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雑文SF「ツインズ・ブラッティの大冒険」  作者: ぽっち先生/監修俺
24/29

皆さん、お勉強の時間ですよ。・・げぇ~っ。

では、前回約束したとおりここでちょっとお勉強をする事にしよう。いや、私はしないわよ?講師はナレーターの俺さんです。でも、私もちゃんと聞いて突っ込むべきところは突っ込むからぼんやりしていると恥をかくからねっ!それでは俺さん、お願いしますっ!


はい、それでは基本からお浚いしましょう。大昔、地球という惑星に住んでいた人たちにとってはその惑星の表面、つまり地面に向かって物が落ちるのは当たり前の現象でした。たまに捻くれ者が俺のチート能力を見せてやるっ!と空高く何かを放り投げても、それは上空に留まることは無く結局は落下したのです。

えっ、鳥は落ちてこない?おーっ、いいところに目を付けましたね。でも本当は雲辺りで反論してくれると嬉しかったです。だって鳥は落ちこそしないけど結局は降りてきちゃうから。

まぁ、ここで何で雲は落ちてこないかの説明はしません。皆さん各自で調べて下さい。結構色々な要因が積み重なってあそこにある事を知るはずですから。

さて、そんなこんなで支えを無くした物体が地面に落下するのは昔の人々には自明の理でした。つまり当たり前の事だったのです。だから誰も気にしなかった。

ですが人間は昔から議論が好きでした。特に酒が入るとあーでもないこーでもないと根拠の乏しい持論を展開したはずです。そんな酒の席で誰かが問いかけたのです。


「なんでモノは落ちるんだろう?」

この問いかけは結構ウケて色々な説明と反論が出てきました。まぁ、殆どの人は酔い潰れて次の日、目覚めた時には何も覚えていなかったのですが何人かはモノが落下する事について研究を始めます。大抵はお金持ちです。そう、道楽ですね。昔って学問は道楽だったんですよ。今じゃ殆どの人には苦行ですけどね。

そしてそうこうする内に物質同士には見えない力が働いていてお互い引き合っているんじゃないかという仮説が出てきました。これは天文学を研究していた人たちが星の動きを説明する為に編み出した説です。すごいですね、天文学者。天文学者って基本観測しか出来ません。実験ができないのです。だって星が手に入らないから。だから全て思考実験で答えを探ったのです。やーっ、大したもんだ。因みにヘリウム元素を発見したのも天文学者だったはず。どうやったのかはご自分で調べて下さい。ヒントは固有波長です。


さて、何かを探す時、探すものに名前がないと何かと不便です。なので物好きな道楽者たちは自分が探しているモノに名前を付けました。その名前とはっ!

じゃじゃ~んっ!『ショウセツカニナロウっ!』

はい、嘘です。ふざけました。本当は『引力』です。多分『引力』です。確かめていないけど『引力』です。『引力』だといいなぁ。もう、面倒だから『引力』にしておきましょうよ?

でもその後、このチカラには別の名前も付きました。その名前とはっ!


『・・。』

はい、テン丼ネタはちょっとウケないと思うので普通に答えます。『重力』です。『重い』『チカラ』です。でも実は重力って4つあるとされている『チカラ』の中でも最弱でした。

因みに残りの3つは、弱い順に『弱いチカラ (または相互作用)』『電磁気力』『強いチカラ (または相互作用)』と名付けられています。『弱いチカラ』より弱い重力ってどんだけ弱いんだ?


その後、物好きな道楽者たちは、事前の地盤調査をはしょったせいで傾いちゃった塔の上から玉を落としたりして、物体が地上に落下する時は徐々に速度が速くなる事も発見します。歴史上のデータに残っている偉人で有名なのは『レオナルド・ダビンチ』ですね。

はい、嘘です。重力の分野に関しては『ガリレオ・ガリレイ』の方が有名です。ですがもっと有名な方がいるので結構そちらの方と間違える人がいます。

そんな超有名人の名前とはっ!


てけてけて~んっ!『アイザク・ニュートン』だっ!


えっ、ご存じない?ほら、リンゴの実が木から落ちたのを見て地球には地面にモノを引き付ける目に見えないチカラがあると『偶然』発見したと言われているあの人のですよっ!

