EP3
お待たせしました。
長めになってしまったので注意です。
目が覚める。
周りを見るとまだ寝ている人たちが多い。
外を覗くと、日が昇りかけているところだ。
二度寝するのもいいが、眠れそうにないので最後の見張り番のチームに近寄る。
「誰だ!!あぁ…ハルトか。早いな?」
「ふぁぁ……ジェイクさん、シャンタさん、おはようございます。目が覚めてしまって……」
目をシパシパさせながら伸びをする。
「そうかい。昨日は助かったありがとう」
「良いんですよ。皆さんが魔法に慣れてないし、それに、お二人を沢山働かせるわけには行きませんから」
「ははっ!言ってくれるねぇ。俺はまだまだ行けるぞ。爺さんももちろんな?」
「カッカッカ。老骨に無茶言うな。まぁ、まだまだ若いもんには負けんわ」
「お元気でなによりです。それで、お二人は魔法はどうですか?」
「俺は問題ねぇぞ。今なら怪しい動物でも何でもかかってこいってんだ」
「儂はルーク坊と昼の魔法が同じなのでな。良い教え方をしてもらったわ」
「良かったです。そして、ジェイクさん、頼みがあるんです」
「おう。なんだ?」
「ジェイクさんの魔法で例の石の壁を壊せないかなと思いまして」
「あ〜。分かった任せろ」
「ありがとうございます」
「のう、ハルトよ。儂にもやれることはあるかの?」
「シャンタさんはじゃぁ……ルークのお手伝いでお願いします」
「坊のお手伝い?」
「実は、地魔法だとあの壁をくっつけることができるので、ジェイクさんの魔法でも大変なようならくっつけて、一気に破壊しようかなと思っていたので、それの補助を」
「なるほどじゃ」
そこで会話が途切れる。
焚き火がかなり小さくなっているのに気づいたので、枝に火魔法で火をつけて、焚き火にくべると、良い感じの大きさになる。
その近くに座り、ぼーっと焚き火を見る。
焚き火のリラックス効果か、まだ眠たいのか分からないが、思ったより引き込まれてしまい、ジェイクとシャンタの話し声が聞こえなくなる。
「おい、ハルト?ハルト〜」
時間がどれくらい過ぎたか分からないが、しばらく経つと、呼ぶ声が聞こえたのでハッとなり、返事をする。
「はいはい。ごめん、ぼーっとしてた」
「皆起きたからご飯にするぞ」
「オッケー。分かったー」
ルークにそう返事をして、ふと、太陽を見る。
完全に登りきっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ご飯を食べ終え、関所のところまで行く。
都合よく穴が空いているとかはなく、崩壊したまんまの姿でそこにある。
「じゃあジェイクさん、お願いします!ルーク、シャンタさん、ヨンタさんも準備を!」
「おう!」「了解」「承知なのじゃ」「任せとけ!」
各々そう返事をする。
「『崩壊』!!!」
ジェイクさんが魔法を発動すると、予測通り、壁を良い感じに粉々に砕く。
が、やはり、分かれているのは無理で、一塊でしか砕かれなかった。
「ルーク、シャンタさんお願いします!」
確認した瞬間に指示を出す。
「『ロック・クリエイト』」
「『ロック・クリエイト』!!」
2人は指示が飛んだ瞬間、魔法を発動させる。
本来の使い方ではないが、こちらも良い感じの範囲で壁の岩がくっついていく。
それをジェイクさんは魔法で破壊していく。
「『ウォーターロード』」
ヨンタはうまいことバラバラになった破片を端に寄せて退かす。
僕は空を飛んで、方向を示しつつちょくちょく指示を出す。
しばらく続けると、ようやく終わりが見えてくる。
「もうちょっとです〜ラストスパート!」
実に、なんにも役に立ってないのにイキリ指示厨してるのが悲しい。
空を飛べるだけだ。
(ドラ〇もんか?た……これ以上は怒られそうだからやめておこ)
なんてくだらないことを考える余裕がある。
そんなことをしているうちにあと1回発動させれば開通するところまで来た。
ここを開ければ森側と繋がることができる。だけれど。
「あのように扉を造らなきゃ、多分、入り放題になる」
ボソっと独り言を呟く。
シャンタにはきこえていたのか、こっちを向く。
(「ハルト、大丈夫じゃ」 )
「シャンタさん……?」
音を発さず口だけを動かしての言葉で。予測も含まれているが、こんなことを言っていた。
最年長の言うことなので信じてみる。
「よし、開通だ!」
下をみると、見事に穴がぶち抜かれていた。
その音に気付いた近くにいた魔物が森の中から出てくる。
「『ファイアボール』」
地に足をつけているより揺れているので、当て辛いが、昨日練習していたので、難なく魔物に当てる。
