お寿司
「やあ、少年。 ふふっ、約束通りだろ?」
そうだけど…。
「王女様が露店で何してるんですか…」
若干の呆れを混ぜて呟いた。
「いやさ、お小遣いくらいは自分で稼ごうかなってね。 君も昨日言っていたでしょ? 税金は民から得た物だって。 結局あの事件でばれちゃったんだけどね!」
マーシャさんの鋭い視線に、アローネさんの肩が跳ねる。
「こらこら、落ち着かないか」
ここで王様がマーシャさんを宥めた。
「少し驚くことはありましたが、魔石の査定をお願いしてもいいですか?」
「あ、はい。 では、こちらに出してもらえますか?」
ゆっくりと落とさないように置くと、ニッケルさんが査定を始めた。
「あの、査定の途中で悪いんだけど。 別の種類の魔石もあるんですよね。 そっちの査定もお願いしてもいいですか?」
いうまでもなく、岩の魔物の魔石だ。
「ええ、大丈夫ですよ」
その場に追加で、ごろりと転がる岩の魔物。
相変わらず綺麗な翡翠色をしている。
王様やマーシャさんも、興味があるのか席を離れて近くで見学している。
と、ここでニッケルさんの査定が終わった。
「ふむ、こちらの透明な魔石ですが…。 金貨五千枚でいかがでしょうか?」
「ええ、この魔物もあと二体は捕獲してますからね。 岩の魔物の方も一体は捕獲してますよ」
俺の武器だしね。
金貨が五千枚もあれば色々買えそうだ。
「こちらの翡翠色の魔石は割れてしまっているので、金貨二千枚というところでしょうか」
思ったよりも高いな。
「では、合計で金貨七千枚ですね。 それでお売りしましょう」
「うむ、本当ならば少しくらいは色をつけてやりたいのだがな…。 悪いな」
「いえ、俺のやりたいことに金は必要ですから。 どうです? そろそろお昼になりますし、何か食べませんか? 今日は奢りますよ」
そんな俺のお誘いの言葉に、逸早く食いついてきたのはマーシャさんだった。
「食べる!! 今日は何が食べられるのかな? 楽しみだなー!」
いかん、マーシャさんのキャラが変わってきている。
しかし、今日は何を食べようか…
ここ数日の食生活は比較的高水準だったので、ここで落とすのも落ち着かない。
ふむ、大人数だしお寿司を買おう!!
お寿司の大皿を購入し、固定した空間の上に置いていく。
「これは食べ物…なのかね?」
王様の言葉だ。
「ええ、俺の故郷では祝い事などによく食されたものです。 今回は魔物討伐祝いということで…いかがですか?」
「う…うぬ…。 これは、魚なのか? 生ではないか…」
生魚はだめな人か。
「まあ、折角なんで食べてくださいよ。 マーシャさんなんかほら、遠慮してないですよ?」
俺が指差す方向では、マーシャさんが般若のような顔でお寿司を食い荒らしていた。




