奏水と琥珀の現代日本旅行記 前編
「…………はっ! ここは一体どこですっ!?」
穏やかなまどろみを味わっていたのも束の間、隣から聞こえた驚きの声に私はパッと目を見開かざるを得なかった。
その声の主はもちろん、私 一条奏水の番であり、恋人であり、配偶者でもある水蓮寺琥珀。
普段から落ち着いている琥珀が珍しく動揺を隠せない様子で声を上げたことに私もまた驚きつつ、開けた視界で目の前の景色をよくよく観察する。
窓の外に見えるのは青空と東京の街並み。
そこから陽が差し込んだ部屋はフローリングに白の壁紙がシンプルな洋室。
12畳くらいの部屋の奥には大きなモニターの画面がいくつも並び、その手前にはキーボードとデスクトップパソコン。周囲にはギターが何本か鎮座している。
そして、今いる場所を確認すれば、シングルサイズのベッドの端に腰かけていることにようやく気付く。隣の琥珀も同じように座ったまま、目をまん丸にしてあんぐりと口を開けたまま静止してしまっていた。そこでようやく私は現実を認識する。
すっと立ち上がり、デジタル時計の日付と時刻を確かめて。
その後で、呆然としたままの琥珀の両手を取って。
「――琥珀、西暦2026年の世界へようこそ! ここが私の部屋だよ」
まさかの訪問者に歓迎の意を示した。
―――
どうしてこうなったのか。
それは数十分ほど前まで遡らなくてはならない。
巫女になってから数か月が過ぎ、仕事にも慣れてきたある日、久々に女神様からのお誘いがあった。
巫女に任じられる前に少しだけ会話を交わしたきりだったけど、それ以来の直接喋る機会ということで私も琥珀も楽しみにしていた。この国のこと、巫女のこと、そして私たちのことをどのように見守ってくれているかを直接聞けるのだ。
そして数日後の夜、仕事が終わった後に女神様と会って話をした。
正確には意識だけが女神様のいる天界へと呼び出されて、という形だけど。
話した内容は基本的に巫女の仕事のことと今のこの国の情勢のことだった。
……だったんだけど、最後にまさかの提案があって。
「ところで一条さん、元の世界に帰省したくはありませんか?」
「……はい?」
「私の力で一条さんを元いた世界にお送りし、満足したらこちらに戻ってきていただくという『帰省』です。いかがでしょう? 一条さんをこちらに強引に連れてきてしまったことへのお詫びも兼ねて、一度くらいならよいかなと思いまして」
最初は唖然としたが、説明を聞いているうちに興味が出て来た。
向こうの世界では現時点で2026年4月下旬であり、私は一年以上行方不明扱いになっているが、女神様の神術で人に気付かれないように過ごせるらしい。
また、私が一人で住んでいた部屋は変わらず残っており、女神様のあれこれによって水道や電気を使える状態にしてくれる。すごい、破格すぎる。
そして何よりすごいのは帰省の終わり際の話だ。
なんと、私が持っていきたいものをこっちの世界へ一緒に転移してくれるそうだ。
こいつは最高すぎる。機材も楽器もモニターもPCもぜーんぶ持っていけば今後の制作がめっちゃくちゃ捗る。最高。女神様マジ神。
「はい! ぜひお願いします!」
「ま、待ってくださいっ、奏水だけ行かせるのはだめなのでわたしも行きますっ!」
「あらあら。ではお二人で仲良くデートですね?」
という経緯で、保護者でもある琥珀が付いてくることになったのだ。
かくいう私も一人は寂しいから一緒にいてくれると嬉しい。
……っていう内容を思い出し、二人で冷静になろうと努めて会話をし、数分が過ぎたところでようやく琥珀が落ち着いたってわけだ。
そして琥珀は私の制作環境を眺めつつ、きょろきょろと視線を彷徨わせて――
「奏水、ここが西暦二〇二六年なのですね……」
「うん。どうかな、私の制作環境の出来は?」
「もうなんかすごすぎて言葉が出ないというか……家の機材だけでも恐ろしかったのに、こんなに大きくて綺麗な画面がたくさん並んでいるとびっくりです……」
