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雑文SF「ツインズ・ブラッティの大冒険」  作者: ぽっち先生/監修俺
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アンソニー争奪戦

さて、誰かさんのしょうもない説明で時間を取られたけど、逆に私たちの段取りや根回しも時間を合わせたかのように丁度終わった。なので後は出発するだけだ。そこで私はアンソニーに連絡を入れ、彼をラブリー・ペガサスにご招待した。当然、部屋の片付けやこの前買ったスケスケのネグリジェの準備も完璧です。


「それではアンソニーはこの部屋を使って下さい。私の部屋はブリッジの近くにありますので何かありましたらそちらの方へどうぞ。」

私はラブリー・ペガサス内で一番上等な部屋へアンソニーを案内した。この部屋は元々艦長室だったんだけど、私たちが普段いるブリッジからはちょっと離れているので私たちは使っていなかったのだ。

それにラブリー・ペガサスは元々戦闘艦として造られたおフネだから、艦長室と言っても他の部屋よりちょっと広いだけで豪華な装飾が施されている訳ではない。一応、個人用のトイレとお風呂は付いているけど狭いんだもん。だから私たちは普段は兵隊用の大浴場を使っている。まっ、大浴場と言っても4人も入ればいっぱいになっちゃうサイズなんだけどね。

ここら辺は戦闘艦故の割り切りなのだろう。クライス・レゾリューターの中には自腹で改装して客船並みの設備を取り付けている人もいるけど、私たちにはそこまでのこだわりは無い。と言うか、そんなお金があったら孤児院に送金するわ。


そして私は、アンソニーが持ち込んだ私物といかついケースに入った独立承認文書を取り合えず部屋に置かせると、艦内の案内を続けた。


「食事に関してはすいませんが殆ど冷凍パックになります。厨房はあるんですけど私たちは仕事柄中々時間が取れなくて・・。」

うんっ、これは嘘。時間に関しては航海中は無茶苦茶あります。だって、10光年移動するにも2週間かかるからねぇ。うんっ、宇宙って本当に広いわよね。でもそこら辺はアンソニーも慣れているのか気にしていないようだった。


「私の事はそんなに気を使わないでくれ。これでも結構旅慣れているんだよ。」

あーっ、そうだった。だってアンソニーって連邦政府の国家間紛争問題調停部2級調停官だもんね。なので公務であちこち飛び回っているのか。そして、それはあくまで仕事だから豪華客船でのゆったりクルージングなんて優雅な船旅は期待すらしていないのね。

でもアンソニーっ!私たちあたりのハネムーンは豪華客船でのクルージングにしましょうねっ!いや、私としては宇宙旅行じゃなくてタヒチニア辺りの観光惑星でゆっくりしたいわっ!燦々と降り注ぐ恒星光の下、トロビカルカクテル片手に浮世の雑踏なんか忘れて愛を確かめ合うのっ!あんっ、駄目よアンソニー。人目があるわ。そうようのはお部屋に戻ってからねっ!


まっ、私とアンソニーの将来計画は後ほどベッドの上で語り合うとして今は仕事だ。なので保田氏は脱出カプセルやら立ち入り禁止区画やらの説明を続ける。まっ、この辺はあくまでマニュアルに沿ったものです。そもそもアンソニーも宇宙船内での禁止事項に関しては素人じゃないから詳しくは説明しません。でもあくまでルールだからね。それに民間船と軍用艦では仕様が違うところも結構あるんで。

そして最後に私はアンソニーをブリッジへ案内した。でもここでひとつ私は失敗する。

そう、私たちにはいるのが当たり前なもんだったからアンソニーへ事前にみいくんの事を教えていなかったのよ。おかげでアンソニーったらブリッジで寝ていたみいくんを見て飛び上がりました。


「なっ、なんだぁーっ!」

「ぐるるるる・・。」

アンソニーにいきなり大声を出されてみいくんはちょっと不機嫌になったみたい。なのでのそりと起き上がるとアンソニーに向けて威嚇のポーズをとった。まっ、あくまで威嚇で本気じゃないけどね。

でもみいくんを知らない人にはその判断は難しい。だってみいくんって見た目はもろ猛獣だもんねぇ。しかも黒くてでかいし。もしも猫系大好きっ!って人でもいきなり目の前にみいくんが現れたら恐怖のあまり声もでないはずだ。ましてや威嚇されたらビビるわよねぇ。

なのでアンソニーは咄嗟に私の後ろに隠れて震えだす。きゃっ、そんなに強くしがみ付かれたら感じちゃうわっ!駄目よアンソニー、そうゆうのは後でね。


「みいくん、待てっ!」

私の制止命令にみいくんは「なんで?」といった感じで威嚇を止めた。うんっ、みいくんは素直ないい子ね。でもアンソニーは将来私のハズバンドになる・・かも知れない人だから威嚇しちゃ駄目。