ただ、ルークのように魔法を多重で発動しようとしたら、頭にモヤがかかったようになり、イメージが途端にできなくなって発動出来なかった。
2重まではできたが、それ以上は無理だった。
なので、2発ずつ発動させる。
「ルーク、ハルト?お前たち何してんだ?」
下からだとよく見えていないのであろう。
ジェイクさんが、ルークと僕が魔法を発動させていることに驚いたのだろう。
ルークは僕が魔法を発動したので、察し、土の壁を作ってくれていた。
「あぁ。森から魔物が出て来たので」
「魔物?」
「様子のおかしい、凶暴な動物のようですが、そういっただけの普通の動物じゃないものです」
「なるほど。あいつらのこと魔物って呼んでんのか」
「そうです。よし。大丈夫です。終わりました」
話しながら安全を確認し、それを伝える。
ルークはすぐに魔法を解除する。
僕も地面に降り立つ。
「それで、これからどうしますか?」
「まずは木こりしようかの。扉を造るぞ」
そういうと、シャンタは石から魔法で斧を作り出し、皆に配る。
そして、大体の図案を地面に枝を使って描き示すと、それぞれ離れて木こりを始める。
5人で作業している為、かなり順調に木材が手に入り、シャンタが示した図案の量はすぐに集まった。
「集まったのう。後は任せておくのじゃ」
シャンタはそう言うと、砕いてきた石の破片同士をくっつけて、釘みたいにして、木の板を繋ぎ合わせる。
「ジェイクさん……もしかして、腕のいい工事士って……」
「おうよ。シャンタだよ。ヨンタはその弟子だ」
「なるほど」
どうりで破片をヨンタは纏めるだけ纏めていたのかと思い至る。
「この状態のシャンタさんに話しかけるのはダメですよね?」
「あぁ。待つしかねぇな」
「多分家作るのにも木材が必要でしょうから、終わるまでか、昼になるまで集めましょうか」
「そうすっか」
ルークにも話をして、3人で木材集めを再開する。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
太陽の角度を見ると、大体頂点に来ている。
そろそろお昼の時間だろうと察する。
「ルーク!ジェイクさん!お昼です!」
2人に大声で言うと、返事をして集まる。
「結構集まりましたね〜」
「うーん…まぁ8人住む家を建てるにはちいと足りないか。だが、今日にでも骨組みだけでも建てておきたいな」
「そうですね〜ん?8人?」
「ん?もちろんあんたらも住むだろ?」
「なるほど……僕たちは気にせず6人の住む家で考えてください」
「なんだ?ここを拠点にすりゃ良いじゃないか」
「いえいえ、僕たちはあくまで旅人です。発展させるお手伝いはさせていただきます」
「ん〜そこまで言うなら止めはしないが……ほんとにいいのか?」
「えぇ」
助けれる人がいるなら全力で助ける。が目的だから。
確かにここを発展させて行き、人を呼び込み、街にするのもいいとは思う。
でも、それは僕たちがいなくてもできることだ。
僕たちはあくまで土台を作って。
旅をして、人をここに送る。それでいいと思う。
とりあえず今は、ここの皆が暮らせるように家を作るのが良いのかもしれない。
「ハルト……ちょっと」
「ん?」
色んなことを考えていると、ルークが呼ぶ。
ジェイクさんに先にいっててもらい、ルークに付いていく。
「ハルト、これって」
指したところにあるのは、2人いそうな足跡と、なぞの黒い、蛇のシッポのような。
爬虫類の体の一部と思われるものだった。
「ジェイクさんが言ってた行方不明者の足跡かな……でも、これはなんだろう……」
「蛇……?にしても髪の毛に似ているような気もするな……」
「うーん……分かんない……とりあえずこれは僕が持っておくね。ジェイクさんたちにも一応話は通してたほうが良いかな?」
「そうだな。行方不明者となれば、ジェイクさんたちも捜したいだろう」
「分かった」
そして、その場をあとにする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
関所の近くに戻ると、ヨンタが枠を立てかけ、扉をはめ込んでいる。
ジェイクさんもそれを手伝っていたので、駆け寄る。
「完成したんですか!」
「そうじゃな。ある程度は防げるとは思うがの……」
「十分だと思います。ありがとうございます」
扉の枠は穴をあけてきたところに良い感じにハマり、扉もしっかり固定されている。
それが終わったところで、ジェイクさんが開け閉めをすると、良い感じだった。