因みにこの逸話が本当なら、彼がこの事に気づいた季節は冬です。何でかと言うとリンゴって秋に実りますが、勝手に枝から落ちるとなると収穫されずに朽ちるがままに放置されていたはずですから季節は冬なんです。それに冬なら葉も枯れて落ちているのでリンゴが落ちる瞬間を目にしやすかったでしょうしね。

そして、そんな彼が色々計算した結果、たどり着いたのが所謂『万有引力の法則』っていうやつです。もしくは『プリンキピア・マセマティカ』。


「はいっ、先生っ!」

「なんですかエルさん。今いいところなんだから邪魔しないで下さい。質問は後でまとめて受け付けます。」

「いえ、質問じゃなくてクレームです。今の先生のうんちく話で只でさえ少ない読者の半数以上が脱落しました。先生はこの責任をどうお取りになるおつもりなんですか?」

「ふんっ、そんなアホなやつらなど滅んでしまえばいい。この世界は神に選ばれしイノセントだけが残ればいいのだっ!」

「先生、それって何かの伏線ですか?」

「えっ?いや別に。ただ昔の『戦闘メカ ザブングル』というアニメを見ていたらそんな台詞があったんでパクっただけです。」

「先生って最近パクりまくりですね。いい加減にしないと注意されますよ。」

「あっ、すっ、すいません。気をつけます・・。」

「それでは皆さんっ!改めてお勉強の再開でぇ~すっ!」


モノが大空から地上に落下する時に徐々に速度が速くなる。観測するとこの現象には一定の法則がある事に研究者は気づいた。そして速度の増加率、つまり重力加速度を1Gと言い表したのです。これは数字で表すと大体9.8m/(sの2乗)です。因みに『s』は英語のセコンド、つまり秒を表しています。『m』は説明しなくてもいいですよね?

そして9.8m/(sの2乗)ですけど、これは1秒ごとに9.8mづつ速度が増してゆく事を意味しています。これって結構速いですよ。地上を走る自動車では中々この加速度を出せる自動車はありません。

そしてこの加速度の9.8という値は地球の質量と半径が関係しています。だから質量や半径の違う惑星上では当然この値も変化します。ここで勘違いしちゃいけないのが、惑星の大きさではなく質量が関係するという点です。

例えば直径が地球の2倍もある惑星があったとします。ならこの惑星の重力も地球の2倍なのかというとそうとは限りません。惑星の質量って惑星を構成している物質の比重によって変わりますから。

土星と言う惑星は質量自体は地球の95倍もありますが赤道付近の半径も10倍近くなので比重としては690kg/(m3の乗)しかありません。なんと土星って水より比重が小さいんです。だからすげーでかい水槽に沈めると土星って浮くらいしです。まっ、あくまで数値上の空想ですけどね。でも土星全体としては質量が地球よりあるので当然重力も大きいです。ですが半径も大きいので土星の地表面上での重力はそれ程でもないらしいです。まっ、土星に地表があればの話ですが。


このように惑星の質量はそれぞれの惑星によって異なります。なので質量の大きな惑星では1Gの値はより大きなるし、逆に小さい惑星では小さくなります。だけどその値を使うのは地球という惑星の加速度に体が順応しきった人々なので1G=9.8m/(sの2乗)という定数は今日まで残り色々な計算に使われています。

いや、今はちゃんとそれぞれの惑星の加速度が計測されてローカル定数として使われていますよ?でないと衛星軌道に留まれないし。でも人間への影響を考慮する場合、基準とされるのは1G=9.8m/(sの2乗)という値なのです。


さて、それではこの1Gという値はどんなところで役にたっているのか?それは当然宇宙空間です。それも所謂無重力領域というところですね。因みに人工衛星が飛んでいる高度は宇宙空間なんですがそこで作用する地球からの重力のチカラは地上と大して変わりません。ほら、そう言われるとちょっと違和感を覚えるでしょ?でもこれは本当。

ニュースや科学ドキュメント番組などで、衛星軌道上の宇宙船内で宇宙飛行士がふわふわ漂っている映像を見る事がありますが、あれは擬似的な微重力状態なのです。正確にはあれは『自由落下状態』であって、あの空間に地球からの重力が働いていない訳ではないのです。

だってあそこの高さって地上から精々100から500キロメートル程度ですから。それに対して地球の直径は1万2千キロメートル以上ですからね。地球を直径12センチメートルの球体に置き換えると高度500キロメートルって球体の表面から5ミリメートルしか離れていません。ほら、そんな近くにいて地球の重力の影響を受けないはずがないでしょう?

