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太陽と月の魔力をもって。〜日蝕により崩壊した世界で生きる〜  作者: 紅弥生 
Chapter-2 未来への展望

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EP6


 食料品や水などを最低限持ち、ダンジョン入り口前に行く。

 緊張するが、こくりとつばをのみ込み、頬を叩いて気合いをいれる。

 そして、扉を開く。

 念のため、警戒しながら、中に足を踏み入れる。


(とりあえず、近くには何もない……よね?)


 床、壁、天井。色々なところをキョロキョロと見て、安全を確認する。

 昨夜のダンジョンはシーライクの実を取っただけで崩壊していた。

 なので、今回も同じかもしれないが、何がトリガーとなって崩壊するか。何がいるか。何の罠があるか分からないので十分注意するにこしたことない。


「わっ!!!」


 何かいるなら反応するだろうと思うのもあり、ここはどこまであるのか確かめるために、大きな声を出してみる。

 トンネルみたいな反響の仕方をし、声が聞こえなくなる。


(うん。めっちゃ奥までありそう……)

 

 そして、ちょっと待ってみて、罠とかも大丈夫そうだと判断して歩き始める。


「ほんとになにもいないのかな……?」


 ちょっと静かすぎる気がする……。

 さっきの声もそうだが、足音がそのまま反響している。


 ………!……!


「ん?」


 なにかが一瞬聞こえた気がする。

 その場に立ち止まり耳を傾ける。


 グガウ!ガウ!!


 今度ははっきり聞こえた。

 同時にトタットタッとこちらに近づいて走ってくる足音も。


(魔物かな……)


 戦闘は避けれるか?と高さを確認してみる。

 飛べはするくらいの高さはあるが、空を飛んで息を潜めて待機するほどの高さはない。

 仕方ないか……と身構える。

 魔力を温存したいから、攻撃するその時まで魔法は発動させない。

 そして、ちょっとするとその姿が見える。

 眼を真っ赤に光らせて、ヨダレを垂らしている狼の様な魔物だが2匹。

 すぐに動けるように軽く動きつつ、攻撃を待つ。


がぁう!!


 まずは1匹目がそのまま飛び掛ってくるので、横にちょっとだけ飛ぶ。


「『ファイア』」


 魔物が燃えて死ぬくらいの火力でやる。

 すぐに動かなくなったのを確認する。


 ステータス

 レオンハルト MP197/207


 眼を一瞬離してステータスを確認した隙に、2匹目が足元をその鋭い爪を持つ足で、広い範囲を攻撃してくるので、バックジャンプで後ろに避ける。


「『フレイム・ソード』」


 炎の剣を出して、下から上に切りあげ、真っ二つに焼き切る。


 ステータス

 レオンハルト MP190/207


 こちらも完全に動かなくなったのをちゃんと見てから魔力を確認してみると、7減っている。


(狼型の魔物がファイアで10、フレイムソードで7……フレイムソードのが温存できそう……?)


 奥に着くまでに何回戦闘があるか分からないが、ファイアとフレイムソードでたった3しか変わらないなら、メドゥーサを倒しきれるとは思えない。


(無理なのか……?)


 そう思いつつ、やれるところまでやってみるか。と進んでみる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 一本道をしばらく探索すると、下に続く階段が見えてきた。


(2階層目かな……?)


 ちょっと確認してみようと、階段をゆっくり降りていくと、先程までいた空間と似た空間が広がっている。

 厳密に言うと、横にも通路があったりと確実に先程までとは違う。


 ステータス

 レオンハルト MP120/207


 ここに着くまでに戦闘は7回ほどあり、魔物はずっと同じだったが、数が増えたり減ったりしていた。

 そこで1回の戦闘で複数回出したり消したりを繰り返すより、継続的に出していたほうが消費を抑えれると思い、それで戦ってきた。

 それでも、ここにくるまでに約半分ほどまで減ってしまっている。


(これは無理だな……撤退するしかないか……)


 確実に、本来の姿に戻ったメドゥーサをのこった120の魔力で倒しきれるとは思えない。

 昨夜の不意を突いたセイクリッドピュリファイアーでさえ倒しきれず、そこで受けた負傷が回復しきっていない状態での高火力のファイアでさえ本来の姿を顕すにしか至らなかった。

