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チャプター7:「最凶反則級」

 進む先を阻むチンピラたちと戦い。

 いや。混乱狼狽・パニックに陥るチンピラたちを一方的に千切り散らかしながら。

 制刻は大通りをズカズカと押し進む。

 その様相は今にアリックスが零した通り、まるで災害の発生通過の様相であった。


 そして間もなく大通りの突き当りに構え立つグロンダー家の本拠地。

 悪趣味な屋敷建物その敷地を隔てる、塀の巨大な門へと近づき至り。制刻はさらに足止まることなくズカズカ進む。


「アリィ、皆をちょぃと止めてろ」

「オーケー」


 そんな制刻は同時に、後続するアリックスにそう促す。

 それを受けたアリックスは答えると併せて、制刻への追従を止め、またその後ろより追い続いていた人々の先頭で立ち止まる。


「皆さん、ここで停止を。できれば建物内に避難を」


 その停止動作と簡単なジェスチャー、そして言葉で人々に停止と避難を勧告。

 それを受けて人々は、引き続き沸き立ちながらも素直に止まり。アテがある者は建物への避難の動きを見せる。


 そんな一方、制刻が進む先。向こうの巨大な正面扉の前では動きが見える。

 二三台ほどの黒塗りの高級車が、慌てた様相の荒い運転で走り込んで来て、門の周りを固めるように停車。

 そしてまた慌て降りて来たのは、黒服に身を包んだ者たち。

 それはグロンダーの主たる構成員。また人間から亜人獣人までで成るそれは、次には得物――数々の銃火器を軒並み向け。

 制刻に撃ち放った。


 制刻を狙い、次には間近を掠め抜けるいくつもの銃火。

 いや――そのいくつかは、制刻のその身体に当たった。


「はン」


 しかしだ。

 制刻はそれに苦痛を訴える様子は。いや負傷した様子すらも、もちろん臆し怯む様子などもまるで見せず。

 鼻で笑うような一声を零しながらも、ズカズカと押し進み続けるではないか。


 一つ明かせば制刻が今も纏う白衣は、制刻が自ら製作した特殊な防弾仕様のもの。

 いや、だとしても。銃弾銃火の直撃を諸に受ければ、その衝撃打撃に本来はタダでは済むまい。


 その根本の秘密は、その白衣の元の「ベース」の強固さ――すなわち制刻の「身体」、肌に肉体そのものの信じがたいまでの強靭さだ。

 制刻の身体は、それほどまでに強固で強力であったのだ。


 そんな制刻は、次にはそのズカズカと続けていたその歩行速度を僅かにだが上げ。固められた正面門まで、一直線に突破を目指す進路を取り歩む。


「なんだこいつ!?ふざけんじゃねぇ!!止まれェ!」


 そんな制刻に向けて、銃器の銃火を我武者羅に集中させる黒服たちだが。しかし制刻は止まらない。


「ふざっ……!野郎ァ!!」


 ついに焦りと、そして頭に血が上ったか一人の屈強な獣人の黒服が。

 接近進行を止めない制刻に向けて己から飛び出し、また獣人故に制刻を上回るその身長身体で。

 覆い被さるように飛び掛かり襲った。


「――べぎゃ!?」


 だが、次に響いたのは肉が拉げる嫌な音と。そしてその獣人黒服の声での濁った悲鳴。

 見れば、制刻が横殴りに薙いだ拳骨が。獣人黒服の横面を直撃し、おもいっきり拉げ潰し凹ませていた。


「――ぎゃべ!?」


 その獣人黒服は、その殴打の勢いでそのまま面白いまでの様で吹っ飛ばされ。

 そして向こう、グロンダーの敷地を囲う塀に吹っ飛びベチャリと叩きつけられ。気絶して地面にずり落ちた。


「てめェェ!!」

「ぶっコロしてやらぁ!!」


 そんな制刻に、己たちをまるでコケにするような動き様子に。

 黒服たちは怒りから頭に血を昇らせ、次々に制刻に向けて殺到襲撃。


「邪魔だ」


「ぎゃぶェあ!?」


 しかし、次に襲った亜人獣人にも劣らぬ屈強な人間黒服が。

 だが制刻が奮い上げ叩き降ろした拳の底に、その脳天を潰し叩き砕かれ、その勢いで地面に叩きつけられ張っ倒される。


「もご!?はな……!?うわぁぁぁ!?――……べげャ!?」

「げびぇェ!?」


 さらに続けて襲った爬虫類系の亜人は、しかしその頭を制刻の手に止めて掴み捕まえられ。

 そして次にはぶん投げて飛ばされ、その向こうに居た別の黒服と「激突」。共々捨てるように退けられた。


「よっ、と」


 そして尚も止まらぬ制刻はさらに。次にはその進路上近くにちょうど止まっていた黒塗りの高級車を、片手で掴みそして頭上より叩く持ち上げたかと思えば。

 次には大きなゴミでも放るようにぶん投げる。


 投げられた高級車はその先で、また止まっていた別の高級車の上に落ちて激突。

 併せてその高級車を利用して隠れていた黒服たちを、襲い巻き込んだ。