「紹介しますわ、アンソニー。この子は私たちのパートナーである『みいくん』です。ちょっと猛獣ぽいけど頭のいい子だから襲ったりはしないわ。だから安心して下さい。」

「みいくん?あーっ、名前か。そう言えば君たちは古代文明の生き残りを飼っていると資料にあったな。そうか、これがそうなのか・・。」

私はアンソニーの言葉にちょっと眉をひそめる。うんっ、普通の人の感覚だとそうなんだろうけど、みいくんと私たちは対等なパートナーだから。なのでその言い方は止めてね。


「ここはこの船のブリッジです。こことは別にCICコンバット・インフォメーション・センターも存在しますが、私たちは艦隊戦闘なんかは滅多にしませんのでそちらはまず使いません。」

「ほうっ、ラブリー・デビルは連邦軍の新型高速艦トライアルで敗れた艦をwwwsが買い取ったと資料で読んだがシステムはそのまま流用しているのか。」

あら、アンソニーったらそこに喰い付くの?もしかしてアンソニーって軍事マニア?後、面倒だから訂正しないけど私たちのおフネの名前はラブリー・ペガサスだからね?


はい、ここでちょっと説明しておこう。CICコンバット・インフォメーション・センターとは別名戦闘指揮所とも言われてます。つまり戦闘艦の中枢だ。戦闘艦はその存在理由から戦闘行為を行うんだけど、その為には色々な情報を収集し且つ整理し有用な情報のみを洗い出す必要がある。そしてそれらの情報を元に戦闘艦の艦長は『敵』を撃破する方法を選択するのだ。

そしてそんな情報の取得方法はバラエティーに富んでいるて、光学系や電波系、重力波や空間変異などを測定する各種センサーによって集められている。笑っちゃうのが未だに『目視』による観測方法がマニュアルにある事ね。さすがに真空中では音波が伝わらないので『音響』による観測はないけど何故か設備は残ってたりする。まっ、備えあれば憂いなしって事なんでしょう。

そんな各種センサーで集められた情報はCICにてふるいに掛けられ艦長に届けられる。そんな情報の中で艦長が一番知りたがる情報は『敵』の位置と速度とベクトルだ。えーとベクトルってのは大雑把に言うと『方向』です。つまり敵がこちらに向かってきているのか、はたまた遠ざかっているのかの判断はベクトル情報が推し量るの。そしてこのベクトル情報に時間軸をかせね合わせると敵の航跡が判ります。

航跡が判れば自然と敵の未来位置が確定する。ほら、現在の攻撃兵器は基本誘導方式を取り入れているので昔の大砲みたいに敵の未来位置目掛けて撃つ必要はないんだけど、だからといって明後日の方向に撃ってはまず当たらないのよ。

敵を欺く為にわざとそうする場合もあるけれど、飛翔距離が伸びるという事はそれだけ敵に対応する時間を与えてしまう事にもなるので、敵を攻撃する場合は大抵最短『時間』でミサイルが到達するルートを選択するモンなんです。


そしてここからが艦長の経験がものを言う。つまりこれらの情報を元に艦長は敵の脅威評価や攻撃手段を決定し命令を下す。簡単に言えばどうやって攻撃するかを決めるのだ。それさえ決まれば後は各担当者の仕事となる。

とまぁ、以上がCICコンバット・インフォメーション・センターの説明というか意味合いです。だけど、正規の軍ならダメージコントロールも兼ねて指揮系統は何系統かに分散させるのが定石なんだろうけど、基本wwwsが相手にするのは犯罪組織なのでCICは滅多に使いません。と言うかCICを装備している船を運用しているクライス・レゾリューターはあんまりいないわ。

私たちのラブリー・ペガサスは元が軍艦だから装備されているけど、普通は民間の高速船を改造した船を使っているからね。だからどちらかというとラブリー・ペガサスがイレギュラーなのよ。


あーっ、ちょっと説明が退屈だったかな?うんっ、ちょっとナレーション担当の俺さんに感化されたかもしれない。でも俺さんに任せちゃうと私の説明の10倍くらい時間をかけるからね。全くマニアって自分の好きな事を語らせると際限ないから困るわ。


さて、話が反れたので戻すけど、先にも言ったけど私たちは艦隊戦闘なんかしないので基本CICは使わない。普通の個艦戦闘ならばCICとリンクさせてあるブリッジで十分対応出来るからだ。

