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031 ふしどり夫婦~飛んだ火の鳥、大地の友

なんとか連続一か月投稿完了~。ふ~慣れないことをすると疲れますね・・・。

「ふぉおおおおお!!」


 前略、偶然滞在していた町を魔王軍が襲って来てなんだかんだと助けた私たちの前に現れたのは聖獣様と呼ばれ崇め奉られている火の鳥で、火の鳥はあっという間に魔王軍を殲滅し感謝されていた……だが、だとしたらどうして――。


「どうして私たちは攫われてんのおおおおお!!!」


 魔王軍を倒してそのまま姿を消すかと思われた聖獣は町の人たちが避難している場所までやって来て、そのまま私たちを捕まえて飛び去ったのだ。

 ご丁寧にレームの配下であるアンデットも一体も残さずに!


「……アンデットに攫われた後はまさか怪鳥に連れ去られるなんて」


「あははは~波乱万丈な人生だね!」


「ファンタジー満喫しすぎぃいいい!」


「とはいっても、どうしようもないわよ。文字通り手も足も出ない状況なんですから……」


 そうなのだ。

 私たちの中で一番の実力者レームですら火の鳥にはダメージを負わせることすらできずにバラバラにされてしまった。なおかつ、今は地上から遥か上空……。ドームのクッションがあると言っても、こんな高さから落ちたら確実にぺっちゃんこのグッチャグチャ。

 どっかのカエルみたいにTシャツと同化することもなく、地面に赤いシミを作って終わりだ。


「……ん、ちょっと待って」


「なになに? どうかしたの?」


「……アレ、何かしら?」


「アレ?」


「――太陽? いいえ、違うっ!」


 私たちというよりはこの鳥が向かう方向に太陽はある。初めは太陽の光が強くなったかのように見えたが、そうではなく何かが猛スピードでこちらに向かって来ていた。


『何をしてるか、この浮気者おおおおお!』


 光は瞬く間に接近し、謎の声を発しながら鳥を撃墜した。


「って落ちるーー!!」


「「「うきゃああああ!!」」」



『おい、起きろ! 大丈夫か?』


『ごめんなさいね。少しやり過ぎちゃったかしら?』


『少しってもんじゃないだろ……。ったく、オレじゃなかったら危ないところだ』


『しょうがないでしょ! 急なことで気が動転してたんだから!』


「……うぅ、うるさい」


 何を人の頭の上でギャーギャーと喚いてるんだか。痴話喧嘩なら他所でやってくれ。


「おう、起きたか」


「おはよう。先程はごめんなさいね」


「……おあようございます?」


 あっれー? まだ寝ぼけてるのかな?

 目覚めたら見知らぬ美男美女がいるんですけど?


「ひゃああああ……あれ? 痛くない?」


「あっ、委員長」


 おはようございます。


「夢、宮さん……? あれ? もしかしてさっきまでのは全部、夢?」


「んんぅ、ダブタチうるさいよ~」


「ふわ~良く寝た~」


 大鳥さん、それにキッドも。


「よし、これで全員目が覚めたようだな!」


 全員というのに疑問を抱いて、周囲を見渡せばドームやレームがこちらを窺っていた。

 どうやら異世界に来たってところまでは夢じゃなかったらしい。

 私の頭の中がファンタジーに侵食されたんじゃないと安心すべきなのかどうなのか……。判断に迷うところだ。


「……ところで」


「あんたらは――」

「あなた達は――」

「お二人さんは――」


「――誰 (ですか)?」


「その質問に答えるためには、オレもお前たちに聞かなきゃならんことがある」


 そう言った割には、男の視線は私に固定されていた。

 そして、質問もまた私一人に投げかけられたもののようだった。


「――お前は勇者だな?」


「……そうよ」


 質問のはずだが、確信しているような態度にどうしたものかと逡巡する。

 だけど、別に悪いことをしているわけではないし、知られたからと言って不利になることもないだろうと正直に答えてやった。

 委員長なんかは目に見えて慌てていたけど、今更だと思う。

 だって、何の緊張感もなく私たちが起きるまで待っていた二人だよ? だとすれば私たちを連れ去った鳥よりは確実に強い相手だ。

 そうでなければドームたちが傍に寄ってこないなんてことがあるはずがない。

 私は無駄な努力はしない主義なの。


「ほう、随分堂々としてるんだな? オレたちが魔王軍だったら……とか思わねえのか?」


「……そんなことを聞く奴が魔王軍なわけないとは思ってる」


「かっかっか! 肝の据わった嬢ちゃんだ!」


「私の質問にも答えてもらえる?」


「ああ、オレたちが一体誰かって質問だったな」


「……そうだったけど、やっぱり変える」


「……ほう?」


 初めて警戒を見せたな?

 私だって別にやられっ放しでいいなんて思っちゃいないんだよ。こう見えて負けず嫌いなもんでね。


「いいぜ。何を聞きたいんだ?」


「――あんたら、さっきの火の鳥でしょ?」


「…………どうしてそう思った?」


「聞きたいの?」


 空気がちょっと張り詰めたか。聞き方を間違えたかな?

 やられっ放しが悔しかったからってあんな挑発的にするんじゃなかったかも。でもね、そっちだって別に隠し通したいわけじゃないんでしょ? だって、あんたの相方さん「まあっ……!」って驚いた声出してたよ?