 そんな、歩み進めるついでに片手間に戦う、いや黒服たちを「散らかす」様子を見せながら。

 制刻は間もなく、グロンダーの敷地と外を隔てる巨大な正面門の前に至る。


 そしてだ。次にはその構造の一部を取っかかりに、その指先を掛けて「摘まむ」と。


 ベギャリ――と。その巨大な門扉を「外した」。


 体当たりを行うとか、蹴破るとかですらなく。

 まるで邪魔ないらない物でも取って退けるように。縦横数メートルはある鋼鉄製で半端では無い重量のそれを、しかし片手の手先で摘むように取って外し。


 そしてやはりいらない物でも捨てるように。制刻はその巨大な門扉を、次には軽々とした動きで放って捨て。

 その門扉はまた近くに止まっていた黒塗りの高級車に落ちて、それを下敷きにして潰す。


「お邪魔するぜ」


 制刻はそんな一声を零しながら、拓かれた、いや閉じて阻む物の無くなった正面出入り口踏んで越え。

 ズカズカと全く遠慮の無い様子でその内に踏み入り、グロンダーの敷地内への侵入を果たす。


 ちょうどそのタイミングで、先に放って捨てて破壊した高級車のそれぞれが。

 また明かせば「衝突」以降に出回り始めた、異世界の魔法技術を利用し組み込んだ、『魔導エンジン』を乗せるそれらが。

 正面出入り口の外向こうで、立て続けに盛大に大爆発。


 その響き上がった爆発爆炎と音色で、制刻の侵入突破の姿を飾った。


「――Hooray(バンザイッ)!CRFッ!!」

「中部復興勢力ッ、よく来てくれたぁッ!」


 爆発爆炎に交え合わせるように。そんな歓声が、沸き称える声の数々が響き上がり聞こえたのは直後。


「やはり、制刻博士――ッ!」

「スゲェッ、スンゲェ人がやって来たじゃねェかッ!」


 それは制刻等に追従し、正面門の前周りに観衆として集い広がっていた住民たちからのもの。

 上がる言葉の数々は、CRFを歓迎するものから。制刻自身の存在に奮え沸き立つものまで数々。


「グロンダーを街から追っ払っておくれよッ!」

「現れ来てくれたことに感謝を――」


 CRFの名称を引っ提げて現れた制刻が見せて証明した、その凶悪なまでのとてつもない姿に行動から。

 住民たちは、制刻自身がまた「ホンモノ」なのであると確信。


 膨らむ期待、高揚、歓喜から、いよいよ声高らかに奮い沸き立ったのだ。


「んで、だ」


 そんな住民たちからの歓声を、開口した正面門を越えてその背に受けながらも。

 制刻はそれに気取られず、別段その姿勢意識を変える事も無く。次には踏み入った敷地内に視線を走らせる。


 さすがに塀に護られていた内側の敷地内とあってか、その警戒・即応の体制は外よりかは薄いように見えたが。

 しかしそれでも敷地内の建物など各所よりは、慌て出て来たグロンダーの構成員の姿が見え。

 そして早くも散発的だが、銃撃などが飛び来て掠める。


 だがやはり、制刻は臆しも気にしもしない。


「で、次は?」


 そんな制刻に、背後から声が掛かる。

 それは当然と言う動きで制刻を追って続いて敷地内に踏み入り、追い付いてきたアリックスにからの続く行動を尋ねるもの。

 またその後ろからは大変に困惑を伴う様子で、小走りで追い付いてきた鳳藤の姿もある。


「アリィ、お前ェさんは適当な狙撃位置に上がれ」

「オーケー」


 そんなアリックスからの尋ねる声に、制刻は淡々とした声色でのそんな指示で返答。

 それにまた端的に了解したアリックスは、控え下げていた自身の得物である武骨なスナイパーライフルを繰り出しながら。

 次にはその身に携える漆黒の翼を羽ばたかせて、宙に浮かび上がり。

 言われた通りに適当な狙撃位置を探して着くため、飛び向かって行った。


「えぇ……」


 そんなアリックスを、続ける警戒索敵の意識視線の片手間で見送った制刻の。

 その傍ら背後では、ここまでの衝撃的にも過ぎる光景を目の当たりにした鳳藤が。また大変に困惑した顔色で声を漏らしている。


「姉ちゃん、こっから依頼対象の戦闘捜索に入る。俺から離れるな」

「あ、え?あぁ、はい……っ」


 そんな鳳藤に制刻が伝え促したのは。

 これよりさらにグロンダーの施設内に踏み入り。鳳藤からの依頼である学園の生徒たちの捜索を開始することと。それに伴い、制刻から離れないよう注意する旨。

 それに鳳藤は、驚愕と困惑で散らかっていた意識を戻し。しかしまだ戸惑いが多分に出ている声でなんとか返す。


「んじゃ、中にお邪魔するぞ」


 そんな鳳藤の心情を察しつつも、しかしあまり過保護にはせず。制刻は次には一声で促すと、またズカズカと歩み進み始め。

 そして鳳藤は困惑醒めぬまま、それを追いかけた。

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