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太陽と月の魔力をもって。〜日蝕により崩壊した世界で生きる〜  作者: 紅弥生 
Chapter-3 復興

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EP10

※描写注意です※

虫が苦手な方は注意してください。









「うっわぁ……」


 ダンジョンの中に入ると、周りに森が広がっていた。


「…キモっ……!!」


 多分みんな同じ感想だろう。

 何故なら森の木々には大量の蛹と、幼虫が群がっていたからだ。

 ただ、やはり、松明を持っていると近寄ってこないようだ。


(というか……蚕もそうなんだけど)


「なんか、暑くない?」


「は?ハルト何言ってるんだ?」


「え?」


 じわっと汗を書くほど身体がなんか熱い。


「ハルト、大丈夫か?体調が悪いんじゃ?」


「いや、そんなわけではないんだけどね?」


「やっぱり引き返しませんか?、殿下がその様子じゃ……」


「大丈夫です。そのうち慣れると思いますから行きましょう」


 身体は全然ダルくはないしむしろ、軽いくらいだから大丈夫だと判断する。


「まぁ、ハルトがそこまで言うなら行こうか。とりあえず怪しい魔力は奥の方に続いてるようだぜ」


「ありがとう」


 周りになるべく目を向けないように進んで行く。


 トラップもなく、ファンタジーなら、トレントなどの木の魔物もいそうなものなんだが、そう言ったのも出てこない。


「ちょっと待て。ハルト」


 順調に進んでいたのだが、突然ルークが引き止める。


「ん?ルーク?どうしたの?」


「左手どうした?」


「は?」


 左手といわれたので左手を見てみる。

 爪が伸びて、鱗が出てきている感じがする。


「竜化してきてる?なんで?自分で使ってるわけじゃないのに?」


「やっぱり引き返したほうがいいんじゃないか?」


「ごめん……そうしたほうがいいね」


 レルーナとアーノルドにも伝えようとすると、聞こえてなかったのか、どんどん先へ進んでいる。


「レルーナさん、アルト!ちょっと待っ!!」


 慌てて追いかけて、大きな声を出して呼ぼうとしたが、突然目の前に蚕が現れる。


「ちっ!!ルーク温存してて!!レルーナさん、アルト!!戻ってこい!!」


 それでも、冷静に2人を大きな声で呼び戻しながら交戦する。


 とりあえず、目の前の蚕を真っ二つに切り落とす。

 しかし、やはり群れていて大量に現れて、再び防戦一方になってしまう。


「めんどくさいねホント!!」


 なんとか攻撃を受けないように、ルークを守りながら捌いていく。

 その中の1つに何やら模様が違う蚕がいたが、問答無用で切り裂くが、避けられた。


(はっ?)


 その蚕がいた場所に鱗粉が舞っているのが確認できた。

 その瞬間。ドクンッ!!と一際強く脈打つ感覚がして、攻撃が鈍る。


「ハルト?おい?ハルト!!?」


 異変に気付いたルークが呼びかけるが、僕には届いていない。

 ドックンともう一度脈打ったのと同時に、意識が暗転した。


--------------------------------------------------------------


Side:ルーク


「おい、ハルト!?聞こえてるか!?」


 突然、ハルトが攻撃を止めて動かなくなる。

 アーノルドとレルーナさんが来るまではあと少しだが、数が多くて、自分もどんどんHPが削られていくので、魔法は温存しろと言われていたが、使うしかない。


「『ウッデンウォール』!!」


 ここらへんは木々が多く生えているので、地魔法よりも自然魔法で壁を作って蚕とハルトを分断する。


「こいつのせいか!?『ウッデン・ジャベリン』!!」


 1匹だけ模様が他と違う蚕がいたので、木の槍を召喚して攻撃する。

 