「爺さん、最高だありがとな」
「ふぉっふぉっふぉ」
「では、お昼を食べに戻りますか。木材はまたあとで運びましょう」
みんな、作った道から戻り、焚き火の所まで行く。
「あれ?いい匂いが……」
「みんな、おかえり〜ご飯は作っておいたわ〜」
クンクンと嗅いでいると、モニカさんが、近寄り声をかけてくれる。
アニカとマークもいたので、3人でご飯を作ってくれていたようだ。
ちなみに、昼の属性はアニカが火属性でマークは氷属性、モニカは自然属性となっていた。
ので多分、モニカの魔法で釣り道具などを作り、マークで釣った魚を冷凍。アニカが火種を生み出して料理を作ったのだろう。
「ありがとうございます!」
そう言って皆座り食べ始める。
食事がかなり進み、終わりに近づいたところで、話を切り出す。
「ところで皆さん。行方不明者がいるって言っていたじゃないですか?」
「……あぁ。そうだな?どうしたってんだ?」
「実は先ほど、ルークが森の中で、足跡を見つけまして」
「なんだって!?」
「まだ確定はしてません。もしかしたら、前のが残ってるだけの可能性もあります」
「そうだな……でも、骨だけでも拾ってやりたい」
「では、どうしますか?森の中の探索としますか?」
「そうだな……ハルト、ルーク、ヨンタ、俺が森の中探索班、シャンタ、マーク、アニカ、モニカは住居作成班とするか。それでいいか?」
「「はい」」
皆それに返事をする。
「とりあえずハルト、探索をする前に集めた木材を運びてぇんだが……空を飛んで運べねぇか?」
「運べますけど……」
竜形態じゃないと多分無理だ。
そして、それはまだ見せていない。
(受け入れられるかな……ここまで協力してて拒否されたら悲しいな)
竜形態を見せるのは大丈夫だ。
拒絶反応が出てしまったらそこで終わりだ。
「運べるんですが、多分、単に今日昨日で見せたものだと、多分運べなくて、竜の姿になるのもあって……」
「竜?」
「拒絶反応を示さなければありがたいです」
「?」
そこまで言ったところでスキルを発動して、竜化する。
関節がかなり痛み、変化していく。
「は、ハルト?大丈夫か?」
「うっ……!!だ、大丈夫です……!!」
なんとか返事をするが、痛いものは痛い。
段々と、痛みがやわらいでいき。
変化が終わる。
「な、なんだその姿!!大丈夫なのか!?」
「えぇ。僕は大丈夫です。変化するときに痛いだけなので。皆さんは大丈夫ですか?」
顔を伺うと、怖がっているように見える人はいない。
それでちょっとホッとする。
「大丈夫……ですかね?とりあえず行ってきます」
バサバサッと羽ばたいて、森の近くに行き、人形態に戻り、資材を蔦のロープで括り、竜形態になり拾い上げる。
3人で集めた分の木材を一気に拾い上げられる。
そのまま、皆の場所に戻る。
そして、ちょっと離れた場所におき、変身を解く。
(長めに変身して、拒絶反応を示させるのは落ち込むのでパパっと終わらせるに限る)
「これで大丈夫です?」
「あ、あぁ。ありがたい。」
若干、驚きが抜けてないみたいだけど、無視して先に進めようと思う。
「では、行きましょうか」
「あっ……あぁ」
ルークがなんとも言えない顔で見てくるが、それも敢えて無視して、歩きだす。
あんな怖がられそうな姿、長時間出しておく必要なんてないのだ。
魔法も使えないから不便だし。
森に行き入っていく。
「念のため、離れないでいきましょう」
「了解」
蛇のような。髪の毛のようなものがあり怖いので、森の中で離れて行動し、各個撃破されるのを防ぐ。
まとめてやられるかもだが、それはその時だ。
「誰かいませんか!助けに来ました!」
そう声をかけながら、全員で耳を澄まし、感覚を研ぎ澄ましながら少しずつ進む。
しばらく木の中を捜索すると、少し開けている場所にでる。
「お、ここ開けてる……なにこれ?」
そこには、巨大な石造りの入り口があった。
「なんだぁこれ?見たことねぇ」
「ほんとに?ここに元々あったとかは?」
「ないない。ここには元々、小さな井戸があってな。ガキの頃に友達連れてバカやってたんだよ。最後に見たのはエクリプス起こる直前にムスコとその時友達連れて、この辺に生ってるシーライクを取りに来た時だ」
「なるほど……エクリプスで変化したのかな……?」
それは誰にも分からないが、エクリプス起こる直前なら、その可能性が高いだろう。
「とりあえず……入ってみますか……?」
「中にいるかもしれないからな……」
「ただ、念のためルーク、ヨンタ、ここに残ってくれないか?」