 声が出てたのに気付いてからは口元を押さえてるけど、目はニマニマしてるもん。

 あれはこれから私がどうするか、あるいは相方がどんな反応するかを楽しんでる目だね。


「ああ、是非聞きたいもんだ」


 それは男の方にも言えた。

 まったく、高みにいる人間って言うのはこれだから……。


「簡単なこと。だって声が一緒じゃない」


「……ああ、そういうことか」


 女の方からは反応は窺えなかったが、男の方は納得を示した。反応するまでに要した時間はいつ声を上げたのか、その記憶でも探っていたのだろう。


「普通はあれだけじゃあ、オレたちがあの火の鳥だなんて気付かねえもんだけどな」


「頭が固いタイプなんでしょうよ。そうでなきゃすぐに気付くわ」


「お前のようにか?」


「それはどうかしたらね」


 でも、疑いはするんじゃない?

 だって、声以外にもヒントはあるんだから。


「大方、その姿も変なトリックでも使ってるんでしょう?」


 男の方、若干肌が揺れてるわよ?

 そう指摘してやると、男からは「おおっ?」と驚いた反応が返ってきた。


「そうかそうか。こういうことでも気付かれるわけか。いやあ、失敗失敗」


「……う~ん、やっぱり私の編み出したスキルではあなたには不完全だったってことかしら?」


「いやいや、今まで指摘されなかったんだから、気付けたこいつが特別なんだと思おうぜ。……もしかしたら、正体を知っている奴らはそれが普通だと思って気にしなかっただけかもしれないけどな。あるいはオレの制限によるものじゃねえか?」


「ちょっと待って!」


「んっ? どうした?」


「あらあら、恋人の会話を邪魔するのは無粋というものよお嬢ちゃん」


 うっさい、別にしたくてしたわけじゃないわい!


「そんなことより、さっきの会話で聞き逃せないことがあったんだけど」


「……なんのことだ?」


「さあ? 別に変な会話はしてないと思うけど?」


 いや、一つだけどうしても確認しなきゃならないことがあったでしょ!


「……もしかして、二人は召喚者なの?」


 ここは相手に合せて「勇者なの?」とでも聞くべきだったかもしれないが、そんな余裕はなかった。


「その質問の答えはイエスであり、ノーだ」


「……どゆこと?」


「つまりだな、()()は勇者だ」


「えっ……ということは?」


「そっちの嬢ちゃんは気付いたか。そうだ。こいつは勇者じゃない」


 ――それどころか異世界人ですらない。

 そう告げられ、私の頭は一気に混乱した。


「意味わかんない」


「はは~ん。その反応だと、この世界についてなんも知る前にあのイカレ小僧に拉致られたってことか」


 『イカレ小僧』……そう言われて、私は少年のことをすぐさま思い浮かべた。

 目の前の男が勇者だとすれば私よりも遥か昔にこの世界に召喚されたことになる。それならばあいつについて知っていることもあるだろう。


「いいか、スキルってのは別に召喚者だけに与えられた特別な力というわけではない」


「!?」


「召喚者のスキルと元来のスキルというのは意味合いが異なる。端的に言えば、召喚者のスキルは何の独力もせずに与えられただけのチート。いわゆる裏技やズルだ」


 それはなんとなくわかる。

 レベルによって成果は変わって来るけど、別にそれを発動するために代償を取られた覚えはない。天才を羨む時に才能を口にすることがあるが、私たちはまさにその才能に胡坐をかいてついでに寝息を立てているようなもんなんだろう。

 そう考えると、続くだろう言葉も予測できる。


「対して元来のスキルというのは一定の技術を収めた場合に手に入れた経験則みたいなものだ。例えば優れた剣士が剣を交えただけで相手の力量を測ったり、見たことのない型であっても流れを予測して防げるといった感じにな。つまりは勘だ。勘!」


「……そう言い切られるとどこか複雑な気分だわ」


「ああっ! 悪かった! 別にお前を否定したいわけじゃないんだ!!」


「……大体分かった」


「ネムネムは本当に他人のイチャつきを無視するね~」


 けっ、知ったことか。


「つまり、スキルは努力で手に入れられる力……そう言いたいわけね」


「召喚者のスキルは別だぜ? あれは見たこともないどっかの誰かが勝手に与えた、押し付けた力だからな」


 まるで神でもいるかのような発言だ。虫唾が走る。


「まあでも言いたいことが伝わったなら話は早い。ようするに、オレが今使っているのもスキルということが言いたかったし、お前も聞きたかった。そうだろう?」


「そうね」


 その通りだわ。

 まったくこれっぽちも関係のない話に脱線するところだった。危ない危ない。


「ちなみに今オレが使っているスキル名は【人化】。簡単に言えば人に化けられるスキルってこった」


「人に化けられるってことはあなたの正体は元々あの火の鳥だってこと? それとも、人間以外の生物が召喚されたの?」


「どちらでもないぜ。オレは人間であり、人間の姿で『真の勇者』としてこの世界に喚ばれた」


「……火の鳥になってたのはあなたが召喚された時に授かった方のスキルってことか」


「そゆこと。どうだ、色々気になることがあるなら教えてやるぜ?」


 どこまでも能天気なところが腹が立つ。

 だけど、こいつは色々情報を持ってそうだから利用させてもらおう。


「それじゃあ、よろしくお願いしますね? ――先輩?」

連続で一か月、予約投稿とはいえなかなか疲れました。

ここで一つ朗報です!

なんと明日も正午に投稿します(既に予約済み)!

これが朗報になることを祈って・・・。


※軽いネタバレ(読むときは注意してください)

火の鳥(男)とネムネムが思い浮かべた人物は同一人物です。現段階ではイカレ小僧にして少年=如月京也の狂気はあまり感じられませんが、これから感じていただければと思っています。

作者的に鬱展開は苦手なのであまり暗くなり過ぎない程度にぼかしつつ書けたらと思うのですが、どうなることやら。

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