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結婚するとは言っていません【登場人物・その他】  作者: 白雲八鈴


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9/10

謝罪するのは命がけだった

 謝罪のためグレンバーレル伯爵子息と連絡をとるのに魔導師団を訪ねるも会えることがなかった。

 どうも研究室から出てこず、連絡が取れないということだった。


 それが一ヶ月も続いている。


 流石に一ヶ月は長いのではないのか?


「あれの研究室にはいる? 無謀という言葉を知っているかね?」


 クソジジィに無理難題を言われ、魔導師団長から魔導師を借りてこいという命令を実行するために、魔導師団長を訪ねたついでに言ってみた。


 グレンバーレル伯爵子息を連れ出していいかと。


 これではいつまで経っても謝罪ができない。なので、誰を借りて来いと言われなかったため、グレンバーレル伯爵子息を指名したのだ。


 しかし魔導師団長にアレ呼ばわりされているのか?


「言いたいことがあるのに、本人が引きこもっているので引っ張り出すだけです」

「それは良い。しかしだね、塔内を破壊したら自己責任で直すのがこの魔導師団の決まりというのを叩き込んでおくことだね」


 逆に言えば、直せるのであれば、何をしてもいいとも聞こえる。


 魔導師団長の許可を取ったので、私は意気揚々と最下階に向かった。

 ……魔導師団長が最上階で、今から行くところが最下階。何の嫌がらせなのか。



 一番下の階に到着した。


 周りを見るが、扉は一つしかないので、ここであっているのだろう。


 扉をノックする。

 ……返事が無い。


 これはわかっていた。

 だから強引に侵入する。


「入らせてもらうぞ……」


 扉を壊す勢いで開けたものの、鍵がかかっていないことに拍子抜けし、目に映った光景に言葉が詰まった。


 一面麦畑だった。

 まだ青く収穫には程遠い青い麦畑。


 これが研究室なのか?


 一歩踏み出せば、春先の冬の名残を感じる風が頬をかすめる。

 今は秋のはずだ。このような光景はありえない。


 これは凄いとしか言いようがない。

 はぁ、これは本当に私の言い方が悪かったと謝罪をしなければならないな。


 そう思い、本人がどこにいるのかと歩き出す。


 これはかなり広い。それも天井が剥き出しの土だが、地下という圧迫感がない。


 少し歩くと、一軒の家があった。おそらくあそこが本当の研究室なのだろう。ここは実験場というところか。


 私は足早に向かい、扉をノックする。

 やはり返事がない。


「お邪魔しますよ」


 そう言って、そっと扉を開ける。ここも鍵がかかっていない。


 ここまで来て流石におかしいと思ってきた。

 何故、魔導師たちはグレンバーレル伯爵子息と連絡が取れないと言ったのだ?


 地下の最下階の扉も鍵がかかっていない。そして、この家も鍵がかかっていない。

 接触しようと思えばできるはずだ。


 まぁ。考えてもよくわからないので、取り敢えず片っ端から部屋の扉を開けてみる。


 よくわからないガラクタ部屋。ガラクタ部屋。ガラクタ部屋。ガラクタ部屋……ゴミ屋敷じゃないか!

 唯一きれいなキッチンは使われた形跡がない。


 どうやって1ヶ月間も生きているのだ?

 もしかして……死んでいる?


 これはヤバいぞ!


 私はもう一度ガラクタ部屋の扉を開けて、人の気配を探す。


 3つ目の扉を開けたところで、人の気配が!

 あ、部屋の中が臭すぎてすぐに閉じた部屋だ。


 息を止めて部屋を突っ切り、反対側にある窓を全開にする。

 よく見れば、本棚があるので、普段はここで過ごしているのかもしれない。


 が、本棚がぐちゃぐちゃ。

 床は足の踏み場がないほどゴミがある。

 そして何とも言えない匂い。


 そう、戦場で何日も血と汗と土にまみれた匂いに近い。


 ちっ!汚臭の原因はどこだ!


 原因を探すのに部屋中を探していると、ぐにっと何かを踏みつけた感覚があった。

 ここか!


 足元の汚らしい布を引っ張り上げる。

 金髪が見えるので、汚臭の本人はこれらしい。


 取り敢えず、肩を揺さぶって起こす。


「おい、起きろ。起きろグレンバーレル伯爵子息」


 すると金色の目が開いたものの、目が据わっている。

 これは……寝起きが悪いというやつか!


 バチバチと空気が放電しだした。


 それも部屋全体でだ。これはヤバい。


 窓から逃げるか。いや、間に合わない。

 一瞬でそれを判断し、汚物から手を離し、私の周りを氷の壁で囲う。


 それと同時に爆発が起こった!

 ギリギリだ。

 それも一撃ではなく、次々と爆発が起こっている。


 普通の結界なら保たなかったかもしれない。


 はぁ、これはグレンバーレル伯爵子息と接触しようとする者は、いなくなるかもしれないな。


 さて、爆発は収まったが、これはどうしたものかと、私はゴミに埋もれている汚物を見下ろすのだった。


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