのか……!?それを『レオンハルト』が……?)


 もしそうならば、『レオンハルト』には感謝してもしきれない。

 身体も提供してもらい、その上で精神面でも助けて貰い。


(僕が不甲斐なさすぎる……)


 ガクッとちょっとうなだれる。


「とりあえず……ハルトはハルトだよな?」


「うん。身体は変わったけどね……」


「それならばいい。むしろ、ドラゴンの力を手に入れられて、さらに頼もしくなったんじゃないか?」


「そう言って貰えると助かるよ……ありがとう」


「それで。どうする?」


「えぇと。目的は変わらず、助けられる人がいたら僕たちにできる範囲で助けて、仲間を増やせるなら増やそう。結構早いスパンで2度もエクリプスが起こったからね……僕たちは両方ともたまたま生き残れたけど、3回目は生き残れない可能性もある。だから仲間を増やして少しでも生存率を上げられるなら上げておきたいしね」


「分かった。ただ、目的地はどうする?」


「どうしようか……人が多いところ……」


 『レオンハルト』から共有してもらった記憶の中から、この国の地形図を引っ張り出す。

 

(この国は王都が中心部で、その他主要都市が5都市ある……そのなかでも一番人が多かったのは……)


「「海沿都市サイドベール」」


 2人で声がハモる


「えっ?ハルト?」


 この国の南側に位置して、海に面している都市の中でも最大規模の都市。

 港町なので漁業が盛んだった。

 そして、南にある大陸の国との貿易の中心部でもあった。


(全ては災害前の話なので、今はどうなっているかは分からない。が、人が多くて生存者を探せる。となったらそこになるだろう。ただ、一番人口が多い王都で生存者が僕とルークの2人だけだ。そこはいない可能性はある)


「おい。ハルト……記憶が戻ったのか?」


 考えていると、ルークはそう言って肩を掴む。


「え?あぁ……ルークになら話して大丈夫か……」


 僕の正体。そして、レオンハルトとの関係を話す。


「そうか……あいつはハルトのなかで生きている……のか……」


 ルークはそう言って安堵の表情を浮かべる。

 どこか涙が見えるような気がする。

 そしてすぐ立ち直る。


「すまない。大丈夫だ。ありがとう。なんとなく違うのは分かってはいたが、そこまでは想定していなかった。そして、あいつがハルトに託すというならば、私はハルトを全面的に信用して、全力で協力する。これからもよろしく頼む」


「うん……こちらこそ今まで騙していたみたいでごめんね」


「いい。ハルトもこの世界に来たばかりで何の情報もなかったのなら仕方ない。それに君のお陰で生きているからな」


「いいや、僕は単に記憶の中から情報を引き出して色々試してみただけだよ。生きているのはルークの力だよ。ルークがいてくれたから家も建てれて安全に過ごせてるし」


「いや……うん。不毛だな……とりあえず、話を戻すと、次の目的地は海沿都市サイドベールでいいな?」


「そうだね。生存者がいる可能性は、人が多いところの方が高いだろうし……まぁ……王都には僕たち2人だけだったようだけど……」


「そうだな……まぁ、悔やんでいても仕方ない。旅の準備をしよう」


「うん!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 それから何日かかけて、準備をした。


(まぁ、何にも手持ちはないからすぐに終わったんだけど)


 数日かけた理由は、僕のスキルに追加されていた竜化と飛行を試したからだ。

 竜化とはそのまんま。普段の人の形態からドラゴンの形態に変化した。

 その形態では魔法とかは使えないが、ドラゴンのブレスや飛行、防御力の上昇などが見込めた。

 ただ、変化するとき、関節とかがありえないほど痛かったのであんまり使いたくはない……

 飛行は人の形態でも空を飛べた。

 こちらは、背中からドラゴンの翼が生えただけで痛みも伴わなかったため、頻繁に使いたい。

 ただ、ルークや荷物を一緒に乗せることを考えたらドラゴン形態での飛行が良かった。


「ハルト……無理をかけてすまない……」


「いいよ。大丈夫。というか、僕も火魔法以外でやっと役に立てて嬉しいんだ」


「そうか。ただ、疲れたときは遠慮なく言ってくれ。休憩しよう」


「わかった!じゃあ変身するよ。離れてて」


 ルークは少し距離をとる。それをみてから


〚竜化〛


 そう唱える。

 すると、やはりとてつもない痛みを伴いながら変化していく。


「うっぐっ……!!」


 これは絶対に慣れない気がする。

 やはりあんまり使いたくない。

 そして数分経つと、変化が完了する。


「うんOK!ルーク乗って!」


 軽く屈んで楽に背に乗れるようにする。


「では、失礼する……」


 ルークがよいしょっ……と乗っかり


「おおう……やはり高いな……」


 と呟く。


「よし。じゃあ飛ぶよ!ちゃんと捕まってて!!」


「わかった!」


 ルークの魔法で強度を上げたツタのロープを自分でもよく縛って、ルークはそれに掴まる。

 そして、バサッバサッと飛び立つ。


「海沿都市サイドベールへ出発!!」


 明日はどうなるかは分からないけれど、きっと大丈夫だと信じて。

これにて第1章終わりです。

ここまでいかがだったでしょうか?

私自身、久しぶりに書いたので拙い部分や設定が甘い部分があるかもしれません。それでも面白いと思っていただけたら幸いです。

そして、よろしければ感想などあればお願いします!

同時に、評価とブックマークもお願いします!

第2章までお待ちください!では!

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