そりゃそうだろうな。だって洋室の時点で驚きしかないだろうに、令和の最新鋭のPC周辺機器やらが並んでいたら怖くもなる。私が向こうの世界に転移した時の驚きよりももっと大きいものを琥珀は感じているのだろう。
というわけで驚きすぎて機能停止しかけた琥珀を制作用デスクの前に座らせ、私は画面でYouTubeを開いて適当な動画を探す。
琥珀に現代日本の一般常識を教えようと思ってそういう動画を探したんだけど、あいにく現代人向けの現代入門教科書がないようにそんな動画もなかった。
なので代わりに東京初心者向けの観光スポット紹介動画を見せることに。
「な、なんですこれは! わけのわからない世界が広がっています!」
「あー、アスファルトと信号と自動車の時点でアウトだったかー」
「どうしてこんな高い建物が建っているのです!? 崩壊してしまいます!!」
「いやいやそこは現代日本の技術がありますから」
「だめです、未来の世界すぎて思考が追い付きません……」
東京タワー、新宿御苑、東京駅、上野動物園、渋谷のスクランブル交差点、六本木ヒルズ、浅草……主だったスポットを紹介する中で東京の風景が映るので、なんとか教科書代わりになってくれている。
「奏水、この変な塊はなんです!? 動いてます! 速いです!」
「電車だね。電気の力で線路の上を走る便利な交通機関」
「こんな意味不明なものがほんの一世紀後には走っているのですか!? ああ、人類の進歩は末恐ろしい……」
「そんなに怖がらなくてもいいのに。私もいるじゃん」
「……そうでした! 普段は鈍感でへたれな奏水も今日は役に立ちますね!」
「ちょっと待って罵倒するのやめてね」
なんだ、調子取り戻してるじゃん。
それが癪に障ったので、動画を見終わったところで更に驚かせる。
具体的には私の持ってる私服に着替えてもらった。
それはもう下着から全部私のものを与えてね。恥ずかしがらせたいし。
ただ、恥じらう以上に琥珀は盛大にビビってくれて――
「奏水、なんですこの動きやすい衣服は!?」
「Tシャツと短パンのジャージだね」
「すごいです! いつもの襦袢よりも遥かに動きやすいし、肌触りもいいですし、身体が軽くなったとすら感じます。奏水はいつもこんなものを着ていると!?」
「うん」
「これは犯罪ですね、今から罰を受けてください」
「何の罪になるの!?」
うん、やっぱ調子取り戻してるし。
とはいえ驚かせる機会はこの先大量にあるし、今はいっか。
なので先に我が家の説明をする。
今いる寝室兼制作部屋が拠点だけど、ダイニングキッチン、お風呂、洗面所、トイレ、ウォークインクロゼット、物置用の倉庫代わりの部屋、などなどもある。
冷蔵庫や水道の使い方、トイレの使い方、お風呂の説明、家の中で注意することなど諸々を解説しつつ、琥珀にも予備の財布を持たせてお金を渡しておく。
いつ親が裏切るかわからないと怯えた昔の私が、貯金口座から引き出しておいたタンス貯金がある。一万円札が……1000枚くらい? もっとあるかも。なので琥珀に10万円渡したところで大したことにはならない。
さて、じゃあこの先の予定を決めようか。
ダイニングキッチンの二人用テーブルと椅子がこんな時に役立つ。
「ふぅ、じゃあ今からこの先一週間の相談をしたいんだけど」
「……世界が違い過ぎてもうわたしが口出しできることがありません」
「まあまあ。とりあえず案だけでも聞いてよ」
今日は2026年4月28日火曜日。
女神様とは一週間の帰省という話をしてあるので、最終日は5月4日月曜日。
見事にゴールデンウィークと重なってしまうわけだが、これは仕方ない。
むしろ子供が遊び歩いても咎められにくい時期なので僥倖である。
1日目の今日は琥珀がこの世界に慣れることを優先し、近所に外出するだけ。
2日目の明日は電車で買い物に行く。そして外出もする。
3日目以降のことは2日目までの様子を見て相談。
