EP13
「遅かったわね。龍人ちゃん。あら?新しい仲間まで引き連れちゃって。1人では倒せないのかしら?」
「お前と話すことは何もない。さっさと石化した人を元に戻せ」
「あら。それは出来ないわ。利用するもの」
「そうか。じゃあ。お前を倒すだけだな」
まず、盾を構え、アーノルドにアイコンタクトを取る。
そして、なるべくアーノルドの近くに寄る。
アーノルドもアイコンタクトでやり取りしたおかげで僕の近くに寄って来てくれる。
すると、案の定初手で石化の光線をノータイムで発動してくる。
(……行けるか!?)
盾をアーノルドと自分の身体が入るようにして、しっかり構える。
その瞬間、ピカッと見覚えのある紫色の光が空間中にはしる。
ドッと軽い衝撃が来るが、意識を失うことなく、石化もせずに盾を構えれている。
チラッとアーノルドの方を確認すると、アーノルドも石化していないのが見える。
(……ひとまず成功した……!良かった……!!)
石化の光がなくなった直後に顔を覗かせると、目論見通り、メドゥーサに石化の光を反射することができ、メドゥーサ自身が石化してしまっている。
「よし、今がチャンスだ!!アルト行くよ」
「おうさ」
メドゥーサのところまで少し離れている。
だから、僕は空中を飛んですぐ近寄れるが、アーノルドはそれをできないので、盾を使って飛ばして距離を縮めるようにする。
先程よりもかなり重い衝撃があり、後ろに吹き飛ばされてしまいそうになるが、それを逆に反動にして思いっきり押し返すと、アーノルドはかなりの速度で飛んでいく。
それをすぐに空中を飛んで追っかけて、2人で同時に斬り込む。
石化しているから硬くなっているかと思いきや。
「ぐわぁっ!!!」
悶える叫び声が聞こえてきたので石化が解除されたのを察する。
(石化が解除されるのは予想はしてたけど、ちょっと早い……!!)
メドゥーサは石化を扱う以上、本人の石化への耐性も相当なものだろうと算段をつけてはいたが、もう少し攻撃が出来ると思っていたので予想外だった。
しかし、アーノルドにアイコンタクトをして、構わず蛇戦でもしていたように連携しようと促す。
「そんな、小賢しい道具を持ってきて……!!すぐに使えないようにしてやるわ!!!」
メドゥーサは自分に石化光線を反射されて石化させられたのが余程頭に来たのか、露骨に盾を狙って攻撃してくるのが見える。
分かりやすい攻撃は受け流しやすいので、敢えて剣を使って、上に向かって受け流す。
攻撃を弾かれた上に盾しか見えていなかったメドゥーサは後ろに迫るアーノルドに気付いていない。
「蛇のお姉さん。こっちだよ!!」
アーノルドの攻撃がものの見事にクリーンヒットした。
「グウェ!!!!!!」
メドゥーサは立て直し、攻撃直後の隙があるアーノルドを狙おうとしている。
その間に僕は空中に飛んで上から攻撃する。
そんな感じで片方が攻撃して、もう片方防御をするという攻撃を繰り返していく。
「もう、コロコロコロコロ交代して攻撃してきて!!ウザったいわね!!」
そう言って何かを解放する。
「うっ……!!」
「くっ……!!」
それによって生じた衝撃波で2人とも少し吹き飛ばされる。
体勢を立て直そうと踏ん張っていると、すぐ近くにメドゥーサが接近している。
その鋭い爪で攻撃しようとしてきている。
(ちょまずいっ……!!)
剣は吹き飛ばされた際に勢いを殺すために持ち替えていて、盾で防ごうにも間に合わなさそうだ。
「『フレイムボール』!!」
(フレイムシールドで攻撃は防げるけど、多分追撃が連続で飛んできたら魔力が切れるまでのジリ貧になるだけだから……!!もうちょっと魔法を温存しておきたかったところだけど…!!)