では、何故宇宙飛行士は宇宙船の中でふわふわ漂えるのか?それは宇宙空間には『空気』が無いからですっ!

はい、嘘ですからね。信じないように。でもそんなに昔でもない時代においても、そう感じている人が結構いたみたいです。その一例が世界初の液体ロケットを打ち上げたアメリカ人のロバート・ハッチンス・ゴタードという偉人の逸話に残っています。

ゴダード氏は帝政ロシア時代を生きたコンスタンチン・エドゥアルドヴィチ・ツィオルコフスキーという偉人が発表した『ロケット理論』に傾倒し自ら液体ロケットを開発し飛ばす実験をしていたのですが、その際にロケットに関する論文『高々度に達する方法』というものを発表しました。

これには真空中を移動するには物質の反作用を利用するのが効率的、というか絶対必要と書かれていたのですが、この内容を当時の新聞社『ニューヨーク・タイムズ』が社説で「真空中ではロケットから噴出された物質を受け止める物質が存在しないので移動なんて出来ない。こんな事は高校で勉強した事がある者なら誰でも知っている事だ。」と痛烈に皮肉ったのです。


「はいっ、先生っ!」

「なんですかエルさん。今いいところなんだから邪魔しないで下さい。質問は後でまとめて受け付けます。」

「いえ、質問じゃなくてクレームです。先生って学習しないんですか?と言うか、そんなどこからか拾ってきた情報をさも自分が調べたように語ったりして恥ずかしくないんですか?」

「えっ、だ、駄目かなぁ。」

「駄目です。さっさと話を先に進めて下さい。」

「えーっ、偉人のエピソードってためになるし面白いのに・・。」

「そんなのは先生だけです。普通の人は副反応を発症します。下手したら死にますよ?」

「そんな馬鹿な・・。でもあり得そうだから怖いな。」

「それでは皆さんっ!改めてお勉強の再開でぇ~すっ!もう少し付き合ってあげてねっ!」


1G加速が役立つシチュエーション。それは無重力空間です。基本人は1G環境で進化してきましたから無重力空間におかれると何かと体に不具合を生じます。代表的なものでは足のむくみとかですね。

なんだむくみかよなどと侮ってはいけません。むくみとは体液や血液の滞留が原因ですから放置しておくと血液が凝固したりして下手したら死にます。

ですから無重力空間では脚部をサポーターでちょっときつく縛ったりしてあまり下半身に血液が流れないように対策するんです。そうする事によって元々1G環境で機能する前提で作られている身体機能に、体内圧力限定ですが1G環境に近い負荷を掛け体全体のバランスをとるのです。

他に食べ物なども本来は重力のチカラを利用して胃に落ちてゆきますから出来うれば重力のある環境で食事をした方が消化器系の器官には優しいです。もっともこれは絶対ではないので短期間でしたらあまり影響はありません。

みなさんだって逆立ちしながらストローで牛乳を飲めるでしょう?あれは食道などの器官が脈打ち流入してきた食べ物を胃の方へ押しやるから出来る芸当なんです。ですから皆さんも是非実験しないで下さい。私がご両親に怒られますんで。


さて、そんな感じで遊ぶには楽しそうな無重力ですが、生活するとなると色々体に負荷がかかる事を説明しました。それでも短期間ならまず影響はありませんし、地上に戻ってリハビリすれば大抵は回復します。ですが当物語で語られている恒星間移動は、280光速というハチャメチャな巡航速度を誇るラブリー・ペガサスでも100光年移動するのに130日掛かる設定になっています。

まぁ、物語なんだからそこら辺はスルーしろよと言われればそうなんですが、SF系って何故かこうゆう所にこだわるんですよ。嫌ですねぇ、キモイですねぇ。石をぶつけたくなりますよねぇ。

そこで登場するのが『人工重力』ですっ!

