表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
急に地球が滅びないかな、と異世界で私は呟いた 〜気絶のフリで乗り切るはずが、私を召喚した令嬢に転生を待たれていた件〜  作者: めるしー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/101

一進一退

 でも。


 忘れては、いけない。


 心は——通じた。けれど。


 闇の精霊王の——その、力は。いまだ。世界を、滅ぼせるほどに——巨大な、ままなのだ。


-----


 空は。あいかわらず——塗りつぶされたように、黒い。玉座の、周りの空間は。みしり、と——歪んだ、まま。


 闇は。その身体に。色濃く——纏わりついて、いる。


 そう。これは——和解じゃ、ない。


 兄弟喧嘩。つまり——本気の、ぶつかり合いの。始まり、なのだ。


-----


(……まずい。このままじゃ。解放された、みんなが——巻き込まれる!)


 私は。とっさに——叫んだ。


「フレデリカお姉様! みんなを——お願いします! ここから、逃がして——!」


「——言われなくても、ですわ!」


 お姉様が、すかさず応える。その手から、淡い光が——大きく広がって。意識を取り戻したばかりの——人々を、やさしく包み込んだ。


「さあ、みなさん! こちらへ——! わたくしから、離れないで!」


 神聖な、光の盾。それで、人々を守りながら。お姉様は——みんなを、広間の外へと。誘導して、いく。


 よし。これで——心置きなく。


-----


『——いくぞ、兄者!』


 闇の精霊王が。嬉々として——両腕を、広げる。


 ぶわっ、と。広間中の——闇が。荒れ狂い、ながら。光の精霊王へと——殺到した。


 時計塔の——光が。それを、真っ向から——受け止める。


 ごうっ、と。


 闇の奔流と、光の奔流が。正面から——ぶつかり合った。黒と、白。相反する力が、激しく——拮抗して。境目で、無数の火花を——散らす。


 闇の精霊王が、腕を薙ぐと。鋭い闇の刃が——幾百も。光の精霊王へと、降りそそぐ。


 光の精霊王は、それを——眩い光の盾で。受け、流し。返す手で——槍のような光を。闇へと——放った。


 闇が、躱す。光が、追う。互いの、手の内を——知り尽くした。兄弟、だからこその——一進一退。


 ぶつかり合う、たびに。謁見の間が、ぐらぐらと揺れる。床が、ひび割れ。天井から、礫が——降ってくる。


 ……すごい。これが——精霊王、同士の。本気の、力。


-----


(……って、ええっ!?)


 その、衝撃。余波。


 すぐそばにいた——私にまで。容赦なく、襲いかかってくる。


 黒い、衝撃波が。光の、爆風が。ばちばちと——飛び交って。


「——っ、わ、わわっ!?」


 私は。慌てて——その場に、しゃがみ込んだ。


-----


「ちょ——っ! ねえ!」


 飛んでくる、余波を。必死に——よけ、ながら。私は、叫ぶ。


「普通! こういう、時って! すこし! 考慮! して、くれるもんじゃ! ないの——!?」


 息も、絶え絶えに。ぶつ切りの——抗議。


 だって。さっきまで。あんなに——いい話を、して。手まで、取り合って。それで、これ?


-----


『ふはは——っ!』


 闇の精霊王が。心底、楽しそうに——笑った。


『みどり! お前が——言ったんだろう!』


 ぐるん、と。頭上の闇が——渦を、巻く。


『一緒に。全力で——答えを、探して、くれるんだろぅ?』


-----


 ぞわっ。


 見上げた、その先。


 とてつもなく——巨大な。闇の、うねりが。空を、覆い尽くすほどに——膨れ上がって、いた。


 それが。今にも——私の、頭上に。落ちて、こようと——している。


-----


「……ま」


 声が。引きつる。


「……ま、まじ、か……」


 全力。たしかに——言った。一緒に、答えを、探そうって。言った、けど。


(……いやいやいや! これ、絶対! “ぶつかり合う”の、規模じゃ——ない!)


-----


『——緑、危ない! こっちだ!』


 今度は。ユリウスの——声。


 フェンの風が、私の身体を——ふわりと、すくい上げる。間一髪。巨大な闇が——さっきまで私がいた場所に。轟音とともに——叩きつけられた。


-----


「……っ、ありがと、フェン! ユリウス!」


 風に、運ばれ、ながら。私は——息を、つく。


 なるほど。これが——精霊たちの、本気の喧嘩。人間が巻き込まれたら——ひとたまりも、ない。


 でも。


 不思議と。さっきまでの——絶望は。もう、どこにも、なかった。


-----


 だって。


 あんなに、楽しそうに——笑う、闇の精霊王を。私は。初めて——見たのだ。


 さあ。


 ここからが。本当の——最終決戦。今度こそ。みんなで——この、長い夜に。終止符を、打つために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