フレイムボールで対抗する。
魔力が減って炎の玉が形成されすぐに飛んでいく。
それは攻撃の体勢に入っていたメドゥーサにヒットするが、メドゥーサの攻撃もまた僕に届く。
鋭い爪の攻撃により、左の胸元から右の脇腹にかけて皮膚が裂けて鮮血が飛び散る。
だが、メドゥーサも炎を避けようとしたので、奥の方まで届かず、表皮が裂けるだけで済む。
すぐさまその場から飛び去り、アーノルドに近寄る。
「ハルト、大丈夫か?」
「あっあぁ。とりあえずは大丈夫。多分、これ以上2人で近寄って攻撃してっても同じことされるだけだと思う……」
「じゃあどうすんだ?」
「もう少し、温存しておきたかったんだけど、魔法を使っていくしかないと思う。ただ、回数に制限があるから、そこだけは要注意だね……」
「了解。じゃあ、先は任せろ!!」
「『ファストオブエレクトリック』」
バチバチバチと電気を剣の周りに纏わせ、超高速で発射する。
「ぐわぁぁぁ!!」
「『ワープ』」
飛ばしたはずの剣がすぐに手元に戻ってくる。
(はっ?)
最初のはレールガンのような感じだろう。
そして、空間魔法で手元に戻したと。
(確かにダンジョン探索中にそう言った話もしてきたけど、すぐに使えるようになるなんて!)
「……魔力は大丈夫なのそれ」
「大丈夫だ。この目はどうやら魔力の流れが見えるようだからな。これである程度は節約できる。まぁ、あとそれでも1回くらいしか出来ないと思うが……あとお前はこれだと眩しすぎる。ということはその光の正体は何かしらの魔力なのだろう」
「う、うん。それなら良かった?」
(眩しいことはよくわからないけど、良い感じにメドゥーサにダメージを与えてくれた。なら、僕も負けてはいられない)
と準備しようとしたら、アーノルドに止められる。
「待て。あいつ、目に魔力溜まってきてる。石化のやつかもしれない。盾構えろ」
「分かった」
そう言って最初と同じように盾を構えると、次の瞬間、またも紫色の光がはしる。
もう紫色の光が消えた瞬間に飛び出し、一瞬にして近寄る。
(これで決めるっ!!)
直前にメドゥーサの石化が解けるが、僕の攻撃のほうが先だ。
「『セイクリッド・ピュリファイア』!!!!!!!!!」
身体に手を当てて、ドラゴンを倒し、メドゥーサにはあまりダメージを与えれていなかった魔法を繰り出す。
名前:???
Lv50 HP:1000/10000
石化もくらい、僕が使った炎魔法もヒットしたメドゥーサにこれで倒せると信じて。
その魔法が当たったメドゥーサの数値を見ていると、すごい勢いでHpが減っていくのが見える。
(何かあってもいいように、追撃しよう)
そう考えて剣を振り下げて攻撃しようとする。
が、それは何かにつかまれる。
そして、逆に僕が持ち上げられて地面に叩きつけられる。
「がっ…!!!」
そのまま剣とともに飛ばされる。
「ハルト!!」
「大丈夫……!!大丈夫だっ!!」
「いや違う!!すぐにまた石化がくるぞ!!石化だっ!!!」
「分かった!!今行く!!」
盾を構えてアーノルドのところに走るが、肝心の盾は腕に無かった。
ハッと回りを探すと、離れた場所に盾が転がっている。
そしてアーノルドはそこに向かって走っている。
僕も、間に合うと思ってはしる。
「ハルト!!止まれ!!これを受け取れっ!!!」
「は?」
何を言っているのか一瞬分からなかったが、その場で立ち止まると、手元に盾が現れる。
その瞬間。ピカッ!!と石化の紫色の光が三度空間の中を駆け巡る。
衝撃がくるのでしっかり構える。
そして、光が収まる。
「アーノルドありが……」
「アハハハハ!!!またお前は仲間を1人、失ってしまったようね!!!」
感謝を返そうとすると、メドゥーサの高笑いが響き渡る。
(いや……そんな……なんで……)
現実を直視したくないが、アーノルドの方を見てしまう。
石化して、こちらに盾を転移させてくれた瞬間で固まったアーノルドの姿がみえた。
「ふざ……ふざけるな!!!」
「残念だけれど、お前のその攻撃は前に受けちゃったからね。耐性を持っているのよ。かなりダメージは食らったけれど、ワタシを殺すには至らないわ」
(そっか、そうかぁ……まだ、僕には……)
「じゃあ、終わりにするわよ!!」
そう言ってメドゥーサはさらに形態を変化させる。
少し経つと、蛇に近いが、戦闘にも特化している形態に近づく。
ドラゴンのようになりかけているとでも言うのだろうか。
「うぎゃぁっ!!!眩しい!!!」
僕に近寄って攻撃しようとしたところを、突然仰け反って、後ろに下がる。
(眩しい……?)
