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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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焼鳥

「マーシャさん、俺もそろそろ宿に向かいますね」


「そうかい? 今日も有難うね」


辺りはすっかり暗くなり、道行く人の数も疎らになっていた。


そういえば、宿泊の延長は伝えてなかったが大丈夫だろうか。


宿に戻り、カウンターのおじさんに話しかける。


「おじさん、今日も泊まれますか?」


と、聞くと


「空き部屋はあるが、昨日の部屋は既に埋まっている。 空き部屋の方でもかまわないか?」


当然、泊まるだけなので何の問題もない。


また部屋が埋まると困るので、今回は十日の連泊予約だ!


「はいよ、二階の一番右奥の部屋だ」


「お世話になります」


鍵を受け取り、指定の部屋に向かった。


部屋の広さは、前回よりも少し狭いが


仕込みをするには十分な広さだった。


今回は何を仕込もうかな。


今日の販売でわかったのだが、商品の種類が多いと間違えそうになるのだ。


少し残念ではあるが、種類を減らして数を増やそうと思う。


今回のチョイスはこちら!


みんな大好き餅巾着!


ぷちぷち美味しいしらたき!


そして、最後はウインナーだ!


以上の三点で勝負をしてみようと思う。


しかし、しらたきは都合上結んでないものになる。


明日は初日と同じで、テスト販売という形にする。


おでんの販売終了と同時に、焼き鳥の販売へのシフトを考えているので数は少なくなる。


焼き鳥も三種のみの販売だ。


焼き鳥は、ねぎま・皮・なんこつの三点だ!


こちらはおまけ程度に考えているので、数はおでんよりも少ない。


こうして、おでんと焼き鳥を各種銀貨一枚ずつ購入し


焼き鳥のために七輪と木炭も用意した。


串焼きが売られているのに、焼き鳥を選んだのには理由がある。


それは、串焼きの肉がすべて豚肉だったからだ。


俺はこの世界に来てから鶏も、それに似たような動物すら見かけていない。


その確認のための焼き鳥だ。


明日が楽しみだな、お客さんはどんな顔をするのだろうか。




窓から差し込んだ朝日で目覚めた。


今日も早起きしたので、人が来る前に屋台の設置を急いだ。


出汁を温めていると、見慣れた人の列が出来始めた。


「あはは! 君を見つけるのは簡単で助かるよ。 今日もよろしくね!」


マーシャさんに挨拶し、隣で販売の準備をすすめた。


おでんの種類が変わったことに気付いたお客さんが


他にも種類はないのかと迫ってきたが


目立ったトラブルもなく、本日もおでんは完売した。


おでんの完売をつげると、いつものように列は崩れていった。


さあ、ここからが本番だ。


おでん鍋とカセットコンロを屋台からはずし、代わりに七輪を置いて行く。


チリチリと表面を焼かれて行く焼き鳥に、一度崩れた列が再び構築されて行った。


「珍しい串焼きだね…、何の肉だい?」


マーシャさんに声をかけられたので、鶏の肉だと答えた。


そして、俺の欲しかった答えが返ってくる。


「聞いたことないなあ…、美味しいの? って、愚問かな?」


悪戯っ子のような笑顔を見せてくるマーシャさんは、とても綺麗だった…。

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