 2階層目があるなら、この先に3、4階層と続いてもおかしくない状態での1階層目だけでここまで魔力が減らされているのだ。

 着く頃には恐らくMPに加えて、HPまで消費して満身創痍の状態で挑むことになる。


(そうなったら、魔法しか武器がない僕は何もできずにやられてしまう……)


 それに、ここまで来るのに1時間はかかっている。

 その間チラチラと魔力を確認しながら来ていたが、1ミリも回復している様子はなかった。


(魔力が回復しているなら、時間がかかってでも回復してから進むというのが取れたんだけど……)


 そう言う作戦も取れそうにない。

 だから撤退するしかない。

 そう考えて、階段を登り、来た道を戻ろうとする。


「あれっ……変わってる……」


 あの一瞬でダンジョンの構造が変わっていたようで、なにも無い一本道だったのが、脇道も生えて、迷路の感じが出ている。


「うーん……これはまずいな……」


 魔物のリポップの検証ができていないが、この様子だと恐らく復活しているであろう。


「どうしようかな……」


 迷路の構造が分からない以上、迷路攻略で有名な左手法が使えないだろうと考える。


(まぁ……仕方ないか……1つづつ虱潰しをしていくしかない……)


 もっと考えれば簡単に出口が分かる方法があるのだろうが、考えれもしないし、頭が痛くなりそうなのでやめておく。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はぁはぁ……やっと入り口だ……ひっどい目にあった……」


 幸い、魔物は復活しておらず、戦闘になることはなかったのだが、罠があり、焦って鈍った集中力、判断力でカチッと罠を踏み抜き、落とし穴にまんまと引っかかってしまったりと、散々な目にあった。


「次は気をつける……にしてもこんな調子で本当にメドゥーサを倒せるのかな……」


 明らかに分かるくらいのでっかいボタンがあったりしたのに、それに気づかず、踏み抜いた。

 その自分の至らなさに涙が出そうだが、落ち込んでいる暇はないと、前を向き、入り口から出る。


「ふぅ……」


(やっと一息つける……)


 入り口の扉に背中を預け、座り込む。

 空を見上げると星々が広がっていて、朝から夜になっているのに気付く。


(こんなに時間が経っていたのか……さて、どうしようかな……)


 今回、ダンジョンを途中で撤退してきてしまったのだが、自分の力不足と魔法に全力で頼っていた現実を突きつけられた。


(魔力を増やす……にしても、レベルアップで魔力が増えているんだけど、そのレベルアップの条件がよくわからないんだよね……)


 ドラゴンを倒したとき、昨夜のダンジョンのシーライクを拾ったとき。

 検証の余地はあるけど、共通点が不明でよくわかっていないので、レベルアップによる魔力増加は今は無理だろう。


(武器……を作るしかないのかな……)


 そう。今までは魔法で解決していたので武器を作る必要はあまりなかった。


(でも……今はルークたち地魔法の使い手に頼ることができない……)


 ルークやシャンタに頼ることもできない今はどうすべきか。

 

(武器鍛冶職人に作ってもらう……?それしか方法がないよね……)


 この国には盆地のところに鍛冶や陶器などの職人が集まる都市があり、名前はランドレイン領のグレスト。

 サイドベールを含む5つの主要都市のうちの1つだ。


(問題は、2度のエクリプスの大地震の後……王都は壊滅してて、サイドベールは街があった場所が水没していて……)


 今も鍛冶ができるかの希望が見えていない。

 だけど、今は行ってみるしかない。


(炎なら、いくらでも提供する。手伝うことがあるならいくらでも手伝う。こんな状況じゃなくとも、5つの主要都市には早めに行く予定ではあったから。それが早まっただけ)


 そう考え、出立するのは早いほうがいいと思い、サイドベールの拠点に戻る。

 ルークやみんなの石像を確認しに行く。


「ルーク、みんな。無事でいてね……ちょっと出かけてくるから」


 そう話しかけて、ルークが作ってくれていた自分の木食器などを荷物にまとめ、今度は自分とその荷物だけなので、人の姿で飛び去る。


(みんな、行ってくるね。いざ、グレストへ!!)

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