何者
「予想よりもかなり早いですけど、討伐の方は終わったんですか?」
「はい、討伐は無事に終わりました。 少し森に入ったのですが、大きな狼は数頭しかいなかったのです」
俺がいっぱい狩ったからな。
「それなら良かった。 あ、ラーメン!!! あー…完全に伸びきっちゃてるわ…」
踏んだり蹴ったりだ!
勿体無いが、美味しくないラーメンを無理に食べるのは嫌なので処分した。
「アローネさん、お昼は食べました?」
ついでに、アローネさんにも聞いてみた。
「いや、まだですが…」
「それなら一緒に食べましょう。 奢りますから」
「そういうことなら…」
マーシャさんも、やり取りが気になっていたのか食べていないようだったので
新しく、三つの塩ラーメンを購入。
「それじゃ、食べましょうか」
それから暫くはずぞぞーと、麺を啜る音が響いた。
「透殿、ご馳走になった! 透殿はこれを売っていたのですか?」
「いや、これはお昼ご飯です。 ここ数日はおでんを売っていましたね。 このスープで煮込んだ具を売っていたんです」
出汁を小皿に取り、アローネさんに渡す。
「これはっ! なるほど…。 これならば大繁盛間違い無しですね!」
ええ、大変助かっていますとも。
「今日はちょっと串焼きの方も混ぜての販売だったのですが、大変好評ですぐ完売でした。 明日も何か売るので楽しみにしていてください」
「ああ、そのことなんだが…。 透殿。 もしも忙しくなければ、明日王宮まで来ていただきたいのですが」
「王宮ですか…。 先日、変な貴族に絡まれたので良い思い出がないんですよね」
「先日というと…。 ああ、ルカリスの…。 あの家は本当に邪魔ばかりしてくれる…」
「まあ、でもいいですよ。 魔石の件ですよね?」
「はい。 買取ることは決まっているのですが、魔石の鑑定もしなければならないので…」
「わかりました、朝からでいいですか?」
「ええ、明日の午前中ならば謁見できるそうです。 場所は神殿前でいいですか?」
「はい、それで大丈夫です」
「有難うございます! それでは、私は王に報告してきます! ご飯、ご馳走様でした!」
「いえ、また機会があればご馳走しますよ」
こうして、アローネさんが去った後にマーシャさんが話しかけてきた。
「きみ凄い人と知り合いだったんだね…。 アローネさんって騎士隊の分隊長さんでしょ?」
「ええ、そう聞いています」
おかしい
警備兵さんですら、騎士隊の人と会ったことはないといっていた。
どこにいるのかもわからないとも…。
それはつまり、所属してるメンバーの名前まで知っている人は多くないはずなのだ。
「マーシャさん、貴方…何者ですか?」
「あら、ばれちゃったかな? 今は教えてあげられないけど…そうだね、明日教えてあげるよ!」
そう言って、マーシャさんは露店を片付けて帰っていった。
明日か…。
いつもの少年には、おにぎりを沢山プレゼントして
その日は俺も宿に帰った。