最終日の7日目は向こうの世界に転移させるものを決めて帰宅準備。
これがいいだろう。
臨機応変に動きつつ、決めるところは決める。
「とりあえず今回は奏水に任せます。わたしも思うところがあれば都度言います」
「うん、ありがとう」
「で、明日は買い物とのことですが、何を買うのです?」
おっ、鋭い質問だ。
琥珀からすればもう何を買ったらどういう良いことがあるのかすらわからない状況。しかし、この一言を言えば琥珀もすぐ納得するはず。
「衣服を買いに行くよ。今着てる服とか下着とか、買い込んでくる」
「――!! この動きやすい服をですか!?」
「うん。それで買い込んだやつは向こうの世界に転移させればこの先も着れる」
「さっ、賛成です!! こんな快適なものが毎日使えたら最高ですっ!!」
「琥珀から最高っていう単語が出てきたの、初めてかもしれない……」
私の曲を聴いて最高って言ってくれたこと、あったかなあ。
一度もない気がする……
「こほん。で、めぼしいものを買ってきて、数が足りなければ通販で買い足す」
「つーはん?」
「通信販売の略。現代の通信技術を使って家にいながらお店に商品を注文して、それを運送業者が家まで届けてくれる仕組み」
「そんな便利な仕組みがあるのです!?」
「うん。向こうでいう手紙でやり取りしていたものを現代技術でまかなってる」
「はっ、まさかそれも奏水のパソコンからやるのですか!?」
「正解」
「…………未来の文化、怖すぎて涙が出そうです」
「泣かないで。私もいるし」
「はぅ……へたれの奏水が慰めてくれています……」
「その口はどうにかならないのかな」
いつもの健康状態をキープできてるって意味では安心だけどね。
体調を崩すよりはよっぽどマシだ。
……って、あ、そろそろお腹空いてきた。
冷蔵庫に何かあったっけ、と思ったけど一年以上前のものしか入ってないや。
仕方ない。ここのマンションの一階にスーパーがあるからそこに行こう。
冷蔵庫の中身は後でゴミに出すか。
「じゃあご飯を買いに行こう。時刻的にはまだお昼だし」
「わ、わかりました。奏水についていきますね」
「うん。じゃあ適当に私のスニーカーを履いてもらって、いざ出発」
マンションの内廊下のお洒落な雰囲気に怯え、エレベーターに恐怖し、エントランスの自動ドアに叫びかけた琥珀をなだめつつスーパーへ。
久々に来るなあ。昔は毎日お世話になってた。
中所得者層というか、庶民よりは少しお金持ちかな、くらいをターゲットにしたお店なので、割高だけど美味しいものが手に入る。
さて、とりあえず飲み物と向こう三食分の食料を調達、っと。
「奏水、こんなに綺麗でぴかぴかで明るくて美味しそうなものが並んでいるこの店は一体なんなのです……」
「スーパーマーケット。生活に関わる食料品を一手に扱うお店」
「八百屋と魚屋と米屋はどこへいったのです……」
「その役割を全部破壊して廃業に追い込んだのがこういうお店」
「ひぃ……でも便利なのには違いありません……」
野菜売り場、鮮魚売り場、精肉売り場を順々に眺めて感心する琥珀。
まあ私は料理しないからもっぱら出来合いのお惣菜コーナーに行くんだけどさ。
とりあえずパンコーナーで菓子パンとロールパンを仕入れる。これは朝ご飯。
冷凍食品コーナーには和風の冷凍弁当プレートがあるので夕飯用に購入。
飲み物は緑茶とジュースを2リットルのペットボトルで買っておく。
「琥珀はお昼ご飯何食べたい?」
「え、えっと、じゃあ、せっかくなので奏水のおすすめを……」
「了解。じゃあお惣菜コーナーで買っちゃおう」
ここのお惣菜は出来が良くて大好きなんだよね。
味もいいし。種類も多いし。あっ、油淋鶏売ってるね。買っちゃおう。
いなり寿司も味付けが好みだし買っておく。
サラダはシーザーサラダ好きだから2個買っておく。
琥珀は魚介類の方が好きかな? じゃあカニクリームコロッケにしよう!