「うっ…!!」


 その模様が違う蚕の鱗粉が舞う。

 それを吸ってしまう。

 若干身体が熱くなる。が、何ともない。


 気にせず、自分も壁のなかに入りこむ。


「ハルト?おい?ハルト?」


 何度呼びかけても反応しない。


「おい、ルーク、ハルト大丈夫か!?」


「すみません、止まってたのに気付かないでしまって」


 そこでアーノルドとレルーナさんが合流する。

 レルーナさんの持っている松明の火が近付いたからか、蚕が散っていく。


「私は大丈夫なんだが、ハルトの様子がおかしい!!」


「何!!」


「私が見てみまっ!!」


 突然バギっ!!とデカい音がして木の壁に穴が空く。


「は!?」


 そこからハルトが一気に駆け出していく。


「止まれ、ハルト!!」


 しかし、その声は届かず、奥に進んで行く。


「おい、あいつ何してんだ!?」


「私も分からない!」


「とりあえず、追いかけましょう!!」


 そうしている間にもどんどん奥へと進む。

 道中、道を阻む蚕は薙ぎ倒していく。


「なんか、あいつ早くねぇ!?」


「ハルト、こんな速度出せるんだな」


 どんどん引き離されて行くと思ったらピタッと止まった。


「お?止まった」


 こちらが追いつくまで止まっていてくれ。と思うと幸い、止まっていてくれてすんなり追いつく。


--------------------------------------------------------


Side:レルーナ


「ハルト?おい、ハルト?大丈夫か?」


 アーノルドが、後ろから声をかけて様子を確認している。


 目が覚めたのか、ハッとしてキョロキョロと周りを見渡す。

 そして、こっちに向き直す。


「本当にごめんなさい……」


 謝ったかと思ったら、突然私の方向に一気に距離を詰めて。


「きゃっ!!」


 突き飛ばされる。


 何をするんですかと言う言葉は飛び出てこない。


 何故ならば、レオンハルトの身体から。


 心臓の部分から1つの木の枝が貫通していた。


「……え?」


(なんで?どうして?どういうこと?)


 頭がそれを理解するのを拒む。


 しかし、現実は無情に。


 レオンハルトの身体はそのままバタっと力なく倒れる。


「レオンハルトぉぉ!!!!!!」


 そのことに、アーノルドは咆哮する。


「レオン!!!!『ロックブラスト』!!!!『ロックウォール』!!」


 ルークは冷静の様に見えて、怒りを押し潰している顔をしている。


「そ、んな?なんで?」


「レルーナさん!!あなた回復魔法が使えるんですよね!?ゆっくりでいいので落ち着いて、使ってください!!」


「いや、私使えない。使えないんです!!!」


 使えるのならば。使いたい。けれど、魔法はピクリとも反応しない


「『ヒール』 !」


 もう一度挑戦してみても。


「『ヒール』!!」


 ただ眼の前にいるレオンハルトを治癒するだけなのに。


「『ヒール』!!!」


 魔法は1ミリたりとも応えてはくれない。


「『ヒール』!!!!」


 光りもしない。


「大丈夫です。レルーナさん!!レオンが教えてくれたことをもう一度思い出して!!」


 その言葉にハッとする。

 魔法を使うイメージではなくて。


 眼の前にいる人を。レオンハルトを。


 治すイメージで。


「『ヒール』!!!!!!!」


----------------------------------------------------------------


Side:ハルト


 身体が先に反応してしまう。

 レルーナの奥からレルーナに攻撃しようとしている木の枝が見えて。


 一気に駆け寄ってレルーナを突き飛ばす。


 剣で切り飛ばそうと思っていたが。

 その攻撃は空振りした。


 単純に。鞘にしまっていたから。


(あぁ。僕何してんだ。ほんと)


 その瞬間。

 

 木の枝に心臓を貫かれた。


(あっ死んだ)


 はっきりそう思った。

 これはもう助からない。


「カッハッ……」


 身体に力が入らない。


 掠れていく視界で、ステータスだけははっきり視認できて。HPは0になっておらず、ものすごいスピードで減っていくのが見えた。


(死ぬのがいつか分かるなんて。心が抉られるな)


 なんて。軽口を叩きつつ。


 本当は死ぬのがとても怖い。


 この世界に転生してきた時にも死んだのは死んだのだが、あのときはよくわからないまま倒れて。

 いつの間にか転生していたため、死んだという感覚が薄かった。


(あぁ。いや、本当に死ぬのか)


 じわじわと自覚していくごとに恐怖心が増していく。


(いやだ。死にたくない)


 HPの数値はそれでもすごい勢いで減っていく。


(まだみんなと、やれていないことがたくさんある)


 肺に血が入っていったのか。

 呼吸も次第に苦しくなる。


(みんなとお別れ言えてない)


 まだ死にたくないと、醜く足掻き続ける。

 けれど、無情にも、かすれていた視界は暗くなっていく。


(やだ。やだ。やだ)


 その瞬間。暗闇の中に1つの光がピカッと輝いた。

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