エピローグ
------時は遡り一年前------
場所はラスエル王国王都
円状の机に南の大陸にある各国主要人物が集まる。
そこにレオンハルト・ロー・アバルトがアバルト王国の代表として来ていた。
北の大陸の国で唯一、ラスエル王国と海を挟んで隣接している国だからだ。
そこでは色々な話し合いをしていた。
「それでは一時閉廷とする。明日もまた話を詰めていこう。では各員、十分休息を取るように」
その声で各自席を立ち、各々賓客室に戻ったりする。
(ふぅ……花でも見に行こう……)
レオンハルトは集まった各国の主要人物達の中で最も年若い。
それ故、会談中は気を抜けず、舐められずに対応する必要があり、神経をすり減らしていた。
「あらっ。ふふふ。レオンハルト殿下。こんにちは」
「あぁ……これはマリアンヌ王女殿下。こんにちは」
前から来たのはこのラスエル王国の1人の姫であるマリアンヌ王女。
上には1人、兄がおりその人が王太子なので比較的王女にしては比較的自由な性格をしている。
「レオンハルト殿下もこのお庭の花を見に?」
「まぁえぇ……そうですね」
「この時期に咲き誇るお花は本当に綺麗で、好きなのです。あ!これこれ、特にこのプルメリアというお花!良い香りがしてとても安らぎますよ」
そう言ってマリアンヌは近くに誘う。
クンクンと匂いを軽く嗅ぐと確かに甘い香りがして、心が落ち着く。
「このお花、咲いている木の樹液には毒があるからお渡しできないのが残念です!」
「マリアンヌ王女はとても物知りなのだな」
「えへへ!お花が好きで勉強してたんです!アバルト王国のある北の大陸ではどんなお花が咲くんですか?」
そう聞かれ、ふと考えてみる。
アバルト王国では四季がはっきりしていて、色とりどりの花が咲く。
しかし、花の名前などはあまり覚えていない。
(サクラ……ヒマワリ……何だっただろうか……)
「すまない。浅学故あまり気にしたことがなかった。四季がはっきりしてて季節ごとに別々の美しい花が咲いているのは知っているのだが……」
帝王学を含むそういったもので手一杯になり、花はそっちのけだった。
「あら!レオンハルト殿下ったら素直でいらっしゃるのね。そっかぁ……いつかアバルト王国のお花を見たいですわ!その時は案内してくださいますか?」
「あぁ。分かった。マリアンヌ王女が我が国に来られた際には、その季節の花を見られるようにしよう」
「ありがとうございます!」
そこで会話が途切れると後ろからルークに話しかけられる。
「殿下、そろそろお時間です。戻りましょう」
「分かった。マリアンヌ王女を送っていく時間はあるか?」
「大丈夫かと。十分にあります」
「分かった。では、マリアンヌ王女を送ってから戻る。準備をしておけ」
「御意」
そう言ってルークが下がっていくのを横目で確認する。
「では、マリアンヌ王女、そろそろ良い時間なので途中まで送っていこう」
「あら、まぁそんな時間なのね。分かりましたわ。レオンハルト殿下よろしくお願いします」
「あぁ」
そう言って腕を出し、エスコートする。
その後、国に戻ってちょっと経つと、ラスエル王国から書簡が届いた。
貴国へマリアンヌ王女を視察で送りたいと。
勿論それを我が国は受理をした。
王女を受け入れる準備をしていた。
しかし、関係が悪化している他国と隣接している領地で小競り合いが起き、それは次第に大きくなり、一触即発の状態に陥った。
何があってもマリアンヌ王女には怪我などをさせずに我が国を楽しんでもらいたいところだったが、安全面を考慮し、その視察は先延ばしとなった。
それに申し訳なさもあり、マリアンヌ王女に少しでも見てもらいたい思いから、サクラと桃の花を押し花にして、それを贈らせてもらった。
------そして現在------
「ううっ……ふうっ……」
「ハルト!!大丈夫かお前!!」
「ここは……」
「サイドベールの陸の上だ。メドゥーサが消えていたと思ったらお前も倒れたからな。運んでおいた」
「そっか……ありがとう」
ふと、チャリ……と言って手元を見る。
マリアンヌ王女のペンダントだろう。
「あぁ、それ、お前が大事そうに持っていたからそのままにしておいた」
「助かったよ」
そう言ってペンダントは小さいが、物を入れられるショーケースが付いていて。そこには、サクラの花びらとモモの花びらが飾られていた。
これを第2章のエピローグとさせてもらいます。
第3章をお待ちください。