あとは、うーん、とりあえず冷凍のピザでも買っておく?
夜食にちょうどいいよね。よし。
じゃあお会計済ませて、買い物袋は持ってきたからさっさと入れて、袋のうちのひとつは琥珀に持たせて。はい完了。家に戻ります。
「……奏水、これが西暦二〇二六年の暮らしなのですね」
「刺激強すぎた?」
「わたしが頑張って家で料理をしていたのはなんだったのでしょうか」
あっ、やば。これもしかして今まで料理してなかった私が弾劾されるのでは……
「料理に割く時間がなければ勉強と楽器の練習に費やせたのに……」
違う、この人ただの勉強熱心だった。
「まあまあ。たまにはこういう楽をして生活を楽しみましょうってことで」
「そ、そうですね。旅行ですし、そう思っておきましょう」
よかった、ピンチは免れたね。
「でも奏水もそろそろ料理を練習してください」
「ギクッ」
訂正。免れてなかった。琥珀の目は鋭かった。
―――
「では楽しい現代旅行を祝してかんぱーい!」
「か、乾杯……」
小さなダイニングテーブルの上に買ってきたお惣菜をずらっと並べてお昼ご飯。
一人暮らしだけどお皿は十分足りた。電子レンジも使えた。女神様ありがとう!
ちなみに冷蔵庫の中身はぜーんぶまとめてゴミ袋に入れて捨てた。
当たり前だね。
「はい琥珀、好きなの食べていいよ」
「いなり寿司以外は味の見当がつかないのですが」
「一口食べてダメだったら私がもらうし」
「……奏水、今日はとても頼りになります」
「へへー、ありがとう」
というわけで琥珀は少しずつ色んなものを試食していく。
シーザーサラダの味付けにびっくりしたり、油淋鶏の調味料がやけに気になったり、あとはカニクリームコロッケの美味しさにほっぺたが膨らんだり。可愛い。
「ふむ……これが現代のご飯なのでしゅね、おっ、おいひいです」
「食べながら喋らない」
「――!…………ん、ま、まさか普段言っていることを奏水に言われるとは」
「確かに」
「しかし、それほどにこの美味たちが素晴らしいということです」
「出来合いのお惣菜でもそう思ってくれるんだ。なら外食はもっとすごいよ」
「……奏水、明日はとびっきり美味しいご飯屋さんに連れていってください」
「任せて」
いやあ、琥珀とこんな風に食事ができる日が来るとは。
ただ、この食事を忘れられずに向こうに戻ってから中毒症状が出ないかは心配だ。琥珀にとっては刺激が強すぎると思うし、向こうの生活にすっかり慣れてしまった自分も心配になる。
……けど、始まったことだし気にしてもしょうがないよね!
よし! 琥珀を驚かせながら遊びまくるぞ!