だけど何故かアンソニーはCICに喰いついて来た。まぁ、男の子足る者兵器関係には心躍るものなのかしら?えーと、ならミサイルも見る?ラブリー・ペガサスは巡洋艦じゃないんで重粒子プラズマ砲みたいな大きな大砲は積んでいないんだけど、ミサイルなら各種積んでいるの。えっ、大砲の方がかっこいい?あらら、アンソニーったら本当に男の子ねぇ。


いや、実際のアンソニーはそんな事は言ってない。全ては私の脳内妄想です。でもCICに喰い付いたのは本当。だけどCICに関しては軍との契約で部外者には公表できないのよ。だから申し訳ないけど諦めてね。その代わりと言っては何だけど今夜は私のスケスケなネグリジェ姿を堪能させてあげるわっ!


さて、アンソニーはCICだけじゃなくブリッジにも興味を示したのだけど、そこにはみいくんがいたのでいまいち居づらいらしく部屋に戻ってしまった。本当は私もついて行きたかったんだけど、リリィに仕事が山ほど残っていると嫌味を言われたのでしぶしぶ残りました。


「エルぅ~、あなたちょっと張り切り過ぎじゃないの?」

「あら、リリィ。もしかして出遅れたのを焦ってるの?だとしたら諦めるのね。こうゆうのはファーストインプレッションが大切なんだから。」

「いいえ、別に。だってどうせメッキが剥がれるのは時間の問題だもの。」

「なんだとぉっ!」

「なによっ!文句があるのっ!なんならあなたの過去の戦績を証拠として羅列してあげてもいいのよっ!但し一時間は掛かるからトイレを済ませてからねっ!」

「ぐぬぬぬぬっ・・。」

うんっ、確かに私の過去のラブヒストリーを語るには相手の名前と結果だけ羅列してもそれくらい掛かるかも知れない・・。しかもリリィと私は物心ついてから今まで離れた事がないから、こいつは私の秘めたる事情まで確実に知っているのだ。まぁ、逆に私もリリィの戦績は全部知っているけどね。

ただ、基本私の場合は相手にアタックをかけると大抵直ぐに轟沈したのに対して、リリィは見た目だけなら大人しそうな女の子に見え、且つ猫かぶりも上手だから結構持つのよ。でも結局長くは続かない。だって、リリィも猫を被り続けるのは難しいらしくてポロっと地が出ちゃうのだ。あれ?そうゆう意味ではメッキが剥がれるのはリリィの方じゃないの?だって、私はメッキ云々の前に手にとってすら貰えなかったよ?むーっ、改めて自分で言うと落ち込んでしまうな・・ぐすん。


さて、あまりにもどストライクなリリィの指摘に口ごもった私に、リリィも言い過ぎたと思ったのか慰めの言葉をかけてきた。

「まぁ、そうは言っても今まで私たちの恋の相手は同年代の男の子だったからね。今なら判るけどあの年頃の男の子なんて女の子を服従させたがるだけのお子ちゃまだもの。だから自分より強いやつは嫌がるのよ。でも、アンソニーは大人だからそんな事はないのかな?」

うんっ、リリィ。あなた慰めているつもりなんでしょうけど言葉の選び方が下手ね。そもそも女の子相手に『強いやつ』ってなんじゃいっ!私はバイオ○ック・ジェ○ニかっ!いや、この例えじゃ殆どの人が判らないか・・。えーとスー○ーウーマンみたいな人?


だけど甘いわっ、リリィっ!口喧嘩では下手に出たら負けなのよっ!よっしゃーっ!この勝負貰ったぁーっ!このままぐいぐい押してマウントとったるっ!・・って、私はどこ出身の人なんだ?


「ぐすんっ、そうかな?アンソニーは私の丘の上の王子様になってくれるかな?そしてリリィはイライザとして、私たちの愛の物語における『ざまぁ』対象になってくれるのねっ!」

「えっ?あーっ、まぁ、そうね・・って、イライザってなによっ!なんで私が嫌われ役をやらなきゃなんないのよっ!」

「ラビニアでもいいけど?」

「同じでしょっ!ってか、今時そんなネタ誰も判らないわよっ!」

「リリィは判ったじゃない。」

「そりゃ、私はあなたと一緒に再放送を観たもん。」

「それもそうか。う~んっ、今思い出してもあのアメリア先生によるマリア院長に対する罵倒展開は本当に溜飲が下がったわよねぇ。それに比べたら最近のざまぁ系ってぬるいわ。」

