EP4
短めです
ちょっと歩くと教会に着いた。
男性の名前はアイクと言うらしい。
アイクに簡単に事情を聞いたところ、ガイアの街では昼は外で過ごす人が多かったからか、かなりの人数が残っているらしい。
領主一家は王都に向かって行ったきり帰ってきていないそうだ。
そのため指導する人が不在で、教会で神に祈り続けていたと。
(まぁ、そうだよね。神様以外に頼れる人間がいないと、そうなるよね……)
自分……晴人としては特別、神様を信じているわけではないが、なんとなくその感覚は分かる気がした。
「教会はここです」
「ありがとうございます」
教会の前面部分を軽く見ると、かなり崩れてはいるが、建物としての形は成り立っていた。
隣接してる建物が支柱となってくれたのかはわからないが、思ったよりは立派だった。
「おじゃまします……」
クセでボソッと言いながら、扉を開けて入っていく。
中は椅子が全て撤去されて、人々が暮らせるシェルターの様になっていた。
ガヤガヤとしていて、扉を開ける音も僕の声も聞こえなかったらしい。
中に進んでいくと、僕の存在に気づいたのか、こっちを見る。
そして……
「王太子殿下!!ここに何か支援をしに来たのですか!?」
「王太子殿下!!領主様は!?領主様はご無事なのですか!?」
と一斉に詰め寄ってくる。
(ちょ、ちょちょちょちょ……)
驚きすぎて反応が返せない。
だが、息を吸ってなんとか落ち着いて、声をあげる。
「皆さん!!一度落ち着いてください!!」
そうすると、シン……と一斉に静まりかえる。
なので言葉を続ける。
「私たちは、被災地に支援しに来たわけではありません。正直に言うと、この国は先の災害により、ほとんどの街、村などが壊滅していて、王都も例外ではありません。なので、支援するほどの余裕も人材もありません」
その後、簡単に国の状況を伝えた。
かなり希望が見えない言葉なので騒然とするかと思ったが、静かなままだった。
気にせず、そのまま続ける。
「ただ、私たちは国が。都市が。一刻も早く立て直せるようにある程度のお手伝いをさせて頂くために来ました」
これで不満が出てしまうのは仕方がないと思う。
でも、魔法は便利だけどポンッと物を出せる訳ではないのだ。
「では、殿下、俺たちはいったい何をすれば良いんですか?」
背中におぶってるアイクさんが言う。
「そうだな。アイクの言うとおりだ。支援を待ってたってダメだな。手助けに来てくれたと言うなら、殿下、何から手を付ければいい?」
続々と声を上げて、そう問う声が聞こえた。
正直、ある程度不満の声が出る気がしていたので驚いた。
アバルト王国の国民は逞しいのだろうか。
そう思いつつ、何をすればいいのか考える。
(まずは状況整理だろう……そこから優先事項を組み立てていって……)
「まず、状況整理をしましょう。ここ……ガイアの街には何人生き残ってて、動ける人は何人いますか?」
「生き残りはとりあえずはこの教会にいるので、1000はいると思います。動けるのは……大体800人でしょうか?」
シスターらしき人が教えてくれる。
「ありがとうございます」
(800か……結構いるね……待って?そんなにいるなら食料はどうなってる?)
ここに来た理由の食料。
農地があの様子じゃ取れてないだろうし。
「食料はどうしてるんですか?」
「教会の裏にあるちっちゃい農園で少し補っていたり、教会で保存していた物を使ったり、各家で保管してたもので大丈夫そうなのを持ってきて使用してますが、半年……は保たないと思います……」
「そう……ですか……」
(じゃあ、まずはやっぱり、農地の復旧からかな……)
「では、まずは農地を復旧して行きましょう」
(食料が尽きる前に、なにかなんでもいいから収穫できるようにしないと……)
「ハルト、ちょっといいか?」
一旦の道を示すと、ルークが聞いてくる。
「ん?何?」
「見た感じ、教会も多分、次のエクリプスによる災害が起こったら限界だろう。街の人が快適に過ごせる空間も必要じゃないか?」
「たし……かに……」
教会に入るときに思っていた事ではあった。
なんとか形は残っているけど、地震でもなんでもあったら確実に崩れてしまう危険があることは。
じゃあ、どうするか。
(約800人いるなら役割分担をしたほうがいいかもしれないね……あと、魔法を教えて使えるようにして、ある程度作業を楽にしないとかな……)
やることは沢山ある。
これからもっと増えていくかもしれない。
次はいつエクリプスが起きるか分からないけど、それまでの間にできることを1つずつやっていこう。




