EP11
短めです。
暗くなった視界で。
輝く光を見たとき。最初、あの世への切符かと思った。
(いやだ。全力で拒否する)
拒もうとするが、強制的に光の方へ誘われていく。
(あぁ。やっぱり……)
もうダメか。と諦める。
「ケッホケッホ!!コプッゴホッ!!」
何故か苦しいと感じて、思わず咳込んでしまう。
「殿下……!殿下……!!」
僕を呼ぶ声がする。
なんでだろう。と目をゆっくり開ける。
「ハルトっ!!よかった……」
(生き…てる……?)
掠れてよく見えないが、みんなが僕の周りを囲んでいる感じがした。
「よ……ゴホッゴホッ!!」
声を出そうとすると、苦しくて声が出せない。
「いい。無理に喋らなくていい。ゆっくり深呼吸しろ」
意識して呼吸をする。
スーハースーハーと一定のリズムでゆっくり呼吸をする。
途中、苦しくなり、何度も咳き込むが、そのたびに整えて、ゆっくり呼吸する。
視界も少しずつ焦点があっていき、鮮明になっていく。
「み、んな。ごめんね」
呼吸も安定して、苦しくなくなってきたので、まずは謝る。
絞り出した声はひどくしゃがれていた。
「俺たちはいい。まずはレルーナにお礼を」
そう言われて、一番近くにいたレルーナに目を向ける。
手のひらから淡い光を出していて、それを僕の胸元に当てている。
服にはぽっかり穴が空いていて、血がついているが、そこから見える肌は傷1つなかった。
(まさか……)
「殿下……よかった……私っ…!!」
「ありが…とうレルーナさん。もしか…して、回復…魔法が?」
「そうなんです…強く願ったら使えました……」
「それは……よかった…おかげで助かり…ました」
本当に助かった。
彼女がいなければ本当に僕は死んでいただろう。
「それは私たちからもお礼させて下さい。あなたがいなければ、私は大切な親友を亡くすところでした。ありがとうございます」
「ありがとう」
ルークとアーノルドもそれぞれ頭を下げている。
「いえいえ、私は何も!!」
「そも…そも、僕が無理に…来たからだね」
レルーナさんに回復魔法はもう大丈夫と、制しながら立ち上がる。
「殿下、まだ、無理をしちゃ……私が回復しますから…!!」
レルーナさんはまだ心配なようで、回復魔法をかけ続けてくれようとしている。
「いや、もう十分…です。言っていなかった…ですが、ダンジョン内では、魔力量が制限…されてるんです。だから残り…は温存してて…下さい」
正直言って身体は重いし、思うように動けない。
ステータスを見ると、少しは回復しているが、それでも元のHPの1/4しかない。
「それで、ハルト。聞かせてくれ。突然動かなくなったと思ったら私の魔法を破って誰の制止も聞かず、進んだのは一体何なんだ?」
「それは…僕も…よくわからない」
「よくわからない?」
「模様の違う…蚕の鱗粉を吸ったら、突然意識が…なくなって、目が覚めたら…ここに止まってて…。振り向きざまにレルーナさん…の向こう側に木の枝が見えた…から咄嗟に庇った」
「そうか…模様の違う蚕の鱗粉は俺も吸ったが、ちょっと身体が熱くなるだけで特に異変は起きなかった。ハルトだけなんでだ?それに、ハルトの竜化もまだ治っていないようだ」
「え?」
手を確認してみると、ドラゴンの鱗はまだ残っていた。
「撤退か、続行か……」
「私は、撤退のがいいと思うぞ。今ハルトはまともに動けないだろう」
「そうだね……」
自分自身が一番自覚している。
ほぼほぼ満身創痍のこの状態で探索続行するのは危険だと。
「でも……なんとなく、次ここに…来ても僕の様子が…おかしくなる…気がする。アルト、魔力の流れ…はどう?」
「そう……だな。なんか、ここにある変な魔力がハルトの周りをくるくる回っている。ハルトが魔力を吸っているわけでもないが……」
「うん。そう…だよね」
なんとなく死の淵を彷徨ったからか感覚が鋭くなっている感覚がして、変な圧が周りをウヨウヨ漂っている気がした。
「そう……か。なら、ハルト、剣を貸せ」
「ん?はい」
ルークに剣を渡す。
「私も一応剣を扱える。だからここからの戦闘は私とアーノルドに任せろ。お前は何かあれば呼んで、盾で防いでいろ」
「分かった…ありがとう」
「俺は据え置きかよ!」
「仕方ないだろ。ハルトがこの様子なんだ。無理に戦わせるわけには行かない」
「はは。んなこと分かってるさ。ハルト、任せておけ」
「ありがとう。それで、アルトもう一つ頼みあるんだけど…」
「ん?あぁ。んなもんここだよ!!!」
「え?」
アーノルドが大剣で床を思い切りぶっ叩くと、ガラガラガラ……と床が崩れ、階段が現れた。
私の別小説「魔王討伐から1000年」も投稿してるのでぜひそちらもお読みください!




