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結婚するとは言っていません【登場人物・その他】  作者: 白雲八鈴


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げきおこ

 あの手この手で起こしてみたものの、攻撃対象にされるという結果になった。


 しかし家が壊れるかと思うほどの攻撃だったが、室内のものは何一つ無傷なのだ。


 ゴミの一つも消失していない。


 これはおかしいと観察していると、どうも家の中の物には影響がないようだ。

 しかし攻撃を防いでいる氷の壁には影響がある。


 これ本当に無意識なのか?


 だが、全く起きない汚物を見下ろす。


 臭い。とにかく臭い。


 起きなくても水につけ置き洗いしておくか。

 そう結論づけた私は、水が出るところを探す。

 キッチンは使った様子がなかったので、近くにあるはずだ。


 隣接する扉をいくつか開けると、シャワー室があるではないか!

 汚物を引っ張り込んで……レバーを上げれば良いのだろうか?


 使い方がわからないが、壁から生えたレバーを上げる。

 天井から落ちてくる水。いや、湯気が立っているな。


「熱っ! 熱! 何が起こったのですか!」


 あ、汚物が普通に起きた。

 そうか、これだと普通に起きるのか。


「水温調節!」


 汚物から手が伸びてきて、レバーを動かしている。ふーん。捻ると温度調節ができるのか。


「何故、貴女がここにいるのですか!」


 水温調節して余裕が出てきたのか、私がいることに気がついたようだ。


「言いたいことと、頼み事があって来たのだが、中々起きないから取り敢えず、汚物をつけ置き洗いしようと思ったのだ」

「汚物とは何ですか!」


 私がグレンバーレル伯爵子息を指し示す。


「この地下の湿気があるところで、何日もシャワーを浴びていない汚臭がする汚物のことだ。身なりを整えて出てきて欲しい」


 そう言って私はシャワー室の扉を閉めた。


 女性騎士たちが私の婚約を羨ましいがるほど、グレンバーレル伯爵子息の見た目はいいが、生態的に難ありだな。


 そして汚物の住処である腐敗した室内を見渡す。あまりにも汚くてイラッとする。


 大掃除をしよう。ここは人が住むところじゃない。




 ゴミは使えそうな袋に突っ込み、本は本棚に並べ、よくわからない道具はゴミの中から出てきたテーブルの上に置き、必要そうな書類もまとめて置いた。


 これどれだけゴミが溜まっていたんだ?

 ローテーブルが埋もれるほどとかありえないだろう。


 ゴミは取り敢えず、外に出した。後で燃やすなり何なりして欲しい。


 そして家中を散策……グレンバーレル伯爵子息を探しているときに見つけたモップで床を掃除していると、本人が現れた。


 三時間ぐらい経っているぞ。途中で寝ていたのか?


「何をしているのですか!」


 それも何やら怒っているらしい。


「掃除だ」

「そんなもの必要ありません! ここにあったものは何処に消えたのですか!」

「必要そうなものは、そこ。ゴミは外」

「この研究室にゴミというものは存在しません! いらないことはしないでいただきたい!」

「いや、あれはどう見てもゴミだ。くちゃくちゃに丸めた紙はどう見ても不要だろう」

「それは後で必要になるかもしれないものです!」

「枯れて散乱した植物もゴミだ」

「それは後でかき集めようとしていたものです!」


 ……これ、もしかして、生活能力が皆無なのでは? ゴミをゴミとして認識できずに溜め込むタイプか。


「はぁ、誰か身の回りの世話をするヤツを置け、あとゴミとコレクションは違う。必要ならばゴミと間違われないようにすべきだ」

「世話人など無用です。それから先程からゴミゴミと……ゴミなどないと言っているのではないですか!」


 ふぉ! 四方八方から風の刃が!

 身体をひねってギリギリで避ける。


 今のはなんだ? 魔法特有の発動時間がなかった。

 次は火の矢。今度は水攻め!強い魔法ではないが、発動時間がないので、こちらに息をつく暇を与えさせない。


 面白い。

 魔法の隙間を縫って、グレンバーレル伯爵子息の前に立つ。


「凄いじゃないか! それどうやっているのだ? 魔法に必要な発動時間の削除をだ」

「ふん! 魔法ぐらい考えたら発動できるものです。時間がかかる理由がわかりません」


 ……うん。これはバカと天才は紙一重だという奴だな。


「部屋の中にあったものは、外に出しているだけだ。必要なものだけを中に入れるといい。あと、謝罪をさせてくれ、私は力の自慢をしたかったわけではなかったのだ。すまなかった」


 私は先に目的を果たす。グレンバーレル伯爵子息に謝罪するということをだ。


「私は戦争を終わらすためにハイラディの魔法を得ようと思った。しかし、ハイラディの魔法に父も兄も取り憑かれていたのも事実」


 ハイラディ侯爵から排除されたというのに、ハイラディの魔法に囚われていたのだ。


「はぁ、あれは普通に扱えるものではない」


 使えるようになってわかった。あれは、普通の人が扱えるものではなかった。


「ほぅ、それは何が普通ではないというのです?」


 先程まで怒っていたのに、興味ありげな金色の目が私を見下ろしてきたのだった。


続きは不定期投稿です

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