「いいが……なんでだ?」
「なんとなく、中に入ってなにか仕掛けがあったら怖いからね」
「あぁ……なるほど理解した。じゃ、夜の魔力にきり替わってもしばらく出てこないようなら戻って皆に伝える。それでいいな?」
「うん。それでお願い」
ルークは、僕の前世のことが分かっているので、その知識で言っているのだろうと察してくれたようだ。
(あまりにも……ダンジョンって言うのかな……そういうのに似ている気がする)
創作のファンタジー要素では欠かせないものだが、事実体験となるととても危険なものなので、用心するに越したことはない。
「では、ジェイクさん、行きましょうか」
そうして、取っ手に手をかけ、扉を開ける。
ギィィという軋む音がして、ゆっくり開いていく。
「暗いですね……」
中は真っ暗で、少し先しか見えない。
外の明かりで階段になっているのは少し見えるが、その先が見えていない。
警戒しつつ、中に足を踏み入れ、一歩ずつ着実に進む。
少し進んで、安全を確認すると、ジェイクさんを呼ぶ。
「ジェイクさん、一旦、ここまでは安全です」
「ありがとう。では、行ってくる。よろしくな」
ジェイクさんも中に足を踏み入れる。
「扉は……閉まらない様ですね……とりあえず先に進みましょうか」
扉が急にバタンとならないのを確認したあと、ゆっくり進む。
薄暗いと思い、火魔法を発動させようとするが、なんとなく魔力が違うと思ってステータスをみてみる。
ステータス
名前:レオンハルト・ロー・アバルト
種族:竜人 Lv:25 HP:400/400
物理防衛:80/80 魔法耐性:100/100
MP:200/200 適性:火炎・聖光
クラス:闍ア髮?
スキル:騎乗、剣術、飛行、竜化
クラスが文字化けしているのはいつものことだが、魔力のところが変化している。
「MP200……∞ではない……制限があるのか?……適性はこれは両方使えるってことかな……」
色々と考え込んでしまう。
「は?ハルト?なんだって?」
が、ジェイクさんの声で引き戻される。
「この中は恐らく、魔法を使える回数に限りがあります。その代わり夜の魔法も昼の魔法も関係ないです」
「そうか。俺の魔法は両方物理だったからあんまり関係ないが……俺の魔力量はいくつだ……50……そんなに使えそうにない気がするな……」
「今は一旦、温存しながら進みましょう。チラチラと光魔法を使って照らしますね」
「助かる」
ここでは一旦使わず、階段を降りていき、段がなくなったのを確認してから、一回使う。
「『ライト』」
小さな光だが、辺り一面を照らすのに十分だった。
チラッとステータスを確認すると、発動で1、そこから大体3秒で1減る。つまり10分は魔力切れしない。
それを確認したあと、大体の構造を把握して、すぐに消す。
「ジェイクさん、とりあえずこの部屋は真ん中に井戸があって、左右にも奥にも道は続いていなさそうで、人影は僕たち以外は見えませんでしたね……」
「把握が速いな!?俺は真ん中の井戸以外確認できなかったぞ!?はぁ……若いっていいな……とりあえず井戸までは安全に進めるか?」
「いや、罠があるかもなので、ゆっくり行きましょう。井戸までなら全然魔力保つと思うので照らしていきます」
「分かった」
すぐにライトを再発動させて、照らす。
先ほどと変わらずの部屋で、ゆっくり進むと、井戸まで簡単につく。
ついて、周りを見渡すと、やはりこの部屋で最後のようで、どこにも道はつながっていなく、人の影もみえない。
井戸に視界を向けると、淡い光が底の方から上がってくるのが見える。
「なんだろう……」
なんとなく、安全な気がして、それに手を伸ばす。
パリィン!!と言い音が鳴る。
「えっ?」
「ハルト!なにをした!!」
「すみません!これを触ってしまって!」
手のひらの上のものを示すと、ジェイクさんもそれを見る。
「そいつは……この辺の木で生ってるシーライクの実?」
そう言うと、シーライクの実から石のようなものが飛び出てくる。
その石をもう片方の手で掴もうとするとサラサラサラ……と砂のように消える。
その瞬間。
【Lvが上昇しました。 25→26】
レベルアップの通知が流れる。
(は?なんでレベルアップした……?)
疑問に思ったが、その瞬間に部屋全体がグラグラグラと揺れ始める。
「な、な、なんだ!!エクリプスか!?逃げるぞ!!」
「はい!!」
ジェイクさんと慌てて逃げ出す。
そして、扉の近くまで行く。
外に出ようとすると、ガキン!!ガキン!!と良い音がしているのに気付いた。




