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018 世界の一部をこの手に~どっちかっていうとワンピースがほしい

「ちなみに、私のスキルは【経験値奪取】とかいう名前だから」


 委員長にあれだけ言うなと念を押されたのにも関わらず、あっけらかんと公表する私。なにやら可愛らしく「むぅ……」と頬を膨らましている委員長。うん、可愛いよ?


『…………』


 視線を感じると思ったら、スライムまで無言で見つめてきているじゃないか。スライムの眼はどこにあるのか未だにわからないけど……。大丈夫。忘れてやしないから。あなたも可愛いよ。甲乙付け難し!

 他の人たちはぽかーんとしているけれど、私がスキルを言うとは思わなかったのかな?

 問題なし!

 こういうのは後々になってわかるよりも早めに打ち明けておいた方がいいのだよ。

 それにしても【経験値奪取】ってことはあの白い煙は経験値だったってことかな? あとでスライムに確認してみよう。


「……どうやら、提案を受け入れてもらえたようだね。嬉しいよ」


 本当にそう思ってる? なんか頬が引き攣ってるよ?


「さて、早速で悪いけど君には仕事を頼みたい。僕らは頭数が多くないから遊ばせておける戦力は有してないいんだ」


「え~、新人に仕事を放り出すとかブラック過ぎじゃない?」


「ははっ、そう言わないでくれ。『真の勇者』は仲間になれば幹部として扱うと決めていてね。新人でも君は立派な幹部なのさ」


「何それ、聞いてないよ!」


「言ってなかったからね。……何にせよ、部下が働いているのだから上司も働けというわけさ」


 えぇ~詐欺だぁ。


「――上手いこと誘い出せたようじゃの」


「ちょうど良い所に。紹介しよう彼女も『真の勇者』の一人、海老原はみるだ」


「ハミル・エビハラじゃ」


 随分年寄り臭い喋り方をする人だ。見た目は私よりは大きいけど、『真の勇者』……ってこの人も『真の勇者』だからややこしい。あっちは少年と呼んでおこう。まあ、少年に比べると小さい。見た目年齢は小学生低学年ってところかな?


「彼女はまあなんというかキャラを作り過ぎていてね。若返った反動なのか、老人口調になってしまったんだ」


「可哀想な人間みたいに紹介するでないわ! あと、キャラは作っておらん!」


 うっそだ~。絶対、作ってるよ。

 だって、その見た目でその喋り方はゲームに出て来る若年寄みたいなもんじゃない。ほら、年齢が変わらない魔法とかを使ってるけど、実際は数百歳とかってパターンの。


「……おい、こやつ見た目はガキじゃがなかなか腹黒そうなことを考えておらんか?」


「えぇ~なんのこと~?」


「ぐっ……! 見た目さえ、ガキでなければ……!!」


 ぷくくく、どうだ! 見た目がこんな可愛い幼女では怒っても手出しはしにくかろう?

 こうなればどこまで我慢できるのかこの若作りと勝負と言いたいところだったけれど、相手はあっさりと逃げて行ってしまった。逃げ際に放った「京也の連れてくる奴に碌な奴はおらん」というセリフは自分にも帰って来るから止めた方がいいよ?

 別に怒ってるわけじゃないからね~。


「……ちょっと、子どもの力とはいえ遠慮なく足を踏むのは止めてくれない?」


「ああ、ごめん。無意識だったわ」


「……はぁ。今度のも大変そうだ。とりあえず――」


「おい! そこな新入りの所為で忘れておった、受け取れっ!」


 忘れ物を乱暴に投げつけると、今度こそ足早に去って行く若作り。少年と若作り、私以外まともな人間はいないのかな?


「ととっ、乱暴だなぁ。おかげで二度手間にならずにすんだけど……」


「……何?」


 ぶつぶつ言いながら差し出された物は……ポストカード? お世辞にも絶景や観光名所とは思えない風景が映し出された二枚のカードが目の前に。

 貰える物は貰う主義だけど、いきなりポストカードを渡されても……。せめてその場所の観光が済んでから渡してほしい。そうすれば気分がいくらか変わるかもしれないのに。


「それは帰還用とこれから向かってもらう場所への移動用のアイテムだから、くれぐれも失くさないようそして雑に扱わないように」


 これが~嘘でしょ?

 疑いの眼差しで見つめながら軽く折り曲げたりすると、帰れなくなるよと真面目なトーンで言われたのでどうやら本物らしい。

 委員長も助かったわけだから、別に帰れなくなってもいいけどね。


「ねえ、私たちはどうすればいいの?」


「そうだね、とりあえずはここで特訓をしてもらおうと思ってるよ。もうわかってるかもしれないけど、君たちがレベルアップをしなかったのは彼女が能力を使っていたからだ。さすがにレベルが低いままだとこの先は苦労するよ? せめて自分の身くらいは守れるようになっておかないとね」


「……夢宮さんは一人で送り出すのに?」


「その点は心配しなくても大丈夫。向こうにはちゃんと戦力を配置しているから。それに彼女にやってもらうことは幹部としての箔を付けること。言い方は悪いけど、手柄を譲ってもらえばそれで十分だよ」


 手柄を譲ってもらうのかぁ。日本にいた頃だったら、それこそ何にもせずに儲けてラッキーと思ってただろうけど、命が懸かっている場面でそれをするのは躊躇われる。


「……私もついて行ったらダメかしら?」


 おやおや委員長何を言い出すんだい?


「聞いてなかったのかい? レベルが低い状態で行くと危ないんだよ?」


「それは夢宮さんだって同じでしょ? 『真の勇者』がどういう力を持っているかは知らないけど、彼女だってまだレベル1なんだから」


「まあ、そうだけど……」


「それとも私がついて行ったら困るようなことでもあるの?」


「……わかったついて行ってもいい」


「ありがとう。一応お礼を言っておくわ」


 委員長にしては上から目線だね!

 本音は指示を聞く必要は本来ないけどってところかな?

 どうしたんだろう? 初対面なのに、あまり仲良くないみたい。私も少年のことはあまり信用してないから人のことは言えないけど。


 そんな風に考えていたら、なぜか大鳥さんもハイハイと元気に手を上げていた。


「ダブタチが行くなら私も行く~! 二人だけじゃ寂しいだろうし、私もいろんなところ見てみたい!」


「君は……わかった。だけど、君で最後だ。あまり人数を連れて行くともしもの時に困ることになる。食糧なども無限にあるというわけじゃないんだ」


 最後に付け足した言葉は言い訳臭い。

 あまり私と行動を共にしてほしくないってか?

 違うか。どちらかというと自分の思い通りにならないのが気に食わないってところでしょ。プライド高そうだもんね。

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