「いやエル・・、話が反れている気がするんだけど。」

「あれ?まっ、どちらにしても最初にアンソニーにツバを付けたのは私なんだからリリィはでしゃばらないで頂戴。」

「それってエルがアンソニーに振られるまででいいのよね?ならいいわ。どうせ3日と掛からないだろうし。」

「なんだとぉっ!」

「なによっ!文句があるのっ!なんならあなたの過去の戦績を証拠として羅列してあげてもいいのよっ!但し一時間は掛かるからトイレを済ませてからねっ!」

「ぐぬぬぬぬっ・・。」

いや待て。なんか展開がぐるぐる同じところを廻りだしていないか?デジャブを感じるんだけど・・。でも売られた喧嘩は買わなくてはなるまい。なんたって私はウエスギジュニアハイスクールで番を張っていたスクールクィーンなんだからっ!って、それはリリィも同じか。


さて、こんな感じで私とリリィがラブリー・ペガサスのブリッジでアンソニーを巡ってまさに骨肉の争いを始めんとしたその時、私たちの間に割って入ってきたモノがいた。

はい、紹介しよう。私たちの間に割って入ってきたモノとは、ラブリー・ペガサスの一切を統括管理しているAI、正式名称『アイザック・アシモフver777』だ。因みにこのAIは私たちからはアッシーと呼ばれている。はい、この名前の由来になった方、ごめんなさい。でもアシモフってちょっと言いづらいんだもんっ!でも、ポチよりはマシでしょう?


[おふたりとも埃が舞いますので艦内では暴れないようお願いします。私はあなた方と違って精密機械なんですからデリケートなんですよ。]

「アッシー、邪魔しないでっ!と言うか、あなたこの前私に防水仕様だって自慢してたでしょっ!」

[防水と防塵は機能も意味合いも違います。]

「屁理屈言うんじゃないっ!」

[屁理屈とは本来、筋道の立たないこじつけ理論の事です。ですので理論整然とした私の説明への反論には当てはまらないかと。]

「そうゆうのを世間じゃ屁理屈って言うのよっ!」

[ここで世間の常識を持ち出されても困ります。常識なんてものは人の集団や時代によって移り変わりますから。と言うか、これまでのおふたりの行動を観察していた限り、世間の常識に則った行動をされた事は一度もないとお見受けします。そんな方から世間の常識と言われましても説得力がないですよ。]

「きーっ!言ってくれるわねアッシーっ!いいわっ!今日という今日こそ決着を付けてあげるっ!勝負よっ!」

私は不覚にもリリィとの決戦を忘れアッシー相手に勝負を挑んでしまった。とは言っても相手は実体を持たないAIだ。なのでここは私が譲歩し対戦方法は格闘ゲームである。

でもまぁ、結果は見えているわよね。だって相手は1秒間に数億回の演算が出来るコンピュータなんだもの。一々コントローラーを操作しなくちゃならない私が勝てる相手ではない。

だけど嫌らしい事にアッシーはいつもぎりぎりのところで私に勝つのだ。つまり手を抜いている。だけどそうは判っていても最初の方は私が押す展開でゲームが進むので、アホな私は今日こそはいけるっ!と思い込み何度も挑んでしまうのだ。

これってギャンブル依存症みたいなもんかしら?ドーパミンがどぱどぱ出ているのかねぇ。


『The Match Was Over Winner of Asimoveっ!』

格闘ゲームソフトがスピーカーから如何にもな電子合成音でゲームの勝者名を告げる。くっ、これで何回目かしら・・。今日こそはいけると思ったんだけどな。

かくして、今回ももう少しのところで私は負けた・・。くっ、あそこで・・、あそこでアッパーじゃなくてストレートを繰り出しておけば勝機はあったのにっ!勝ちを急ぐあまり大振りな決定打を繰り出した私が愚かだったわ・・。


今、私の前にあるモニター画面上ではアッシーが選択したキャラクターが勝利の舞を踊っている。しかし、アッシーはこのキャラが好きだな。アッシーはどれを選んだって勝てるだろうになんで女性格闘家を選ぶんだ?はっ、もしかして私への当て付けかっ!

くそーっ、もうひと勝負だアッシーっ!次は勝つわよっ!・・うんっ、私も懲りないね。


さて、アッシーの仲裁?によって有耶無耶になったが、私とアンソニーの婚前旅行はリリィの横槍という必然的障害によって前途多難となった。なので以後、私とリリィは何かにつけて争う事となる。でもまぁ、そこは長年の親友同士だから半分はあそびみたいなもんだ。ある意味、長い航海における暇潰しを兼ねてます。

だけど、神様は世界一美しい私がひとりの男のモノになるなるのを快く思わなかったらしい。おかげでもっと厄介な邪魔者を寄越したわ。うんっ、いつの時代も美人って争いの元になるのよねぇ。

そしてそれはティスティニーへの航海も半分を過ぎた辺りで現れたのだった。

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