EP9
翌日。
街の皆さんに魔法の使い方を教えてみたら、簡単な魔法は使えていた。
レルーナだけが何故か使えない状況だった。
休憩中、1人隅に寄っていたので近寄る。
「レルーナさん」
「殿下…なんですか…?」
「元気出してください。僕だって今は使えないんです」
「殿下は、使えててあんなふうにいろんな人に教えれているじゃないですか!!」
「魔法が使えないくらいなんだって言うんですか。あなたは魔法がなくとも人々の怪我の手当てで助けているじゃないですか」
「魔法が使えるからそういうことを言えるんですよ…」
「確かにそうかもしれませんね。でも、今は使えない。だからとても歯噛みしているのも事実です。せっかく自分が火魔法を使えるというのに、そのせいでルークやアーノルドには迷惑をかけています」
「でも、今まで色んな人を助けてきた!私だって、魔法があればもっともっと沢山の人を助けれると思っていたのに!!」
「それは……」
(そうだ)
僕も彼女も、人を助けたいというのは変わらない。
魔法を伝え、魔法で人々を助けてきたように映るのは事実だろう。
(助けられているかはわからないけれど……)
そんな相手にこんなことは言われたくはないだろう。
「……すみません。励まそうと思っていたのですが……」
「……それはわかっていました。私こそ。すみません…殿下に当たってしまって…」
「難しいですね……言葉って。本当に伝えたいことほど、うまく伝えられない」
しゃがんで目を合わせる。
「でも、レルーナさんのしてきたこと……人々の怪我の手当てをして助けてきたのもまた事実です。出来ることをする。その素晴らしい心は魔法は関係ないと思います」
「はい……ありがとうございます……」
そして、手を差し伸べる。
「僕だって魔法はまだまだ分からないことだらけです。あなたがどうして魔法が使えないのか。何か方法があるのかもしれないんですから」
「だから……一緒に、探してみませんか?」
しばらく待ってみる。
(踏み込みすぎてしまったかな……)
そう後悔して、差し伸べた手を下げようとする。
「探したいです」
手を遠慮気味に握り返してくる。
「もっと、もっと人を助けたい……です。頑張りたいです。諦めたくない!!」
もう片方の手も持っていき、手を包み込む。
「はい。一緒に頑張りましょう!」
そう言って一緒に立ち上がる。
そこからもう一度、怪我人の近くに寄り、魔法をかけようとしてみる。
やはり、魔法はピクリとも反応しない。
その怪我人を待たせてはいられないので、すぐに気持ちを切り替えて消毒をして包帯を巻き直している。
(本当に人々を大切におもってるんだな……)
僕も気合を入れないと。と意気込む。
そして、次の怪我人のところへ向かい、もう一度魔法を試してみる。
今度は魔法を使うイメージではなく、目の前の人を癒すイメージでとアドバイスをしてみる。
一瞬ピカッと光ったように見えたが、何も起こっていない。
(もうちょっとなのかな……?)
その人も待たせてはいられないので、同じように手当てをした。
「レルーナちゃん。ありがとう」
「いえいえ」
少し照れながらそう返事をしている。
(?)
ちょっと疑問に思うが、気にしないことにする。
その後も手当てを続けていったが、結局なんにも起こらず、魔法が使えないまま手当てが終わってしまった。
「すみません……使えませんでした…」
「あともうちょっとな気がするんですよね……」
特に、途中で魔法が出そうになったことのほうが大事だろう。
「とりあえずは光って使えそうだったので、一歩前進。です。焦らず頑張りましょう」
「そうですね……頑張ります」
それで、ここで一旦別れる。
レルーナの魔法も気になるが、蚕についての調査も進めなければならないからだ。
「ルーク、アルトちょっといい?」
2人を呼んで、レルーナに聞いた以外に街の人に何があったか尋ねてみようと思った。
そして、しばらく街の人に聞き込みをしていく。
そこで得た情報を整理しようと部屋の隅に寄る。
蚕型魔物の発生時期
→1回目のエクリプスかと思っていたら、2回目のエクリプスの後のようだ。
発生原因
→時期にも重なるが、1回目の後に魔力で変質したのかと思ったが、2回目の時に何者かが養蚕場に入っていったのを目撃した人がいたらしい。
対処方法
→基本群れでいる。その為、下手に刺激すると仲間を呼ばれて増えてしまう。
火を使えば寄ってこないが、ここ周辺は森や草木が多い為、焼き払おうとするとこちらにも被害が出る可能性がある。
「大体こんな感じかな……」
「そうだな〜今のところ怪しいのは養蚕場か……」
「そうだね、蚕を魔物化させた人物も気になるけど、もうここにはいないだろうからね……」
「なら、養蚕場に行くか?」
「それしかないね。今はもう遅いから明日にするとして、レルーナさんについてきてもらおうか。僕が火を使えないからね……」
「気にすんなって」
「うむ。気にするな」
そして翌日。レルーナさんに頼んで、養蚕場の様子を見に行ってみる。
「ここが養蚕場で……す??あれ?」
「あー……」
目の前の景色を見て察する。
サイドベールでよく見た石壁。
ダンジョンの入り口部分だ
「なんでこんなことになっているの!?」
「アルト、ここにメドゥーサの魔力痕跡はある?」
「ん〜いやないな。ただ、それとよく似た異質な魔力痕跡はやっぱりこの先のダンジョンに続いてるようだぞ」
「ありがとう」
(メドゥーサと、その仲間なのかな…?仮にラスエル王国が黒だとするなら……)
ラスエル国王、ラスエル王太子……マリアンヌの侍従……容疑者は数え切れないほどいる。
けれど、北の大陸で唯一友好を結べているアバルト王国に敵対するようなことをしない人たちだ。
(それに、異質な魔力というのも気になる……でも、情報が少なすぎて、判断が出来ない……)
考えれば考えるほど分からないことだらけで頭がパンクしてしまう。
「とりあえず、このダンジョンを調査するしかないね。できるならダンジョン攻略して、この場所を元に戻そう」
「分かった」
「レルーナさんはどうしますか?皆さんのところへ戻りますか?」
「いえ…ついていきます!私1人で戻るのも怖いし、怪我したら手当てくらいはできると思うので…!」
「分かりました。ただ、命に関わることなので1つだけはっきり言います。自分の身を自分で守れないなら足手まといなので、危険が迫ったら迷わず逃げたり隠れたりしてください」
「分かりました…」
ちょっと厳しいかもしれないが、その場で他人の命を守りながら戦うなんて芸当は僕には無理だ。
ただダンジョンなので、ルークには魔力温存をしてもらうために、レルーナさんの近くにいてもらって討ち漏らしたのだけ倒してもらう方向にする。
基本の戦闘は武器を持っている、アーノルドと僕が担当する。
そこまで確認したところで、ダンジョンに足を向けた。
「じゃあ、行くよ」
新作始めました!
まだ1話ですが、是非お読みください!
タイトル:魔王討伐から1000年。魔法が廃れたこの世界で最強を俺は知っている。〜魔王と宇宙人から同時に侵略されるとかバカじゃねぇの?〜