アーノルドも僕のことを眩しいと言っていたのを思い出す。
(その光は魔力とも言っていた……確かにメドゥーサのこの形態は動物と言えば動物に近い気がする……動物たちは意識的に僕を避けていた……と?)
答えは分からない。
(でも、この魔力を使えたりしないのだろうか……)
自分の体内に意識を集中させる。
いつも感じている、魔法を使っている時の魔力の感覚を思い出す。
(温かくて。ゆらゆらしていて……それでいて不明瞭)
徐々に自分の中に溜まっている魔力の形を感じ取る。
(これが……溜まっていた魔力……?)
それを練って、練って。
練り上げる。
普段魔法を、使っている様に。
練って、練って。
練っていく。
その練った魔力を発射する様にする。
しかし、身体から離れると魔力が離散してしまう。
だから。自分に魔力纏わせる。
「ふぅ……」
大きく深呼吸をする。
(魔力をまとわせているおかげでなんだか身体が軽い気がする)
けれど、自分に見えているステータスの魔力は刻一刻と減っている。
だから。
速攻速決で行こう。と一気に近寄る。
いつもより、空中を、飛んでいるより早い速度で距離を詰めて。
剣にもその魔力を纏わせて。
振る。片手剣らしい手数で。連続で。
剣を振ってメドゥーサに攻撃を与える度に、メドゥーサから魔力が流れてくる感覚がして、纏っている魔力が少量ずつ膨れ上がっていく。
「とまっ!!止まりなさいよ!!諦めなさいよ!!」
メドゥーサももちろん反撃してくる。
が、その反撃によって失った自分の体力も魔力に変換され。
纏っている魔力が膨れ上がる。
痛覚が鈍くなっているのか。痛みを感じない。
だから、止まらないでずっと攻撃する。
メドゥーサもそんな僕に気付いたのか、今なら石化を打ってもモロに食らうだろうという判断をしたのか。
石化の光を攻撃を受けながら放つ。
(しまっ……)
見覚えのある紫色の光がほとばしった瞬間に気付き、盾を構えようとするが遅かった。
盾を構えるより先に石化の光を受ける。
が。光だからか。
理由は分からない。けれど、石化の光も吸収して、魔力として変換してしまう。
それも大量に。
それで、なんとなく魔力は満ちた気がした。
剣に全ての魔力を纏わせて。
「『フレイムライト』」
自分の炎と聖光の魔力が合わさって。
メドゥーサを真っ二つに斬り下ろす。
「グワァァァァ!!!!!!」
そう叫びながら崩れ落ちていく。
「ま……お……すみ……ま……」
そこでメドゥーサに。
いや、少女にかけられていた魔法は解けたのか。
「なっ……」
そのメドゥーサの本当の正体があらわされる。
レオンハルトの記憶だと、つい一年前。
国同士の会議で会った。
海を挟んで南にある大陸のとある国の国王の一人娘。
マリアンヌ・ライ・ラスエル王女。
その姿に戻る。
「待って……!!」
慌てて駆け寄るが遅く、塵になって。完全に消滅してしまった。
その場に、見覚えのある1つのペンダントを遺して。
それを拾い上げる。
「うっぐっ……!!」
そして、自分も。
反動が来たのか。
その場に倒れ込む。
「ハルト!!」
自分を呼びかけられた声が聞こえた気がするが、意識はそのまま暗転した。
お待たせしました。
これにて、メドゥーサ決着!!