はい、これを物語中にちょろっと書いておけばコーヒーを床にこぼす表現も全然OKっ!だって人工重力があるんだからっ!船内をドタバタと走る描写をしてもこれまたOKっ!宇宙戦闘機が翼を傾けて旋回しても全然お・・、いやこれは駄目か。でもその方が旋回しているなぁって感じるんだよねぇ。これはもう刷り込みかも知れない。


でも人工重力を発生させるのはとても難しいはずです。だって重力って物質に働くチカラ四天王の中でも最弱ですから。弱過ぎて倒しても倒してもHPが増えないんです。だからスライムより厄介なんです。苦労が報われません。

だけど実は擬似的な重力なら結構簡単に発生させられます。それが『加速』です。

かのアインシュタインは言いました。


「重力と加速度って見分けがつかないよねぇ。」

はい、難しい事は置いといて天才が言うんだから間違いないでしょう。つまり宇宙船を1G加速させ続ければ、宇宙船内には常に1Gが存在する事になるんです。

まぁ、この『常に』と言うのがまた別の問題から持続させるのが難しいんですが、物語ではそこら辺は如何様にもなります。だって物語だから。とにかく、加速し続ければ重力に関する問題は全て解決だっ!


そして加速を続けると言うことは速度が増加してゆくと言うことです。そして現代科学では速度の上限は光の速さと一緒で約秒速30万kmという事になっています。

この辺の事はアインシュタイン先生の論文に詳しく書かれているのでそちらをお読み下さい。因みに原本はドイツ語のはずです。でも日本語に訳されたものも書店で売っています。結構高いです。ラノベが何冊も買えちゃいます。


さてここからは計算になります。

摩擦や抵抗の無い微重力空間にて1G加速を続ける物質は1分後には588m/sの速度に達します。1時間後なら3万5280m/sです。数字が大きくなったので距離単位をmからkmに変換すると35km/sです。ほら、1G加速って結構凄いでしょ?たった1時間加速し続けるだけで標準的な恒星系の脱出速度近くまで達しちゃうんだから。ただこの数字は状況によって変化するからやっぱりちゃんと計算しなくちゃ駄目です。

まっ、もっとも大昔のロケットはこの1時間を維持できるだけの燃料を積む事すら難しかったらしいから色々大変だったみたいなんですけどね。

でもプラズマ亜空間循環エンジンはちょっとおいておきますが、恒星間航行用推進機関『マリー・アフロディーテ』は『推進力』の供給を外部から受けとる設定だからエンジンの稼働時間に関してはほぼ制限がない。だからいつまでも加速できます。・・という設定です。

そして1G加速を続けるとやがて速度はこの世界の上限速度に計算上は達します。あくまで計算上です。ここで相対性理論を引っ張り出して突っ込んだ人は負けです。だって創作物語において『作家』は神ですから。

さて、それでは計算上では1G加速を続けると何時間で光の速さまで速度を上げられるのでしょう?はい、計算は私がしましたから皆さんはしなくていいですからね。


なんとびっくり360日くらいですっ!光は一瞬でその速さに達するのに1G加速では1年近くかかるんです。もう一度言いますけど単純な計算上ですからね。相対性理論を引っ張り出して突っ込んだ人は負けです。

でもこうなると光の速度に達するまでに1年もかかったら、ラブリー・ペガサスの巡航速度である280光速まで速度を上げるには何年掛かるんだ?という疑問がでてきます。えっ、物語だから気にしない?んーっ、そう言って頂けるとありがたいですね。でもSFモンはこだわるんですよ。だから色々『特別』なトンでも理論を物語内でぶち上げます。

因みに1G加速じゃなくて30G加速なら12日で30万キロ/秒に達するみたいです。60G加速なら6日です。120G加速なら3日です。

いや~、光速って速いんですねぇ。120G加速を続けてもそこまで速度を上げるのに3日も掛かるんだ。というか120G加速なんかに耐えられる物質があるのか?大砲の弾って砲身内でどのくらいの加速度なんだろう?


まっ、何にしてもこれからも色々トンでも理論が出てきます。その時は温かい目で見てやって下さい。


んーっ、なんか今回の俺さんの説明って先生みたいだったわね。よく言えばフランクだけど、ナレーションとしては馴れ馴れし過ぎじゃないかしら?事前にキャラを変えましたって言われなかったからちょっと戸惑ったわ。

というか、こんなところでしょうもない事を語らないでほしいわ。どうしてもやりたきゃエッセイジャンルでやれっ!

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