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024 第一村人に出会った~寂れたを通り越して滅びてた

 ちょっと短め。話を展開していく時はこんな感じになりそうです。

「ふぃ~着いた?」


 移動を開始してから数日後、ようやく止まった『スライムボーント』。スライムのクッションのおかげで疲れにくいけど、それでもずっと移動してるとさすがに疲れが……。


「あれ? おかしいな。疲れが目に来てるのかな?」


 とりあえず食料や情報を集める必要があるのだからと人の住んでいそうな場所を目指していたはずなのに。

 目の前の光景が信じられずに眠気を飛ばす意味でもちょっと強めに目を擦る私の肩に委員長が手を置いて首を横に振っていた。


「……気のせいじゃないわよ。私の目にもたぶん同じように映ってるから」


「……人が住んでいそうっていうか住んでいたって感じだね」


「…………うん、そうだね」


 基本的にどんな状況でも明るい大鳥さんからも笑みが消えている。

 だって、もろ廃墟だもん。

 目の前に広がっているかつて町だった場所は建物が崩れ、木々や草花もすべて枯れてここだけ世界が終焉を迎えたかのよう。


「モンスターにでもやられたのかな?」


「……なんにせよ、これじゃあ情報を集めるのは難しそうね」


「食べ物どころか今夜泊まるところも探せそうにないね」


 落ち着いているのは私たちが被害者じゃないからか、それとも現実離れし過ぎていて映画や創作の一場面だと思っているからなのかもしれない。


「とりあえずここにいても意味はなさそうだし、移動しよっか?」


「そうね――」


 委員長たちと再び乗り込もうとしていると、レームが偵察に放っていたアンデットの一体がカタカタと歯を鳴らして何かを訴えてくる。


「なんだろ?」


「……行ってみましょう」


 移動するときは身体を伸ばしたドームをアンデットたちが傘のように広げて持つことでその下に入って移動する。骨だけに傘……我ながら良い表現だと思う。

 私たちの周りはアンデット、上はドーム。まさに完璧な布陣。

 問題があるとすれば、この状態で人に会ったとしても受け入れられないだろうということだろう。


 だが、そんな杞憂も意味はなかった。


「…………」


 相手にリアクションをするだけの力がなかったから。

 廃墟の一角、藁の上に横たわって私たちを見上げる瞳はまるで死んだ魚のように濁ってその瞳は何も映り込んでいないようだった。

 微かに肩や胸が上下しているから生きてはいるんだろうけど……。


「……生きてる?」


「……………」


 問い掛けてもやはり返事はない。

 死にかけているからではなく、生きるのを諦めているように感じられるほどの無気力さだ。

 見た目は小学生高学年ぐらいのガキなのに、人生を諦めるとはなんとも情けない。そういう私の現在の見た目は幼女なわけだが……。


 さて、これはどうするのが正しいんだろう?

 地球にいた頃だったら、絶対に助けるのが正しい。だけどここは地球でもそれこそ平和ボケした日本ですらない。助けなかったとしても責められるいわれはない。

 第一助けを求められたわけでもない。本人が死を望んでいるのだとしたら、助けるのが本当に正しいのか?

 そもそも助けるって言ったってどうやって?

 むしろ助けを求めて人がいるところを目指していたっていうのに。


「なんて色々理由をつけたけど、結局助けちゃうだよ」


 誰かに責められるから、褒められるから助けるんじゃない。

 ただ目の前で人が死んでいくのを見るのが嫌なだけ。助けるというよりは私のために対処をする。


「……助、ける?」


 助けるという私の言葉が届いたのか、ようやく生きた人間らしい反応が帰ってきた。


「そうだよ。面倒だけど、目の前で死なれたら胸くそ悪いからね。助けてあげる」


 上から目線?

 当たり前じゃない。助けてあげるんだから。


「いらねえ」


「まっ!?」


 まさか拒否されるとは思っていなかった。

 目を丸くして、口に手を当て……手を頬に持って行き、最後に首を傾げてから両手を上げてやれやれというポーズを取る。


「……というわけでレームそいつを助けるから適当にアンデットたちで囲いを作ってくれる?」


『カタ、カタタ』


 私の指示をさらに伝えてちゃちゃっとアンデットの囲いを作り上げるとそのまま中へ放り込んだ。


「なんでだよっ!?」


 放り込まれたガキは死にかけとは思えないほど勢いよく起き上がり、ツッコミを返してくる。

 あれ? こんなに元気なら助けなくてもなんとかなるんじゃない?


「助けなんていらないって言ってるだろ! おれは、おれ一人が助かっても意味はないんだ……!」


 後半は泣くのを我慢するような押し殺した声だった。

 その姿は惨めであり、憐みを抱きそうになる。それが傲慢な行いだとわかっていても止められない。私は自分がまだ恵まれた環境から抜け出せていないことに嫌気を覚えつつ、何か声をかけようと近付いた。


 ――ぐ~ぎゅるる。


 その時、情けない音が響き渡り、私は伸ばした手を止めじっと見つめる。


「…………」


「…………」


 無言で見つめていると、気まずくなったのか顔を逸らせるガキ。

 私はすぐさま回り込んで顔を覗き込もうとするが、すぐにまた逸らされてしまう。そこからは一進一退の攻防が繰り広げられていく。


「なっ、なんなんだよっ! 笑いたきゃ笑えばいいだろ!?」


 最終的に耳まで真っ赤にしたガキが逆ギレをするまで追いかけまわしてやった。

 それにしても私はいつの間にか笑っていたのだろうか?


「……ぷぷ、身体は正直ね」


「~~~!!」


 思っていたことを正直に言ってやったら、睨み返してきた。うん。これならもう大丈夫そう。少なくとも死にたいなんて思わないんじゃない?


「……どう? 死ぬ気はなくなった?」


「……チッ」


 舌打ちが返ってきた。

 だけど、聞きたい答えはそれで十分。小声で「ムカつくガキ」って言ったのは見逃してあげる。私もあんたにおんなじような感想を抱いてるから。

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