では、手始めに琥珀をお風呂に入れてみようかな。
―――
「かっ、奏水っ、この変な筒からお湯が出てきましたぁっ!!」
「そういう設備だから」
「そんな軽い一言で済ませていいものではないですよっ!?」
シャワーに対して飛び上がらんばかりに驚いていた。
いい顔をありがとう。毒舌を連発された分の溜飲が下がるね。
「こ、このしゃんぷーとかいう液体は一体なんなのです」
「髪の毛を洗うための石鹸みたいなものだね」
「はぅ……なんだか髪の毛に優しいことをしてあげている感じがします……」
「そりゃあ向こうにはシャンプーないからね」
シャンプーとボディソープに感激していた。
確かに向こうではお湯以外に身体を洗う方法がない。
「えぇっ、このお湯は機械が勝手に用意してくれたのですか!?」
「そういう設備だから」
「火を起こさなくてもいいのです!?」
「うん。っていうかこの時代に火でお風呂を沸かすことなんてないよ」
「意味がわからないのです」
「だろうね」
自動でお風呂のお湯が入る仕組みでとうとう理解不能の域に突入した。
そして思考を止めて湯船に入った。
お風呂のお湯に肩まで浸かって半分呆然としている琥珀は、もう半分でお湯の温かさを感じるように腕や脚をマッサージしている。自分がここにいる実感がなさすぎるから身体を触って確かめてるんだよね。わかるよ。私も向こうでそうしたし。
「……普段、奏水と一緒にお風呂に入る時は」
「うん」
「奏水の肌がきれいだなあとか、スキンシップしたいなあとか思うのですが」
「下心がかなり出てるね」
「今日はもう何も思わないというか、ただすごすぎて現実を受け入れるので精一杯です。こんなのを知ってしまったら向こうに戻れなくなりそうです」
「あちゃあ、このお風呂クオリティを知ったのはまずかったか」
うーん、困る。
でも私もなんだかんだ数日で向こうのお風呂に慣れたし。
現実が追ってくればスッと戻れるでしょ。大丈夫だよ。
「まあしばらくの間の夢ってことで。あと、向こうで似た浴室を作ってみればいいし」
「どうやって作るのです?」
「神力でいい感じに作ろう」
「それは奏水が異才だからできることです……」
「そこに天才琥珀さんの力が加わると」
「…………できなくはないですね」
「はい決定。次はお風呂作ろうね」
「そう、しましょう……」
はあ、しょうがないなあ。
琥珀が戸惑いすぎてるし、ここは私がひとつ元気づけてみよう。
お湯の中でぐっと近付いて、琥珀の背中をぎゅっと抱き寄せて――
「それっ」
「ひゃぁっ!?」
「琥珀を抱っこしてあげよう、よしよし」
「……は、はぅっ」
おっ、今日の琥珀は反応がいいね。
普段は私が甘やかされてるから、今日は立場逆転ってことで。
ん、なんか背中がすべすべで手触りがいいな。
これはちゃんとボディソープを使ったおかげか。ならやっぱりシャンプー・リンス・ボディソープ方面も買い込んで向こうに持っていこうか。要検討。
「か、かなみ」
「うん」
「きょ、今日は、いっぱい抱っこしてください……」
……可愛すぎる。やばい。琥珀が可愛い。
今はぎゅって抱きしめてるから顔が見えないのが悔しい。
慣れない環境に緊張している中で私に抱きしめられて安心した琥珀の顔、見たい。でも本人が安心してるのを邪魔したらダメだね。このままにしよう。
「奏水」
「なに?」
「わたしに抱きしめられて安心する奏水の気持ち、今わかりました」
「そっか、嬉しい」
結局、その後の琥珀はずーっと甘々だった。
夕飯の冷凍弁当(鯖の味噌煮)を食べてる時も、歯ブラシを与えて歯磨きしてもらった時も、一緒にYouTubeで音楽関連の動画を見ていた時も。
すごーく素直だし、感情表現が豊かだったし、私の腕に抱き着いてきたのも可愛かったし、ここまで無邪気にはしゃいでる琥珀を初めて見た気がする。
ということは、この旅行が琥珀の気分転換になったってことだよね?
そう考えれば連れてきてよかったって思う。琥珀の心のデトックスになってる。
布団に入る時も、自分から私のベッドにすっと滑り込んできた。
シングルのベッドだから狭いはずなんだけど、それがすごく心地よかった。
そして今は、明日も同じくらい楽しく過ごせるのかなと思ってテンションが上がったせいで布団でなかなか寝付けない。でも、寝付けない時間も含めて楽しい。
明日は琥珀をどこに連れていって、どんなものを食べようかな。
この家では少しも思ったことのなかった明日のスケジュールに対する楽しみを感じながら、ベッドの上ですごく幸せな時間を過ごした。




